MENU CLOSE
TEL

2019年 8月

「天気の子」をめぐる10代の心情

2019/08/12

ニュースで台風10号の進路を気にしながら、園の防災計画を確認しました。「豪雨や強風で送迎が危険と予想できるときは行政と連携して、送迎時刻の変更などの措置をとる」。今週水曜、木曜あたりは要注意ですね。天気になってほしいですね。
◆子どもにとっての切実さ
台風10号とは関係ないのですが、ちょうどテレビに映画『天気の子』の新海誠監督が出ていました。ぼんやりと、テレビを見ながら朝ごはんを食べていたら、語っている内容の重さにもかかわらず、平易に語るので、ちゃんと見てしまいました。
ーーーー
「大人の目からみたら些細なことも、10代の子どもにとっては切実だった」
ーーーー
・・・みたいなことを言っています。テレビのボリュームを上げます。そう言えば、昨日の同窓会でも20歳になったSY君が同じようなことを言っていました。大人は子どもに「正しいことと大事なこと」ばかりさせようとして、子どもにとっての「日常のリアル」を想像できなくなっているのが、私も含めて大人であると。
◆新海誠自身の体験からの視線
団塊ジュニア世代の新海世代が15歳だったころ「いちご世代」と呼ばれていて、私は彼らの文化を追ったルポルタージュを手掛けたことがあります。この世代は雑誌『ムー』創刊時の読者層でもあり、当時、他の世代と比べて神秘現象に高い関心を示していたことを思い出しました。彼は今9歳の子ども(子役の新津ちせ)がいるお父さん。彼が手掛ける表現の新しさが話題になっているので、観てきました。
◆10代に共感を呼ぶところ
映画の主題歌を歌うロックバンドのRADWIMPS(ラッドウィンプス)の歌詞もまた10代に届いています。
再生回数1700万回を超える主題歌「愛にできることはまだあるかい」にでてくる「荒野」という言葉に注目したい。
ーーーー
「愛の歌も歌われ尽くした/
数多の映画で語られ尽くした/
そんな荒野に生まれ落ちた僕、君」
ーーーー
と「失われた世代」でもある彼らの閉塞感を漂わせる心情。
「それでも/愛にできることはまだあるよ/僕にできることはまだあるよ」
と歌う。映画もここでグッときました。
◆10代が大河ドラマを見ない理由
「やり尽くされたあとで、まだやることがあるだろうか?」まだやったことのない時代なら、目指す目標は見つけやすかっただろう。大河ドラマが描く東京オリンピックも、朝ドラが描く北海道十勝の酪農やアニメも、その時代なら、まだ誰も踏み入れたことのない未知の大地が広がっていた。しかし現代は違う。何をやっても、きっと過去になされてしまっているだろうという「想像できる既視感」を感じる時代だからでしょうか。それでも「やれること」は愛であり、愛する者への祈りでした。新しく感じるのは自然現象のパワーと一体化している美しさです。
◆細部に潜む自然の美の描き方
長野育ちの新海監督は少年時代に朝暗いうちから凍った湖面でスケートをしていたそうで、日が昇ってくると、山の端から陽が差してきて、真っ暗で青かった湖面がだんだんと縁の方から銀色に輝き始めるのをみるのが好きだったらしい。この監督の映像が美しいのは、そんな感性があるからなのでしょう。

シンカリオンを見てみる

2019/08/07

「子どもが興味や関心を持っているものは、大人も見たり体験してみよう」。私は保育士養成校で学生によくこう言っていました。「子どもがなぜ、それが好きなのか、どういう感じでそれを楽しんでいるのか、実際に感じてみよう!」と。
そこで今朝、シンカリオンを見てみました。一部の男子に人気のテレビ番組です。新幹線がロボットに変形して大怪獣と戦うのです。いまや日本アニメの代表として世界的に有名な「マジンガーZ」と同じタイプの操縦ロボものです。「E5はやぶさ」「E6こまち」「E7かがやき」「E3つばさ」「N700Aのぞみ」など、実際の新幹線の名前がついたロボットを、小学4年生から中学1年生の男女が操縦します。
今朝は「ブラックシンカリオン」が味方のピンチを救うストーリーでした。「ブラック新幹線なんて実際にはないけど・・・?」と思って番組サイトを検索したら、「10年前突如現われた正体不明の謎の新幹線」でした。うまくできてる!
ブラックシンカリオンが、大きな怪獣を押さえている間に、他のシンカリオンがでかい手裏剣のようなものを振り回してやっつけた!と思ったら、「さっきのは影武者だ」とかなんとか言って、また戦うことを約束して次回に続く・・。また次を見たくなるようなところで終るあたり、まぁ、そこも昔と同じでした。
◆男子が好きなツボを押さえた作り
男子が好きな要素を上手に取り込んでいます。変身、鉄道、怪獣、収集、小学生、忍者、戦い。本当の新幹線の系統番号などと同じで、走っている場所の都道府県が出身地になっていたり、女子のキャラクターも配置していたり、あまり過激な表現もないなど、親を敵に回さないための配慮が明瞭です。スポンサーはプラレールやトミカの(株)タカラトミーです。
◆テレビは表層イメージを共有しやすいのが強み
ごっこ遊びは「再現遊び」なのですが、登場するキャラクターを共有していれば、その名前を言うだけで相手にも伝わります。シンカリオンはそれぞれが得意技を持っていて、それを繰り出して戦うときに「フミキリシュリケン!」とか「ビームライフル!」とか、口癖の「ぶちおもしれえ」とか言って遊べるわけです。
運動ゾーンのネット遊びの中で飛び交っていた「言葉」の世界は、きっと、そんな感じだったのでしょう。テレビ映像を思い浮かべて少し想像できます。

◆子どもは手と足で感じて考える

昨日はこの「園長の日記」で、「週1回ぐらいのテレビの影響に負けたくない!」という趣旨を書きましたが、実はこの番組は毎日やっていました。火曜~金曜 の朝7:00~8:00に、2話ずつ放送しています。毎日見られるのです。これは、ちょっと「手強い相手」かもしれませんね。

でも大丈夫です。子どもは身体ぜんぶが感覚です。あくまでも例えですが「子どもは頭と手足で一緒に考える生き物」です。テレビは所詮テレビです。リアルに五感が揺さぶられるような遊びの魅力には、到底及ばないのです。

テレビ番組のシンカリオンよ、千代田せいがは「センス・オブ・ワンダー」な体験で、「しょーぶだぁ!」。

(カブトムシを幼虫の頃から育て、孵化するときも観察し、ジェリーの餌を与えて、飛ぼうとするとき羽を広げるところをみたり、カブトムシを持てるようになったり、こうやって、それを見せてくれたりしています。でも、先日、飼っている虫かごに、カブトムシは湿り気がある方がいいという話を勘違いして、ドボドボと水を入れてしまい、溺れて死んでいましました。そんな痛恨の失敗が起きるのも、実体験の詰まった生活です)

top