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園長の日記

I小学校で図工の魅力にハマる

2025/02/06

1回目の小学校訪問で「小学校行きたい!」の気持ちにギアが入っている年長すいすいさん7名。今日はもう一つのI小学校に出かけました。8時45分登園もばっちりで、これからだんだん登園時間を早くして小学校時間に合わせていきます。近隣の3つの保育園と合同で授業を参加させてもらいました。

まずは2年生の教室。ぴょんぴょんガエルを作っていました。教えてもらってすぐにマスター、やりたい!、つくりたい!という眼差して食い入ってみてました。そして帰ってきてから食後にすぐに完コピして作ってました。担任曰く「普段からいろいろ自由に作って遊んでいる経験から、あっという間に完コピして仕上げていました!」だそうです。

5年生の図工もみせてもらいました。こちらも中に入らせてもらい、板と釘と輪ゴムを使ってピンボールのような製作をお兄さん達がしていました。

「おぉ、、、これも作ってみたい。。。」いろいろな道具や素材が並んでいて、あれはなんだろう、どうやって使うんだろう?と興味津々。優しいお兄さんが使い方を教えてくれました。

以下は今日のドキュメンテーションから。

<廊下には先輩たちの焼き物の作品。 Yちゃん、お姉ちゃんの作品を見つけ嬉しそうでした♪>

<図書コーナーも案内してもらいました。 魅力的な本がいっぱいで、しばらく座り込んで読んでいました。図書の先生曰く、せいがの子達はみんな本が好きだっておっしゃっていました^^>

ちょうどその時、卒園児の5年生NUくんが友達に「保育園の時に園長ライオンにもエルマーとかいろんな本も読んでもらっていた」と説明。彼も熱心に聞き入っていたことを思い出しました。

<見学の後は、アイグラン、ほっぺるランドのお友達たちと一緒に和泉公園で遊びました。 まずは3園のみんなで何をするかのプチ会議。 最初は鬼ごっこ!少しずつ打ち解けていきます。>

<「お友達出来たよ♪」嬉しい言葉を子ども達から聞きながら、ご飯を食べに保育園に帰りました^^>

小学校で一緒になる年長さん同士、名前も覚えあって、いい交流になりました。

 

 

社会の変化を見通した成長のあり方とは?

2025/02/05

園だより2月号「巻頭言」より

 毎年この時期になると「子どもの育ちと自らの保育」を振り返るのですが、そのための数ヶ月ごとの記録がある種の「物語」が浮き出てくるのが面白いのです。その集大成となるのが当園の場合は「成長展」と呼んでいる行事になるのですが、数ヶ月ごとに定点観測のように録ってきたエピソードや子どもの作品を追っていくと、一人一人の変化を発見できます。この行事はその変化のプロセス(成長)を家族と先生と一緒に喜び合いたいという趣旨になります。

 この成長の物語が、彼らが大人になった時の時代に花咲く物語であるのかどうか? それに相応しい経験の物語になっているのかどうか? すでに、彼ら彼女らをその待ち受けている社会の(一部?あるいは、大部分?)変化は加速度的に速くなっており、どうなるのか不確かで、複雑で、しかも物事の意味や帰結があいまいになり、明確な意思決定を行うのが難しいと感じる時代です。昨今の話題はそれを物語っているようにみえてきます。

 OECDの「教育とスキルの未来2030年」まであと5年です。大学共通テストをChatGPTが91%(昨年は66%)正解する時代です。遠藤熊本市教育長の「AIを使えば簡単に解ける問題を自力で解けるようになるために小中高12年間を勉強する必要があるのか?」という問いは、冗談ではなく、真剣に考え抜く必要があるでしょう。

きっと社会の変化の流れを感じ取り「学習者が継続的に思考を改善したり、意図的かつ責任のある形で行動できるような反復的な学習プロセス(AAR)」が、どうしても不可欠になってきように見えます。これは大人も同じでしょう。世間の騒動をみてもそう思います。それをやっていないと、こうなると言うような。あと5年。その頃から始まる学習指導要領を今から決めなければならないのですが、たしかに「10年サイクルでは遅すぎる」という話が出てもおかしくないだろうなあ、と思います。

それでも、いまの要領や指針が大事にしていることが、将来も通用することが多くあるはずであって、それがまだまだ実現されていない、という側面を忘れてはならないでしょう。要領や指針は深い理解(あるいは深読みも?)がきっと大事なのでしょう。

社会の中で育つ人間は、その経験を社会でします。それはAIでは経験できません。保育園はAIができることを包摂する身体的で社会的な空間である、といえるのではないでしょうか。ちょっと、おこがましいかもしれませんが、その空間創造の延長線上に学校のあり方も変わっていく必要がある気がします。

栄養士を目指す学生たちが園児と一緒に豚汁づくり

2025/02/03

大妻女子短大の学生さんたちが「食育活動」の体験に来られました。

豚汁を子どもたちと一緒につくり、学生さんたちが用意したクイズを楽しみました。

自分たちで包丁を使って切った白菜や大根やにんじんの入った豚汁。主食は焼き海苔の上に、ご飯と鶏肉を乗せたり、挟んだりして食べました。

栄養士を目指す4人の学生さん。乳児から高齢者まで、いろいろな発達にあった食事をつくること学んでいます。幼児と一緒に食べる食事は初めて。野菜の下拵えが終わった後は、豚汁ができるまでの時間、保育室で園児と遊び楽しかったようです。

第5回 全国実践研究大会in熊本(2日目)

2025/02/01

大会の2日目は、6つの実践報告がありました。昨日の講演やトークセッションで語られたことが、いわば理論だとするなら、今日の保育実践の事例は、それを具体化したものと言えるものばかりでした。少し詳しく報告します。それぞれにきっと参考になる工夫と今後の見通しが語られているからです。とくに学校教育の構造転換提案の3つの柱を「苫野一徳プラン」と呼ばせていただくと「藤森プラン」(つまり要領指針の具体化の一つ)との接続がかなり重なると思います。

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同年齢でも異年齢でも「子ども同士の関わり」で育つものがたくさんあるのですが、苫野プランでいう1と2の柱になる実践でしょう。ある種プロジェクト的な継続的な活動を異年齢で協働して作り上げていく事例が報告されました。その活動のなかで育つものがよくわかる事例でした。

🔳井尻保育園(福岡)は「笑顔・意欲・生きる力〜異年齢の関わりで育ち合う子どもたち」。

天気のいい日は乳児から幼児まで総勢235人が園庭で夢中になって遊んでいます。報告されたのは、運動会のお神輿リレー競技を作り上げていく過程でした。異年齢の5グループがペンギン、いか、ひとで、くらげ、ちんあなご、といった海の生き物を作っていきます。海の生き物を何にするのか、5歳児が3〜4歳児の気持ちを汲み取りながら、図鑑を見せたりして時間をかけて決めたそうです。どんな形のものをどうやって作るのかも、4〜5歳児がアイデアを出しあい、3歳児の興味も引き出されながら、みんなで試行錯誤しています。

一つものもを力を合わせて作り上げて完成させる喜びはひとしおです。自分たちで考え、話し合ってできた自信は、次のハロウィンパーティにも生かされます。お化け屋敷、ダンスパーティ、お楽しみコーナー、写真スポットなど、話し合いの結果すぐ決まり、5歳児がリーダーとなって自分たちで役割も分担してきめてワクワクしながら仲間と一緒に楽しんだ。そんな報告でした。

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子どもたちが意欲的に活動していくために、保育ではよくアタッチメントの話が重視されます。不安になったり困ったししたら安心できる人に避難したり保護されて、また回復して元気を取り戻してそこを離れて、遊び始めます。「安心感の輪」モデルでは避難場所であり安心基地になるのが家庭では親、園では先生ということになるのですが、子ども同士の関係が育っていくと、とくに異年齢の関係が豊かな場合は、その安全基地に年長の子どもがなることもあります。さらに安心毛布などの移行対象が、保育空間や子ども集団であるのではないかと思えることさえもあるのです。

🔳加茂川保育園(熊本)は「2023ー2024 の保育実践と安心感の輪の広がりを考察する」。

この報告では職員がどのように子どもの安全基地になっているかを、子どもへのアンケートから調査したユニークな事例報告でした。幼児クラスの子どもたちに以下のような11の質問をしています。そして、乳児と幼児の担任、調理などの役割での違い、経験年数、個人差などで興味深い結果がでました。

この園でも異年齢保育をしているので、幼児の子どもたちでも、現在乳児を担当している先生も選ばれています。職員全体で幼児を保育していることがよくわかるものでした。また子どもが先生の違いをよく把握しており「子どもは気持ちや状況にあわせてしっかり大人を選択して、いろんな人と関わって成長していると感じた」「ちゃんと関わりを持ってくれる先生や安心できる先生を見つけられていて嬉しく思った」「自分で思っている自分と子どもに写っている自分が違うことに気づいた」などの感想が紹介されました。

1朝保育園に来た時に「おはようございます」を言いたい先生や会えた時に笑顔になる先生は?

2お部屋の中で遊んだり何かを作ったり、描いたりするときにいてほしい先生は?

3園庭で遊んだり、散歩したりする時にいてほしい先生は?

4運動遊びや思っきり体を動かして遊ぶどきにいて欲しい先生は?

5歌を歌ったり、踊ったり、リズム運動をしたりするときにいてほしい先生は?

6給食やおやつを食べる時に一緒に過ごしたいと思う先生は?

7お昼寝の時や、少し休みたいときにそばにいてほしい先生は?

8自分の気持ちや話や、考えていることをしっかり聞いてくれる先生は?

9何かができるようになったり、挑戦したりする時にそばにいてほしい先生は?

10悔しい時、悲しい時、寂しいと感じた時にそばにいてほしい先生は?

11満足しているとき、嬉しい時、心地いい時にそばにいてほしい先生は?

保育は子どもと気持ちの交流があって初めて成立します。先生が毎日、一人ずつの子どもと心を通わせているかどうか、子どもの側からみた安心基地になれているかどうか。それらがあって初めて、子どもにとって先生が安心の見通しであり、ちゃんと「見守られている」と思えることになるのでしょう。

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安心して遊び始める世界には、子ども同士の関係があります。それが人的環境としては不可欠なわけですが、そこをどうやて豊かにしていくといいのでしょうか。乳児から幼児への架け橋といっていい「2歳児クラス」の保育テーマです。そこに「自立」のプロセスを実践から報告したのが次の事例でした。要領・指針には領域ごとに「内容の取り扱い」がありますが、人間関係の一つ目は、いわば「見守るための保育者の関わり方」が4つ書いてあります。その実践例にもなっています。

🔳しんじゅくいるまこども園(東京)は、テーマが「自律心」。

安全基地としての保育者が、子どもの自発性を大事にしながらも、集団生活を行う社会性を育むために、それまで以上に自分を好きになるように「受容を大切にしながら」、一方で社会性を育てるために友達が好きになり、友達を一緒に楽しむことがしやすいような工夫しました。それを「みんな(少しずつ友だち同士)でやる楽しさやルールに気づかせる保育」と説明しています。そこから、異年齢の仲間との関わりが増えていき、相手の違いに気づいて、話し合いながら相手に合わせてルール変えて鬼ごっこを楽しんでいる様子が紹介されました。

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子ども同士の関わりをサークルタイムを通じて育んだ事例の報告が次です。

🔳デュランタ保育園「試行錯誤のサークルタイムー子どもたちの成長の裏側」。

乳児のお集まりも習慣になったり、2歳児クラスでは絵本「おおきなかぶ」を楽しみ、劇遊びにも発展し、その後の話し合いでは「そのあとかぶはどうなったの?」という言葉から会話が交わされて「猫が料理したんじゃない」「猫だよなべに落ちるかも」「じゃあ、おばあさんが料理したんじゃない」という結論になったというエピソードも。言葉や会話がふえて相手の気持ちに気づいたり、寄り添う言葉も増えて、自分の気持ちも言葉で伝えようとする姿になってきたそうです。先生たちも、どうしてそう思っていたのかなど子ども理解が深まる機会になっていっています。

幼児でも試みていくうちに、それ以外の時間でも自発的な発言や行動がみられたり、人の話を聞いたり、話し合ったり、人前で発言できるようになっていったようです。この大会への発表を飛躍の機会にとらえた取り組みだそうですが、タイトルにある「裏側」には、先生たちの成長があったようです。

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実践発表は、具体的な保育事例を取り上げますが、保育者の関わり方のポイントに絞った報告が次になります。

🔳新宿せいが子ども園(東京)「子ども同士のかかわりを大切にするための環境と保育者の関わり方を考える」。

内容はこれまでの研修会などでよく聞かれる質問への回答例をダイジェスト的にまとめたようなものです。先に触れたように領域「人間関係」の「内容の取扱い」の一つ目は4つあります。子どもの行動に温かい関心を寄せること。心の動きに応答すること。共に考えること。子どもなりの達成感を味わう経験を支えることです。これらを具体化したものに一部相当します。とくに一つ目の「子どもの行動に温かい関心を寄せること」の解説文にはこのような留意が強調されていますので引用しておきます。

「しかし、『待つ』とか『見守る』ということは、子どものすることをそのまま放置して何もしないことではない。子どもが他者を必要とする時に、それに応じる姿勢を保育士等は常にもつことが大切なのである。それは、子どもの発達に対する理解と自分から伸びていく力をもっている存在としての子どもという見方に支えられて生まれてくる保育士等の表情やまなざし、あるいは言葉や配慮なのである」

新宿せいが子ども園の報告は、ここを強調することから始まりました。

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さて、最後の発表は、まさしく子どもの可能性を信じる保育としての見守る保育の実践例です。

🔳いるべ保育園(福岡)「子どもの力を信じた保育園へ」。

迷いながらも子どもたちを信じて見守っていくと、こんな素敵な事例がうまれることもあるという感動的な事例でした。それは砂場遊びの用具入れのカゴで遊び出したことに対して、先生たちがどこまで見守るのか、話し合っていった経過が報告されました。きっと多くの園が同様の悩みや葛藤を抱えるのではないかと、思って聞きました。なんでも自由にしていいわけではない。ルールは統一したほうがいい、などの意見もあるものです。これに対して、別のものを代用してみては?危なくなければいいのでは?しかし危ないの基準が先生によって違う。保育者がそばいればいいのでは?片付け用のケースと遊ぶ用のケースを分けてみては?などと話し合いが続き、「子どもたちの気持ちはどこにあるのか」という点から、しばらく見守ることになったそうです。

すると写真のように、自分たちで遊びを作り出し、危険な遊び方に気づいていき、うまい片付け方も発見していったそうです。その姿から先生たちは「危険な場合をのぞき、遊びが発展していくことを子どもを信じて見守ろう」と保育者間で意見が一致した」といいます。この職員の話し合いの過程は、昨日の苫野一徳さん話では「最上位目標で合意する」という事例にもなるでしょうし、民主主義的な話し合いは効率が悪くて合意にいたるまでに時間がかかる、という課題を乗り越えた事例としても大切だろうと思います。またお異年齢で遊んでいると、上手な遊び方を生み出していく知恵も伝承されやすいという点も明記しておきたいことです。

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今回の大会の参加者は茨城、埼玉、東京、神奈川、新潟、長野、三重、京都、島根、香川、福岡、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄の17都府県から80園、約315人を超える参加となりました。300人収容の会場が満員で熱気にあふれるものでした。こうした草の根的な運営ができるのも、普段から研鑽と交流を積み重ねてきたからこそです。

他に類を見ない、大人の主体的学びの熱量の源泉となっているのは、主体的な子どもの姿が具体的に目の当たりにしてきている「身近な実例」があるからでしょう。こうした研修会は、自分の園の子どもたちと保育者の変化を実際に目撃し、感じ、その意味を吟味し合う機会になっているからです。

私たちたちが互いの保育をみあい「もっといい保育にできそうだという手応えと自信」を相互に得て帰っていく研修会。私たち保育者の「学びと自己効力感」を育む機会になっているように見えてきて、それをまた、熊本でも強く感じる大会でした。

第5回 全国実践研究大会in熊本(初日)

2025/01/31

この全国大会の企画は保育環境研究所ギビングツリー(略称GT・藤森平司代表)で、運営は各地のGT園が協力して開いています。午前中は熊本市内の保育園、幼稚園、こども園の見学で、午後からは「くまもと県民交流会館」のホールで2つの講演とトークセッションでした。

最初の藤森代表による基調講演は、私たちの保育が「要領や指針が求めているような主体的な子どもに育っているか?」を振り返りを求めるものでした。参考指標として例に挙げたものは、文部科学省・国立教育政策研究所が令和5年12月5日付でまとめた「OECD生徒の学習到達度調査〜PISA2022のポイント」です。それは以下のものです。

これはコロナ禍を経て15歳の義務教育課程修了の子どもたちの読解力、科学的リテラシー、数学的リテラシーの3分野を国際比較したもので、いずれも上位5位に入る「世界トップレベル」の学力を維持していることがわかりました。ところが気になるのは「自律学習を行う自信」(自律学習と自己効力感)は、OECD37カ国のうち34位だったことです。質問は「学校が再び休校になった場合に自律学習を行う自信があるか」を調べるために「日本の高校1年生に「今後、あなたの学校が再び休校した場合、以下のことを行う自信はどれほどありますか」と8項目を聞いたのです。

写真を参照ください。

レポートは次のように分析しています。

<感染症の流行・災害の発生といった非常時のみなら
ず、変化の激しい社会を生きる子供達が普段から自律
的に学んでいくことができるような経験を重ねること
は重要であり、主体的・対話的で深い学びの視点から
の授業改善の推進により、自ら思考し、判断・表現す
る機会を充実したり、児童生徒一人一人の学習進度や
興味・関心等に応じて教材学ぶ方法等を選択できる
ような環境を整えたりするなど、自立した学習者の育
成に向けた取組を進めていく必要がある。>

どうでしょうか?世界や日本が、このような学校教育
に変わっていくことが求めらている中で、私たちの乳
幼児教育は、どうあるべきなのでしょうか? 

学校教育がこのような方向に向かって変わろうとしていることを踏まえると、保育ではこの「選択できるような環境」をどう受け止め直し、乳幼児にふさわしい形でどう深めるか、という話と関係します。そこで「選択」「参画」「自己決定」などを乳幼児に相応しい形に吟味し直してきました。

一方で「教育基本法第1条(教育の目的)にある「〜平和で民主的な国家及び社会の形成者として〜」をどう育てるのかというように法令から参照していくときも、子どもの権利条約や子ども基本法、こども大綱、OECDのエイジェンシーなどを踏まえて、保育を進める必要があります。

そのときの鍵は「子どもが自分に関係する事柄について自らが影響を与える経験をすること」を保育でどう具体化するかということにつながっていきます。

つづく記念公演は熊本市教育長の遠藤洋路さんだったのですが、話はちょうど同じ文脈になりました。生成AIなどが将来の学校教育を変えるのか?学校の役割はどう変わるのか?教育はどう変わるのか?

次期学習指導要領ができる頃に、もしかしたらシンギュラリティが現実味を帯びているかもしれないほど急速に変化している時代に、大人も含め子どもの学びのビジョンをどう描くのか、極めて重大な時期に来ていることをわかりやすく説明していただきました。

そして令和5年12月22日に閣議決定された「こども大綱」について、「若者やこどもの意見をきいて施策に反映することや、若者やこどもの社会参画を進めること」には次の2つの意義があるとします。

(1)こどもや若者の状況やニーズをより的確に踏まえることができ、施策がより実効性のあるものになる。

(2)こどもや若者にとって、自らの意見が十分に聞かれ、自らによって社会になんらかの影響を与える、変化をもたらす経験は、自己肯定感や自己有用感、社会の一員としての主体性を高めることにつながる。ひいては民主主義の担い手の育成に資する。(赤文字と下線のあるところは遠藤教育長が強調されていたところです。)

この話は、基調講演でスウェーデンの民主主義教育が紹介されたので、そこでピッタリとつながりました。

会場を移動してトークセッションには哲学者の苫野一徳・熊本大学准教授を交えて3人による<これからの教育・保育に必要なこと>について語り合っていただきました。苫野さんは熊本市の教育委員でもあり遠藤教育長とは何年も話し込んでいる間柄です。3人とも「そもそもところが大事」というところが共通でした。

苫野さんは「教育とは子どもが自由に生きたいように生きていくための力を身につけること」とだとし、その自由とは「自由の相互承認」という表現で人類がその実現を目指してきたもの、といいます。教育に必要なことは「子どもを信じて、任せて、待って、支えること」。それは誰もが当たり前のことと感じているはずなのに、それが十分にできなくなっているのは、システムがそうすることを阻んでいるからではないか。そういう意味でも150年経った日本の学校教育も構造転換が必要で、考え方は250年の積み重ねを経てできているから、それを実装する時期にきているとし、それに必要なのは次の3つではないかと提案されました。

構造転換の柱を項目だけ紹介すると①「学びの個別化・協同化・プロジェクト化」をすすめ②「探究をカリキュラムの中核にして自分たちで対話を通して学び」さらに③「学校を多様性がごちゃ混ぜのラーニングセンター」にしていこう、といった話でした。「これらは各地で、すでに始まっています。10年後は明るい」と話されました。

 

ギビングツリーの仲間の園を見学する

2025/01/30

保育はとても裾野の広い総合的な営みです。その実際の運営ともなると、法人の設立の仕方から望ましい経営方針に始まって、会計や社会保険労務、職員の採用(方針や職員像の明確化なども含む)から養成や研修、キャリアパスの開拓、保育者や栄養士や看護師の養成校との連携、一次的な保育環境の構想の仕方(園庭を含む保育空間の設計やゾーニング)や、世界の保育家具や遊具メーカーとの開発協力、絵本などの各種教材の開発、国や基礎自治体の行政の動きや保育団体の動向、学会の研究動向の把握やそれを踏まえた保育実践の具体化など、かなり広範囲な専門性が必要です。

私が知る限り、こうしたすべての分野にまたがって現実的で具体的な方法論を提案しているの「見守る保育・藤森メソッド」と呼ばれるようになったアプローチだろうと思います。他はそれぞれの専門領域に限った〜メソッドとか〜アプローチとがいろいろあって、それぞれに学ぶことが多いのですが、しかし実際に保育園を経営するとなると、他の領域の知識とスキルを総動員しながら進めていくしかありません。

実際に経営している理事長や園長が集い、より現実的な方法を研鑽し、実践事例を持ち寄って協議しあって深め合っているのがギビングツリーという団体の特色だろうと思います。そこに実践発表や公開保育をこれだけ頻繁に行なっている団体を知りません。

明日から年2回の全国研究大会(熊本大会)があるので、ひと足先に熊本にきているのですが、これらの実践は、保育環境を整えるのが一次的環境だとすると、さらにその上に子どもの実態や保育者のいろいろな働きかけによって動いていく、いわば「二次的環境」が、実に多様に展開されてきています。そのバリエーションの豊かさが大きな学び合いになっていく局面になってきたと感じます。

にこにこ組の保護者会

2025/01/29

保育園で2歳児クラスから3歳児クラスへ移行するというのは、乳幼児期で最も大きな節目といえるかもしれません。幼稚園が通常3歳児クラスからという理由の一つは生活習慣が自立しているかどうかが大きいのかもしれません。食事、睡眠、排泄、衣服の着脱、清潔、挨拶などが、だいたいできるようになっていくことが前提だからでしょう。という生活習慣になっていってほしいというのは、心の育ちからすると自信にもなるからです。満3歳というのは大きな節目なんです。

遊びは個人差が大きくなっていきます。ごっこ遊び一つとっても、大谷選手ごっこや戦いごっこが好きだったり、プリキュアの世界のごっこ遊びや家族ごっこが好きだったりと、幅広いわけです。絵本もお話が好きだったり、昔ばなしが好きだったり、あるいは図鑑類に首っきりという子もいます。世界が一段と広がると思えばいいのでしょう。

ですから移行のときは最初は遊びのゾーンを一つずつ、こういうふうに使うと楽しい、面白いという使い方を教えていきます。使い方や関わり方を知らないとつまらない、とか危ないとか、可哀想ということになりかねませんから。そのうえで、だんだん幼児クラスの遊びが楽しい、面白い、また行きたいという気持ちになりながら、遊ぶ場所の移行が進んでいきます。

食事は同じ2階の隣なので、いつもみているので真似しながらできます。午睡の場所も、3階に移動しますが寝ないで済む子もも2割ぐらいいるかもしれませんが、保育園は生活が長く朝が早かったりするので、休憩が必要な場合がおおいでしょう。ちなみに年度の初めは4歳が半分、5歳だと8割が起きています。それがほとんど起きて過ごせるようになっていきます。

言葉の発達についても少し説明しました、とくに強い言葉や乱暴な言葉について。その資料を以下に載せておきます。

0ー40 嫌な言葉・強い言葉

 

みんな「楽しかった」という千代田小訪問

2025/01/28

担任が「小学校、どうだった?」と聞くと、7人全員が「楽しかった!」と手を挙げました。今日は年長の7人で千代田小学校を訪問したのです。

9時25分からの2時間目。1年生が英語と図工、2年生が算数でした。まず最初の英語が、楽しそうでした。スクリーンの映像をみながら、体を動かしながら歌うように英語を口にしていました。

隣のクラスは図工で、画用紙で箱型のカエル人形を作っていました。手元がスクリーンに映し出され、それを見ながら製作しています。

算数をやっていたクラスは「どうぞ入っていいのよ」と誘われて教室へ入ると、担任の先生から、いわゆる「百ます計算」のようなプリントを全員にいただきました。

実はこれをもらった子たちは、やりたい!と保育園で計算を始めたのです。すごく意欲的でびっくりしました。

教室で先生から直接いただいたプリントは、宝物のようなのでしょう。この子達にとっては、たぶんプリキュアの塗り絵のように輝いていることでしょう。

こういうきっかけから、算数の足し算に親しむことができるのもアリだろうと思いました。

授業参観がおわると、ちょうど中休み。2年生3年生4年生になっいてる卒園児との再会もできて、校庭でバスケットや雲梯、鉄棒などを楽しんで帰ってきました。

 

ぐんぐん組の保護者会

2025/01/28

このタイミングで保護者会を開くのは、来年度の「進級向けての心構えや準備」をお伝えしたいからなのですが、せっかくの機会なので、最近の子どもたちの様子や保育エピソードも動画で楽しんでもらいました。思えば、昔は口頭で保育エピソードをお伝えしていたのですが、その後写真を見てもらいながら、ああだこうだと話し合っていました。それが今は動画の時代になりました。私のようなものからすると、なんと大きな変化だろう!と感慨深いので、ちょっと申し添えておきます。

というわけで、動画の内容の紹介は省略させてもらいますが、どの動画もこの1年の育ちの大きさを微笑ましく確認することができたように思います。会の後半は、2歳児クラスになったら、食事がこうなっていきますよ、とか、排泄の自立のために、こんな促しをしていきますとか、夜の睡眠の大切さとかの話をしました。主任からは靴の大切さについて話がありました。懇談の時間が足りなかったので、ぐんぐん組で何か交流できる機会をまた別途持ちたいな、と思ったのでした。

赤ちゃんのぐっすりねんね講座

ちっちの保護者会

2025/01/27

今日は乳児「ちっち組」の保護者会。春から1歳児クラス「ぐんぐん組」に進級するにあたり、まずは現在の子どもたちの育ちの姿をお知らせしました。年間指導計画の枠組みに沿って、身体的な育ち、精神的な育ち、社会的な育ちの三つの関わりの視点ごとに、具体的な事例を紹介していきました。この枠組みが、教育の5領域につながっていることがよくわかる説明になっていて、その育ちの広がりぐあいを保護者の方々にお伝えすることができて、私たちも嬉しい気持ちを覚えました。

一つ上のクラスになると、こんなところが成長していきますよ、という見通しとともに、ちょっと気が早いのですが「イヤイヤ期」についても、どうしてそういうところと繋がっていくのかもお伝えしました。関わりの三つの視点の一つ「伸び伸びと育つ」が自己との関わりなので、自我の芽生えのテーマと繋がっており、また一方で社会性である「身近な人と気持ちが通じ合う」は、自己について他者との関係でも捉える話ですから、この二つのことが重なり合う形で、イヤイヤ期が生じてくることになるのでした。

☆ちっち組保護者会 説明資料

0ー35 いやいや期(詳細)

 

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