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園長の日記

ダンスで偶然にみつかる「いい感じ」

2024/09/18

午前中はダンサーの芝田いづみさんと宮崎知佳さんがいらして、ちっち・ぐんぐんからわらすまで、順番にダンスを楽しみました。前回からさらに進展してきたダンス。何が「進展」してきているかというと、その場の子どもの状況に応じて内容が流動的に変化してく感じになってきました。

グーパー体操、トンネル、マネキンとデザイナー、やさしくタッチなどが「もっとこういうのを試してみたい」という感覚を広げてあげいく感じです。そこで偶然に瞬間に生まれる動きの面白さや素敵さに気を止めて、「そこそこ!」「いまの!」という気づきを味わっていく感じです。

身体が先にそれに気づき、心は跡付けていることがわかる、とでも言っていいのでしょうか。あるいは心も体も一緒に動いていることが実感できるということです。

<ちっち・ぐんぐん>

赤ちゃんたちとはダンスというより、手遊び歌で楽しく体を動かす、「お母さんと一緒」ならぬ「先生と一緒」という空気感で楽しみました。お馴染みの「からだだんだん」や「バスに乗ってゆられてる」が流れると、もうその気になって気持ちが動き出します。そこに、いづみさん・ちかさんも一緒に加わって、子どもの「あれやりたい」「これやりたい」を上手に拾っていただきながら、運動遊びが繋がっていきました。

【ダンスでは、音楽が流れると、楽しくて思わず体が動き出す子どもたち。馴染みのある触れ合い遊びやダンスでは、自らぴょんぴょん飛び跳ねてみたり、決めポーズを決めてみたり…触れ合いながらたっぷりと体を動かしまた。】(日誌)

【「ブーブー」というしょうたくんのリクエストに合わせて、バスに乗って♪ や、大型バスに乗ってます♪ はたらくくるまなどたくさんの曲でダンスや触れ合い遊びをたのしみました。 怪獣になってみたり、ちょうちょを探したり、お歌に合わせて体をたくさん動かして表現を楽しむすがたがたくさんみられました^^】(日誌)

<にこにこ>

輪になって座り、グーパー体操は足でやってみる。そこから「寝転がってもできるよ」と寝て足を広げたり窄めたり。そこから、こんどは腹ばいになって、手足を挙げると、お腹を支点にしてくるくる回ります。まるでスカイダイビングのような格好です。頬杖をついた格好でもグーとバーをやってみます。するとちょっと茶目で可愛いポーズにも。

【心から溢れ出てくる表現が盛んに繰り広げられた楽しい時間を過ごすことができました。写真からは伝わりづらい部分もあると思いますが、それぞれの参加の仕方でダンスを楽しんでいました。見ることも大切な表現、身体が動き出しやすい環境の影響もあるので、それぞれの子ども達が心から動き出す、歯車を自分で動かしていく、そんな機会をこれからも大切にしていきたいと考えています。】(日誌)

<わいわい>

トンネルを潜っていると、それが電車のレールに見立てられたのか、自分から寝転がってレールのように繋がっていくと、そこを足で跨いだトンネルが電車になって動いていきます。名前のない見立っぽい遊び。横なっているのが「線」のイメージなのか、その先に横たわって延長させたり、途切れているところを繋ごうとします。それが自然と輪になっていきました。

大人の「もっと大きくできる?」という声にそれを理解した子が広がろうとします。ごろごろしたり、うつ伏せで動く膝下の足を左右に動かしてみたり、床と寝そべった身体が転がったり、すべったりする接触感を感じつつ、自分からは周りの世界がいろいろ動いて面白いのでしょう。

【今日はAくんが2階に置いてあった楽器を見つけた所から、楽器を使いながら表現あそびをしました。Yちゃんはあまり参加せず、見ていることも多かったのですが、大人のマネキンを動すこと(デザイナー)は楽しんでやっていました。全体的にマネキンダンスが好きな子が多く、Aくん・Aくん・Hくんもマネキンやデザイナーに楽しんで取り組んでいました。】(日誌)

<らん・すい>

今回はじめてやってみたのは、床にマスキングテープで子どもたちが自由に線を貼り、できた線の模様の上を、いろんな姿勢で移動してみるというもの。線から外れないように、だいたいのところを歩いたり、細いところは爪先立ちになったり、ちょっと遠いおころは跨いだり、さらに遠くは跳んだり。あるいは足だけではなくて手もついて、足と一緒に移動させたり、あるいはカエルのように両足でピョーンと跳ねていたり。線と線が離れて遠いときは、そこを転がってみたりしました。

そのほか、マネキンもテンカウントで時間で区切らず、好きな形になるまで自由に動かしてみたり。野球のバッターのポーズができあがったりと、動かすデザイナーよりも動かされるマネキンとの共同作品になっていきました。

わらべ歌ダンス「お鬼さん何するの?」は、前回に続き、真似をするだけでありましたが、ダンサーの繰り出す、いろんな即興の形に、子どもたちは引き込まれていきました。体の動きには本当に無限であって、それぞれがいろいろな感情を引き出す体験ができました。

【今までにないマネキンの格好も見られるようになり、どんな格好に動かせるか、探究は深まります。野球のポーズも初登場しました。普段流行っている野球遊びと繋がっていきます】(日誌)

拾ってきたどんぐりで、絵の具遊び

2024/09/13

2階から3階にかけての階段の壁に掲示されている作品をご覧になった方が多いと思います。13日に行った「絵の具遊び」。野菜スタンプ、どんぐりを転がす、自由に描くの3種類。久しぶりに出かけた木場公園で拾ってきたどんぐりを使った絵の具遊びは、ちょっと新鮮だったようです。

暑いので、屋上でまだ水遊びをしていますが、公園に行けばもう既に大量のどんぐりが落ちています。それの絵の具をつけて画用紙の上に転がしていくと、予想できない線の模様ができていきます。

転がしだすと、色がつき、止まったりぶつかったり、まっすぐには転がらない、ギザギザの波打つ線が重なり合って、段々と線が増えていく。線と線が重なったところは、色が変わることにも気づき、色彩や模様の変化が面白いようです。

しばらくやってみると、どんぐりが、どんなふうに転がっていくかの見当がつき始めると、そっちの方にも転がしてみようと傾け方を変えたり、色をつけ直して、やり直してみたり、できていく形や、色彩の美しさを味わっているように見えます。

「どんぐりの動きに注目したり、色の混ざり方を楽しんだり、子供たちは目をキラキラさせて夢中になってやっていました。またやりたいと言う声も上がったので、また機会を作りたいと思います」(担任)

 

その「ひらめき」がやってくるところ

2024/09/03

「今日はひらめきがたくさんありましたね」。ダンサーの宮崎知佳の今日の感想です。今日の子どもたちは前回8月21日の姿よりも、より自発的な動きを楽しんでいる様子が伺えました。

午後の振り返りで4歳の担任Yも同じような感想を持ったようです。ある地点から青木尚哉さんの方まで「走ってタッチ」(という名前がついている動き)するとき、走ってこなくても、ケンケンだったり、転がったり、くるくる回ったり、どんな格好でもいいのですが、それが最初から、それぞれ思い思いの動きになっていたのです。

前回までは、思いつかないので、ただ真っ直ぐに一直線に走ってくる子が多かったのです。この遊びは「ソロダンスステップ」に繋がっていくものなのですが、プロダンサーとして舞台やステージで踊る青木さんによると、人前で自分でスタートを切って何かやってみるということは、かなり高度な部類に入るものなのだそうで、恥ずかしいという思いも出てくるし、しかも一人でやる、というのはかなり敷居の高い部類になることは、確かに想像できます。

それが今回は四つん這いになったり、色々な格好をするようになっていました。やることの楽しさと面白さが、気恥ずかしさなどの壁を超えた、とでもいうのか、これまでの経験の積み重ねからか「あ、そうだ、これやってみよう!」とでもいうようなひらめきから、体を動かしてみることへの躊躇が減っているように見えました。それは、その次の「鬼さん、鬼さん何するの?」のアレンジでもありました。

この遊びも、自分の番になって「これするの!」が思いつかないことへのプレッシャーを感じる子どもは参加しにくいので、今日は「青木さん何するの!」を真似するだけにしてみました。すると、「次はなんだろう?今度はどんな動きをするんだろう?」と興味津々で、次々に出てくる「これするの!」の「動き」に釘付けになりつつ、自分でもそれを真似したい、やってみたい、楽しい!という循環が生じていました。

その最後の方では、そんな動きもありか!と感じたのか、それなら僕もやってみる!とばかりに、リズムをとっている「間」(実際にやるタイミングよりも早く)に、前に出てきて踊り出す子も出てきて、楽しそうです。どんなに楽しいかというと、やりながら面白さからの笑い声が渦になっていくのです。この空気感は、子どもたちを引き込んでいきました。4歳のHYくんは、最初はみていただけでしたが、途中から立ち上がって何か入り、自由に踊り出したのです。

一回きりの、2度と同じフリのないダンスの時間。やりながら感じるのは、私たちの身体が意識を超えたところで環境と応答していることの面白さです。一種のノリやグルーミングのようなものがあります。青木さん曰く「今日はその場の空気感を目一杯拾ってみました」と言います。保育の言葉に翻訳すると、子どもの心の動きが発する身体からのメッセージに応答しながら、動きやすいものにアレンジして繋いでいったような時間でした。

ダンサーとの話し合いから〜とうきょうすくわく〜

2024/08/22

昨日21日(水)はコンテンポラリーダンサーの芝田いづみさんと宮崎知佳さんにきていただき、子どもたちと運動を楽しみました。数あるダンスの種類の中で、なぜコンテンポラリーダンスなのかという話は長くなるのでまた別の機会にしますが、簡単にいうと「環境を通した保育」に適しているからです。子どもが楽しくなる、思わずやりたくなる身体的、音楽的、空間的な環境を作りだすことで、普段あまりない世界を子どもが体験できます。思わずやりたくなる、というのは子どもの方がやるかやらないか、それをその都度思いつきでやる主導権があるということを大事にできからです。(そういうのであれば、ダンスは何でもいいんですけれど)

この辺りは「振り付けのないダンス」という説明をしていたことに通じます。言ってみれば体遊びなのですが、戯れ遊びや鬼ごっこやわらべうたや体操やスポーツとも違う、新しい体の動きを発見していくような、身体の探究になっているような身体的な遊び、というといいでしょうか。ダンスの方からの言葉で言うとインプロビゼーション、即興的ということなのですが、子どもたちはそこに面白さを感じてノリノリになっていくのです。

子どもたちとのコミュニケーションのために、いろんな動きにわかりやすく名前がついているのですが、それぞれにやる目的というか意味があって、それはやるたびに発見されて、エクセルの表にまとめているものに、どんどん発見された子どもの姿が書き込まれていっているのですが、やるたびに子どもの経験が積み重なり身についていくので、それがまた新しい動きや思いつきを誘発させていて、午後はダンサーの芝田さんと振り返りながら長い間話し合いました。

たくさん話したのですが、その中の一つに、わいわ組(3歳児クラス)のISさんが「トンネル」を潜り出した時に、そばにあった椅子の下もどうなるか潜ってみたいと言い出し、その気づきが面白いね!いいね!と、それを試してみたのですが、ともて自分の体が通らないことがわかって、そのあと反対に椅子をトンネルのように覆う仕草をしていたのです。物との関わり方を試すということなのですが、そういう試行錯誤的な思いつきの体の使い方や世界の取り込み方が、即興的にどんどん生まれていく面白さが、この活動にはあるよね、という話になったのです。

0歳から3歳児以上の幼児クラスまで、全て動画を撮ってその分析をしながら、何が子どもたちに「起きているのか」を振り返ってみると面白いだろうと思っています。この日、午後の振り返りの中で、都内の中学校の保健体育でダンスを指導しているいづみさんと、幼児の時期にこのようなことを体験しているのとしていないのでは、何が変わると思うか?という話になったのですが、自分からこんなに表現していいんだという、自由に自分を出す体験の積み重ねは、そういう感覚を体験しているかどうかだから、かなり変わっていくと思いますよ、という話で同感したのでした。

ずっと一緒に見てきた担任も次のような感想を書いています。「毎年やっているので、年々、表現のバリエーションも増え、その時々の感情やその子らしさが見えてくるような気がします。ダイナミックに表現する子もいれば、よく見ていると、手先が動いているような、そっと表現するような子もいたり、輪に入って参加している子もいれば、見ている子もいたり、それぞれの距離感で表現遊びを楽しんでいます。」

 

溶かして混ぜて自分のクレパスを作りませんか?8月3日(土)

2024/08/01

クレパス作品を手掛けているアーティストのコンドウカヨさんが、8月3日(土)に台東区でワークショップを開きます。クレパスで絵を描いているクレパス画家のコンドウさんは、イベントを通じて親子で集える場所を作っていきたいそうです。「近くの保育園などにお願いして回っています」と尋ねていらっしゃったので、ご案内します。

20240802 one day workshop

七夕飾にみるパターン化された造形のしやすさ

2024/07/08

当園ではハサミを制作で自由に使うのは当たり前でしょうが、意外と制限の多い保育園は多いものです。危なくないように、上手に使えるようになってくると、自分が好きなものを作るために必要な時にハサミを使いこなすようになっていきます。

毎年のことですが、七夕飾りは、提灯や短冊や輪つなぎなどを作るときに、「きる」と「はる」の基本形が登場するので、制作遊びの導入にもってこいの素材といえます。

提灯は輪にして一部に切り込みを入れるだけ、輪になる細長い四角形は直線ぎりでできます。素材が色紙なのでのりもつきやすく、最後に飾るという楽しみがあって、きれいに出来上がるまでを簡単なステップの組み合わせで達成できるのです。

そうやってみると、完成形がイメージされている造形遊びと、どうなるか分からない造形遊びがあって、どのどちらの要素も組み合わさって面白さがなりっていくのだろうな、と思えてきます。

 

今回は「色の変化」に関心がシフト?<10豊かな感性と表現>

2024/05/16

「明日は汚れてもいい服での登園のお願い」をさせてもらいました。スモックだけでは防ぎきれないダイナミックな動きのために、そこを気にしてしまうともったいないから、なのでよろしくお願いします。というのは、こんな経緯から。

🔳今日は子どもたちからのリクエストの絵具遊びをしました!今回もご協力ありがとうございます。 今回は、準備段階からみんなに手伝ってもらい、リクエストの色をみんなに作ってもらいました。前回は、豪快に絵具の感触を全身で楽しむ姿があり、今回は、絵具の色の変化を楽しんでいる様子が見られ、この活動の面白さに気づかされました。 「さあそろそろごはんだな~」と伝えると「まだやる!」と。またやりたいと思います(^^♪

スポイトを使って、青の中にピンクを入れ、混ぜ混ぜ。スポイトを使いこなしていました(^^)/

今日もAくんは、足と手に豪快に塗ります!絵具の感触は本当に面白いですよね!

混ぜた色を足に付けていきます。 Aくん、真剣モード!

混ざりあう絵具の足跡。

Hくんは、文字に興味があるので、絵具の筆でもお名前を書いていました!豪快に描けることが嬉しそうでした。

Hくん混ぜた色を描いていくと、「むらさきになってた!」と。混ぜた時と違う発見があったようです!
Aくん、Hくん、それぞれ水に混ぜた絵具で紙の上に描きます。 時々顔を合わせながら、お互いの色が混ざり合うのを楽しんでいました。
Sちゃんは丁寧に丸い筆に色を付けていきます。sちゃんにとっては、筆もパレットも作品のようで、細かく塗っていました。
大好きなピンク色も大人と一緒に作り、描いていきます。
Yちゃんも、パレットを片手に、まるで画家さんのようでした!
(今日のドキュメンテーションより)

<担任の振り返り>

前回と違って、今回は「色」がテーマだったように感じる。絵具の混ざり方や変化を楽しんでいた。S、Yは、色にこだわり、きれいに色を作っている印象があった。Hが、混ぜているときには色に気づかなかったのか、紙に描くとむらさき!!とキラキラした目で伝えることがあった。このような発見から色との出会いや不思議さに気づくきっかけになるのかなと感じた。

<⒑豊かな感性と表現>

心を動かす出来事などに触れ感性を働かせる中で、様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き、感じたことや考えたことを自分で表現したり、友達同士で表現する過程を楽しんだりし、表現する喜びを味わい、意欲をもつようになる。

今日も商売繁盛のラーメン屋さん<3協同性>

2024/05/16

「すいすいさん(年長さん)たちが、作ったラーメンも、本格的になってきたんですよ」と先生も目がキラキラ状態がずっと続いています。

午前中は散歩に行ったり屋上で遊んだりしていた子どもたちが、園に戻ってくるとベランダの砂場と隣のアトリエ空間に入り浸りで、わいわいと活気あふれる空気がずっと流れています。

先生に「ずっとやってるねえ」というと、子どもが私に当たり前でしょ!というような勢いで、「もう、ずっとず〜っと、あしたも、ず〜っとやるんだから!」と口を挟んできました。遊びが面白くてゾーンに入っている状態です。そこからうちの法人は従来のコーナーをゾーンという名前に変えた経緯があるのですが、その集中度は子どもが作っているものにも現れていますね。

<3協同性>友達とかかわる中で、お互いの思いや考えなどを共有し、共通の目的に実現に向けて、考えたり、工夫したり、協力したりし、充実感をもってやり遂げるようになる。

チョコが溶けてセロテープがストローに変身した

2023/10/24

毎週火曜日の午前中は、年長さんが3人ずつ3グループに分かれて、いろいろなことをします。私が相手をした3人はNK さん、NYさん、KSくんの3人でした。乳児用の遊具作りや生き物のお世話、装飾のお手伝いなどをしてもらうのです。今日は子ども用の実験セットを準備する予定だったので、それを手伝ってもらったのですが、その前にある実験をしてみました。この子たちは科学とか実験とかが好きなんです。そこで私が選んだテーマは「溶ける」です。

子どもの身近な生活の中には「溶ける」という現象がいたるところで起きています。しかし、同じところに重なっている存在の現象は難しいのです。三様態も見えない気体が液体になる「結露」とかも難しい。「コップの中の水が伝わってこっちにきた」と言った理解をしていることを、この日記で報告したことがあります。

でも、子どもなりに面白いと思うことがないかと考えていたら、昨日月曜日の夜のテレビで、美味しさを競う料理番組があり「口の中で溶ける」という話をやっていて、そうか!と思い至りました。毎日食べているものが口の中で溶けるということなら、子どもは体験している。それを目の前で再現するというのはどうだろう?

すると今朝、保育室にあった本に「マーブルチョコレートがお湯に溶けて花びらの模様を作っている写真」が目に入りました。そこで早速やってみたのです。近くのコンビニにそれを4人で買いに行き、紙皿に「近い色の順番に」並べます。(写真1)

それに電気ポットで沸かしたお湯を、紙皿中央にゆっくりと注ぎます。するとチョコのコーティングが溶け出して、綺麗な模様ができ、3人から歓声が上がります。(写真2・3)

お箸で一粒ずつをひっくり返してみると、裏側が白く、色がなくなっています。このあたりからICレコーダーもオンにして会話を録音します。「白くなってる」(コーティングしている色が溶けて、下地の白が出てきている)「チョコが目みたい」(紙皿と接触していた部分が解けずに白い下地にポツンと残っているから)などと色々言います。でも溶けたという言葉は出てきません。そうか・・と思いつつ、これが口の中でも起きているんだよね、と話を進めて、一粒ずつ舐めてもらいました。3人とも、こうなることを最初から期待していたので、超ご機嫌です(笑)

ザラザラしてきて、ツルツルしてきた頃に鏡で口の中を見てもらうと、白くなって舌の上に乗っています(写真4)。

チョコは口の中で溶けるということと同じだとは、あまり感じないように見えましたが果たしてどうだったのでしょう。

今度は、透明アクリルのコップに一粒ずつ入れてお湯を注ぎ、割り箸で混ぜると、色水になって、白い粒が溶けずに残ります。どうも白い部分は色のところより溶けにくいようです。

その次に、どうして「トイレではトイレットペーパーじゃないといけないの」という私からのお題です。コンビニに行く途中でもらったポケットティッシュとトイレットペーパーを、溶かしてみました(写真5)。

すると結果が歴然で、ティッシュは水にほぐれることもないのですが、トイレットペーパーの方はドロドロ状になっていきます。これは厳密には溶けるということではないのですが、NKさんは「溶けた」と言い、NYさんは「わかった、トイレが詰まるから」という話まで結びつけています(写真6)

その後が面白い展開になりました。3人とも他のものではどうなるのかをやり出したのです。石を入れたり、砂を入れたり、そしてNKさんが面白いことを発見しました。セロテープを数センチ入れたら、「みて、みてストローになった!」というのです(写真7)。

私もそれは驚きました。そして混ぜ続けると、透明なセロファンになって「こうなったよ。でもくっつかない」と広げて見せてくれます。ノリが溶けてただのセロファンになったようなのです。私もそれは予想していなかったので、自分でもやってみましたが、確かにそうなるのです。

クラスに戻った3人について、担任は「またやりたい、すごく言っていて、とても面白かったようです」とのこと。チョコレート効果ではないといいのですが。このような活動は、少し大人側が主体性を発揮して活動を構造化する必要があるのですが、これまで絵の具や花びらで「色水あそび」はやってきたものの、それは色が変わる、綺麗になった・・の方へ注意が向っていたのですが、解けること自体に関心を持って「じゃあ、これはどうだろう」と試してみるという自発的な探究へ向かうには、そこまでの〈滑走路〉が必要だという感じがします。

こんなことを、いろんな場面で何度も繰り返していくことで、どうなっているんだろう?いいこと思いついた!(今日も数回、どの子からも、この言葉が出たのですが)という活動が増えていくのではないかと感じたのでした。

 

受動的な気づきから自覚的な気づきへ

2023/09/11

こういうことが、STEAMの基本なんだろうな、と思います。あれ、色が変わっていく、面白いな、という感じだったらしい。4歳児クラスの男の子。10月で5歳になる。こういうところに注意が向くようになってきたんですね。

私たちが「もの」の世界の法則(物理や化学や地学など)を理解していく学びは、本人がその世界が面白い!と感じながら、その世界に入り込んでいけるといいな、と思います。

いろんな刺激を受動的に受け止めていた乳児のころ。水や色で遊んできた体験のなかから、彼なりに、慣れ(馴れ)親しんできたとこ(現象)とは違うこと(新奇性)に気づいた(発見)したようです。それまでのこととは違う、新しいと感じることと同じような体験を重ねることで、ある種の規則(法則)を気づくのかもしれません。

以下は、9日の先生のブログです。8日の出来事です。

・・・

絵の具遊びでスポイトを使っているうちに、だんだん水分が増えて「色水」になってきたので、そのまま水道台へお引越し。色水遊びになりました。

色水に、水道水が足されていくと、だんだん透明になっていく様子に気が付いた らんらん組のRくん。


「色がなくなった!」と、実験を繰り返していました。

(蛇口の下のカップの、水の色の変化に注目!)

 

真剣なまなざしです。

にこにこ組のAくんは、さまざまな色を作って、きれいに並べていました。

 


Rくんが、「これ、凍らせてみたい」とのことで、遊び終わったあと、冷凍庫へ。週明け、どんなふうに固まっているでしょう…!?カラフルな氷ができるかな?と大人もちょっと楽しみです。

大人が模造紙にクレヨンで絵を描くと、その上を絵の具で塗ってみる すいすい組(5歳クラス)のYちゃん。

「あれ?!塗れない〜!」と、クレヨンが絵の具をはじくことを不思議そうに発見していました。


Rくんも、同じように試してみます。

遊びの中でさまざまなことを発見し、不思議がり、試し、繰り返してみる子どもたちです。その子なりの世界の広がり方が面白いです。

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