MENU CLOSE
TEL

園長の日記

遊びの中の「発展の芽」を捉える

2023/07/25

行事については、きのう最後に書いたことの補足があります。行事が子どもの協同性をはぐくむ機会になっているかどうかという話です。お泊まり会にしても、お楽しみ会にしても、そこでやることに向けて子どもたちが作り上げていく参画の要素といってもいいでしょう。大人が用意した枠組みはあっても、その中で何をどう展開するかは、子どもの意見や創意を反映させながら、ある目的の実現に向けて、できるだけ普段の生活そのものの変化の中で創り上げられていくようにします。

昔からよくあるものにお店屋さんごっこやお化け屋敷づくり、ごっこ遊びから劇遊びへ、といった活動例がよくあるのですが、そういった活動の要点だったことをもっと普段の生活の中に発見し直して、より良い生活を作り出す営みに位置づけ直したいと思います。そういうふうにしていくと、これは行事でこれは行事ではない、といった区分があまり意味を持たなくなるでしょう。あるいは行事と生活が本来の意味でつながるのだと思います。ある活動はある遊びの発展として行事のようになったり、反対にいい意味で「行事らしくない」生活に溶け込んでしまうようなこともあります。

例えば屋上で育てている野菜を普段の給食に取り入れて食べることと、お泊まり会のクッキングで活動が繋がっていったり、田んぼや畑にバスで出かけて農家の人と交流することが連動するとすると、どこからが行事でどこからがそうでないか、などは意味がなくなります。

他にも納涼会の出し物を準備しているうちに子どもが普段遊ぶ教材のストックを増やすことになったりします。よく行事が終わった後も「またやりたい」という声が挙がるようにするのですが、その動悸が日常の活動を豊かにします。折り紙で作った風車が、お祭りの装飾に発展したり、アニメの原理を遊びの中で楽しんでいるうちに、その分野の専門学校との交流に繋がっていくかもしれません。

そう考えていくと、子どもに多様な体験を計画していくとき、日々の遊びの中にある「展開・発展の芽」のようなものを捉えていくことが豊かな活動に繋がっていくものなのでしょう。

行事について

2023/07/24

わらす(3〜5歳)のクラスブログは、先週の「お泊まり会」の内容を振り返って、連載でお伝えしています。当園の行事は大きく4つのねらいがあります。一つ目は子どもにとって、普段体験できないことをやることで、経験の幅を広げるということ。今回のお泊まり会もそれにあたります。そのほかにも、バスや電車を使って遠くの山や海に行ってみるとか、いつもとは異なる生活や遊びをやってみるということを主眼に置きます。

二つ目は伝統行事です。日本には季節に応じて様々なものがあるので、それを体験できるようにします。都会での生活に限らず、意識しないと季節を感じない生活になりがちなので、そういう行事は大切にします。こどもの日、七夕、お月見、餅つき、お正月、節分、雛人形・・などなど。それに合わせて四季折々の食事も味わいます。行事食と呼んでいます。

三つ目は保護者参加のイベントです。春の親子遠足。地域を親子で散策します。今週末の夏の納涼会。内容は保護者の皆さんと一緒に考えて企画します。秋の親子運動遊びの会は、和泉小学校の体育館をお借りして、親子で体を動かして楽しみます。冬のお楽しみ会は、劇遊びや歌、音楽を楽しみます。そして年度末の成長展。これは1年間の一人ひとりの成長・発達を5領域に分けて作品やドキュメンテーションを掲示して、自分の子どもはどれだろう?とクイズ形式で当ててもらいます。

四つ目は親子の関係、親同士の関係づくり、地域との関係を大切にしたものです。個人面談、保護者会、保育参観や保育参加、パパ先生やママ先生の体験。他の行事とも重なり合うこともあります。3つ目の行事が、子どもの育ちを伝えて一緒にそれを喜び合う、発達を伝えるということが趣旨ですが、同時に親子での遊びの提案になっていたりします。親子遠足や納涼会、親子運動遊びの会などは、その要素も濃いですよね。また保護者主催の催しなども保護者同士がつながり合う機会になって、ありがたいことです。さらに今年は保護者主体の「しずくの会」もできて、子どもを支え合う仕組みが増えて、保育園も嬉しく思っています。

これら4種類の行事や活動は、いろいろと影響しあっています。日常の生活や遊びにも、家庭生活にも、地域との連携にも、小学校以降の生活や学びにも。そのうち、学校のPTAや保護者会も縦に繋がっていくといいですね。いずれにしても、子どもと家族がハッピーであることを最優先していきます。その中で育まれていくものも大きいのだろうと思います。

また行事は、英語ではイベント、でしょうけれど、日本の保育における行事はもう少し広がりのある語感がある気がします。さらに気になるのは、出来栄えを保護者に見せる行事、準備が大変、普段の保育より優先れている、あるいは別になっているということをよく聞きます。それは望ましくないと考えています。最も大事なのは毎日のさりげない瞬間です。

にちよう開放 しずくの会

2023/07/23

今日は「にちよう開放」。しずくの会が開いてくださいました。

今回はすべてのフロアを開放して、乳児から幼児まですべてのクラスで過ごしてもらいました。

私は建築設備検査の立ち合いがあるので、ついでに開放したのですが、卒園児の親子とも久しぶりに再会できて、一緒に昼食を食べたりして楽しい時間になりました。

これは「しずくの会」作成の案内。毎回、素敵なデザインです。

ほおずき市

2023/07/22

午前中に江戸川区のある保育園の納涼会にお邪魔して、午後は文京区のほおずき市に行ってきました。風鈴が玄関で夏の音色を奏でます。

おとまり・くらやみ・かくれんぼ

2023/07/21

先週、年長のお泊まり会があったのですが、その余韻を楽しむべく、絵本はお泊まりにちなんだもの。まずは文・中川ひろたか、絵・村上康成コンビの絵本シリーズ「ピーマン村のおともだち」から『おとまりのひ』。子どもは意外とあっけらかんとお泊まりができてしまうものでして、等身大の保育園らしさを感じる絵本です。親が子どもを案じる気持ちが明るく描かれ、ユーモラスな園長のキャラが楽しいシリーズ。八王子市のせいが保育園では、まさにこれと同じような銭湯に入っていたことを思い出します。

 

2冊目は末吉暁子作、林明子絵の「もりのかくれんぼう」。むかし森だった場所がいま団地になっている街角で、おにいちゃんとけっこしているうちに森に迷い込むと・・・。森の中にはよく見ると動物たちがいっぱい隠れているのかも。かくれんぼして遊びたかった女の子の気持ちが、ちょっと切なく伝わってくる絵本。

その次は、こども園を舞台にした「くらやみえんのたんけん」。お迎えを待つ、つとむくんとたくくんの二人が真っ暗な園内をおばけごっこで楽しんでいるうちに・・・。嘘っことわかっていながら怖いことをやりたがる子どもの心理。どこまで本気で怖がっているのやら、そのたわいのない、その演劇的あいまいな世界を楽しめるのも子どもの特権だ!(まあ、なんと古臭いキャッチだなあ)。

さて最後は海外ものから。「ひとりでおとまりしたよるに」。こちらは、おばあちゃんのお家に3泊4日で泊まりに行く話。だから、寂しさを紛らわすための、大事な宝物を3つリュックに詰めました。リュックに詰めたものが子どもを助けると言うのはエルマーと同じですが、こちらは夜の冒険が始まります。大人がよむと子どもの家族愛にちょっと心打たれるおはなしです。

その子に世界に入り込む感覚

2023/07/20

保育の良しあしを決める基準のひとつに、間違いなくあると思うのは「一人ひとりの子どもと、毎日心を通わせているか」というものです。そこに大事なポイントがあるように思います。これには「つながっている手ごたえ」があります。このつながり具合は一人ひとりの子どもによって全く違います。このつながりが、しっかりしていると感じることと、保育が見えてくる感触は重なり合っています。一口に「子ども理解」というと、なにか対象化されている感じがするのですが、そうではありません。やはり通い合いなのです。気持ちや心の通いあいです。

このことは乳児の三つのかかわりの視点の一つにもなっていますが、これはその後の年齢になっても必須だと思います。このことは就学してからはどうなっていくのでしょう。担任との関係に引き継がれていくのでしょうか。私の個人的な小学校の記憶に頼ると、それがあった先生のことはよく覚えています。学んだことは忘れていても思い出すのはそういう場面のエピソードです。思い出になっているこからいいことだとはいえないかもしれませんが、やはり大事なことのような気がします。

保育園では何人もの子どもたちと毎日それがあります。その通わせ方の違いが楽しいし、それぞれの子どもが愛おしい。困っていると助けてあげたいし、こうしてほしいというとそうしてあげたい。きょうも私の手を引いて連れていきたいところに一緒にいくと見せてくれる世界があって、たとえばそれはお気に入りの水筒に描かれている「パウ・パトロール」のことだったり、濃いピンク色の水中眼鏡のことだったりします。その世界はまさにその子にとっての「お気に入り」の世界であり、他人に伝えたいこと、わかちあいたいことなのです。

その通い合いは、子供と大人との関係とは違うかもしれませんが、同じようなつながり具合が、子ども同士のなかに、その関係の網の目のように張り巡らされていることでしょう。ただ安定して静的に動かないものではなく、個々のつながり具合に応じてダイナミックに動いているものです。

その網の目は、複雑につながりあっていて、大人もその一端に入り込んで初めて、子どもの中に張り巡らされている網の目に気づくのです。子どもの世界はここにあるのか、と初めて気づくことになるような感覚を覚えます。心のうちに誘ってくれる関係が子どもとの間できたとき、子どもが息づいている世界に入り込めるのだろうと思います。

子どもの世界の中に起きている事とはそういうことであって、それを子どもに説明させるのは難しいことでしょう。だから子供が住んでいる世界とは、大人の方がその世界に迫る努力をしなければならず、心を許してもらえるとその世界を開示してくれるようなものなのです。

新たな保育の必要性について

2023/07/19

これだけ暑いと外にでるだけで汗が噴き出てきます。この猛暑、日本だけではなく世界各地で過去にないほどの熱波に襲われているそうで、ローマは過去最高の41度を記録した、とニュースになっていました。保育園の近くに子育て支援の広場があるのですが、暑すぎて集まりが悪いそうです。それはそうでしょう、外に出るのも「危険」と感じるほど暑いですからね。

ただ、こういう状況が長く続くのはよくない。長らく子育て支援にかかわってきた経験から想像すると、核家族の場合は、親子で自宅にいると(ほとんどは母親と乳児ですが)、お互いにストレスがたまるときがあります。そうなる前に、一日ちょっとでも親子が離れて、子どもが子ども集団のなかで遊ぶ時間があるといいでしょう。保育園なら、いわゆるリフレッシュでの一時預かりです。また、子どものためにも、乳児の頃からの集団体験が、必要だと思います。

当園でもスペースがあるなら、すぐにでも行いたいものです。でも、従来の正式な一時保育は、それ専用の部屋がないといけないので、そうではなくて園児と一緒に生活します。就労要件のいらない短時間の「入園」という形になるといいのですが(それでもうちの場合は保育室の面積がたりないので、2歳以上でないと、できないのですが)。

その場合、これは私の案ですが、子どもが職員になれるまでは、ファミサポのような保育支援者や保育ボランティアの人が園につれてきて、慣れるまで、一緒に過ごしてもらうといいでしょう。そのファミサポの経費900円程度の半額400円を国と自治体がもち、利用者は1時間ワンコインで保育園に預けることができるというのはどうでしょう。

一日2時間で保護者負担は1000円。ファミサポの提供会員の預かる場所を保育園にするのです。ずっといる必要が無くなれれば送迎だけでいい。そうなれば1000円のままで、保育時間も長くできます。保育園へは現在の公定価格を基本にして「ゼロ号認定こども」として、2時間、4時間、6時間、8時間などの長さに比例した国庫補助をもうける。入園要件が就労などではないので、今のような長時間保育を前提にする必要はないと思います。

そういう設計ならほんとうに必要な人が必要なときだけ利用でき、財源もそれほどいらないのではないでしょうか。保育園とファミサポを一体的に運用するという方法です。

そして、要保護児童やそれに準じると判断されたら、本来の入園になれるようにすればいい。入園の要件を緩和していくこともアリではないでしょうか。ただ長時間保育である必要はありません。

きゅうりは浮くか沈むか?プールで実験

2023/07/18

屋上で育っている「きゅうり」。

水遊び中の子どもたちに、「うくか、しずむか」ちょっと実験しました。

ちょうどいい大きさに育ったきゅうりです。

「どうなるかな?浮くかな?沈むかな?」と私。

すると年中と年少の子どもたちでしたが、予想が二つに割れました。

沈むが一人、浮くが3人です。

やってみると、浮きます。

「やったあ、浮いた」と当たった方は喜んでいます。

でも面白いことに、その子が「こっちは沈むよ」と言うのです。

「こっち」と言うのは、ちょっと育ちすぎた大きなきゅうりの方です。

私が「そうか、こっちは沈むかもね」と言うと、にこにこして見ています。

もちろん、正解は浮くです。

これと同じようなことが、前にもバナナとのきもあったのを思い出しました。

一本は浮いたのですが、2本になると「沈む」と言うのです。

https://www.chiyodaseiga.ed.jp/hoiku-archive/archive-stem/page/5/

面白いですね。

最後はきゅうりと一緒にぷかぷか・・・笑

子どもが教えてくれたこと

2023/07/16

子どもたちはいろんなことを教えてくれます。今週、「そうなんだね」と嬉しくなったのは、スイカです。「ここ、ここ」と教えてれました。直径が15センチほどに大きくなっています。いくつも花が咲くので、先生が栄養を分散させないように実になるものを数個に間引いてくれているのですが、いつの間にか二つがこんなに大きくなっていました。

お泊まり会で出かけた科学技術館は北の丸公園にあるのですが、そこを歩いていると、蝉の鳴き声が聞こえました。保育園にいても聞こえないので、子どもたちは鳴き声で蝉の種類を聞き分ける経験はほとんどできません。秋葉原周辺ではクマゼミやミーミーゼミ、ヒグラシなどを自然に区別できるようになる環境にはないのです。それでも「せみ!」と教えてくれます。

しかし少ないチャンスを見逃さないのは虫好きな子どもたち。吉田茂の銅像がたつ雑木林で、ダンゴムシはトンボを捕まえて見せてくれます。こんな姿を見ると、せっかく皇居が近くにあるので、もう少し頻繁に連れてきてあげたいと思います。お礼というわけではありませんが、私もヒキガエル(泥ガエル)を捕まえてあげました。何を食べるの? さあ、なんだろうね・・・。

屋上のプールに水が入ると、トンボがやってきます。写真にとらえることはできませんでしたが、水面に尻尾の部分をちょんちょんとします。都会の中でも工夫すると生き物が寄ってくるビオトープはできるでしょう。

街路樹には赤い花が咲き始めました、百日紅(サルスベリ)です。夏の間、百日近く咲き続けるから、だそうです。東京では調布市がシンボルの花になっています。ちなみに千代田区は花が桜、木は松、鳥は白鳥です。

お泊まり会の朝の対面

2023/07/15

お泊まり会につきもののちょっとした「小話」があります。

寝る前になると「園長先生、怖い話して」と頼まれることがよくあるのです。いくつか、その手の小話を仕入れてあるので、いつでもできるように準備してあるのですが、昨日は花火が終わると「ねむ〜い」と何人かの子がいうので、それじゃあ、ということで、すんなり「じゃあ、寝よっか」ということになって布団に入りました。

数分ですぐに夢の中に入っていった子どももいれば、なかなか寝付けない子もいました。それぞれのリズムでおやすみなさ〜い。ぐう、ぐう。

夜は先生たちが交代でそばにつきましたが、親御さんから伺っていた「きっとこうなります」の通り「そうなりました」。・・・。

そして朝が来て、寝ぼけ眼のあどけないこどもたちの表情に笑顔が蘇ってくるころ、玄関のピンポーンがなりました。「ん? こんな朝早く誰だろう?」とインターホンに出ると、なんと園児のお兄さんが心配して見に来たのです。

「だいじょうぶ。みんな元気で、楽しそうだよ。誰も寂しがったり、泣いたりする子はいなかったよ。ありがとうきてくれて」

きっと、お兄さんは自分のお泊まり会が寂しかったのでしょうか。それとも、園長先生のお話が怖すぎたのかもしれませんねえ・・

朝食は和食です。

ブロッコリーととうもろこしのおかかあえ

目玉焼き

しゃけの塩焼き

朝ご飯は7時30分ぐらいからでしたが「お腹減ったあ」「おかわり」と、食欲十分。

和食のおいしさが、身に染みるのでした。子どもたちがお代わりしている様子を見ると幸せな気持ちになりました。

そして、いよいよ、一番気を揉んでいらしたであろう親御さんたちとの対面です。担任が作ってくれた「おとまりができておめでとう」の記念写真入りカードとメダルを渡し、一人ずつ楽しかったことを話してもらいました。その後、主任が作ってくれたスライドショーを親子一緒に楽しんでもらいました。

「お家に帰って、どんなお泊まり会だったか、たくさんお話ししてくださいね」

top