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保育アーカイブ

これからの教育に必要な3つの特徴

2022/09/02

私たち保育者が日頃考えていることは、子どものことご家族のこともそうですが、私たちを取り巻く人間関係、規制やルール、自然や教育のことなど社会全体のシステムも同時に考えながら仕事をしています。目に映るものや見えている景色にとどまらず、そのような「目に見えない社会の仕組み」から、私たちは精神的にも身体的にも大きな影響を受けているからです。その目に見えない仕組みの中で、私たちに大きな影響を与え続けているものが「教育制度」です。

今日2日(金)は、その社会システム「教育制度」の中でも、これから必要になる教育について考える機会がありました。まだできていないけれども、これから必要になる教育とは、どんなものなのでしょうか? それは保育者がこれまで受けてきた教育、あるいは、いま受けている教育(ちょうど大学から保育実習生が今、園に来ていますが)と、何が異なるのしょうか?

それにはいくつかの特徴がある気がするのですが、一つは、教育や学習で身につける<中身の変化>です。時代の変化が早いとき、個人が身につけて活用できる知識や技術(技能)=いわゆるスキルは、常に新しいものに置き換えていくことが必要になります。スキルのアップデートは社会人ほど不可欠な時代になりました。たとえば私はネット社会に必要なIT技術を学び直しています。しかも、そのスキルは、他者との協働の中で使う比重が増えました。一人でできることなんて、たかが知れいているからです。ほとんどの仕事がチームです。

専門性にコミュニケーション力、発信力、共感力、ファシリテート力などが不可欠になってきたのです。教師も知識や技術(技能)を教えるティーチングよりも、学習者が意欲的に学べるように導くコーチングのほうが重要になります。またコンテンツを直接教えるよりも、どうしたらそのコンテンツにたどり着けて自分で自分のものにしていくか、その学び方を教えることの方が大切になります。これが変化していく<中身>の話です。

もう一つの特徴は、必要とされる知識や学び方それ自体を支える価値判断のスキルです。何が本当に必要なスキルなのか、なぜそのスキルが大事なのか、その理念や目的、個人の考えや思想、生き方、幸福感などは、今後ますます多様で複雑になっていくでしょう。<中身>の方で共同性が重視されるとき、協働する相手の価値を認め、大切にし合いながら、しかも、共通の価値=コモンを創造していく活動を創り出していくことになります。

すると、理念や目的、個人の考え方や生き方、幸福感などが個人や地域や国などによって異なってくることを前提にしながら、地球環境という限られた資源を持続可能に保っていくためのコモンのあり方を見つけ出しながら、目の前の経済社会の動的平衡の中でバランスをとりながら現状も維持して、ソフトランディング(あるいはソフトランチャー)していくことの両立を図らなければなりません。「この農薬散布は良くないけど、すぐにやめるわけにはいかない」といったジレンマの中での、よりよいものへの粘り強いシフトが必要なのです。

その時、たぶんこれまで以上に重視されるようになるのは「対話力」です。こどもかいぎ、のようなことがとても大切なことになっていくのです。しかも、その中で自分づくりが営まれるのです。自己と他者という永遠の哲学的テーマも、新しい時代にふさわしい形で、再認識されることになるでしょう。すでに、その兆候が見えていますけれども・・。

新しい時代に必要な教育のあり方とは、このような中身、方法、より良い価値へのビジョンの3つの側面を具体化するものでなければなりません。保育者にとってもそれが必要で、それはこんなものだということを、今日は確認したのでした。

 

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