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園長の日記

自立の姿(その1)睡眠

2022/03/01

新年度まで残すところ1か月。今日から3月になって「移行保育」も遊びから食事、睡眠へと移ってきました。その報告がクラスブログでなされていますが、今日から少し「自立の姿」というものを、その子どもの姿からお伝えしようかと思います。私たちは子どもの姿を5つの領域で捉えることを「成長展」にちなんでお話ししてきましたが、自立という姿を捉えるときは、生活の領域で捉えるとわかりややすいと思います。子どもの生活が、どんなことで成り立っているかというと、大体は遊びの他に、食事、睡眠、排泄、衣服の着脱、清潔、身近なものの扱い、あいさつなどからなります。これを一つずつ取り上げてみましょう。まずは、睡眠から。

生活の自立がなぜ「睡眠」から始まるのかというと、実は起きて活動するための条件を整えている時間が、睡眠だからです。睡眠がしっかり取れていないと、実は生活が自立できなんです。ですから、基本的な生活習慣や、小学校以降の「自覚的な学び」のためにも、「早寝早起き朝ごはん」が欠かせない必須条件になっているんです。意識して何かができることの前提条件のようなものです。うまくエンジンがかかるためには、ガソリンが必要なように、モーターが動くには電気が必要なように、生活が自立していくためには、夜の睡眠の質とリズムがどうしても順調である必要があるのです。

そこで睡眠の自立、というのはどんな姿かというと、まずは「無意識にそうする」ようになること。言い換えると「習慣」になることです。体が覚えていて、黙っていても、自然の流れでそうしていくようになることです。これは睡眠に限らず、食事も、排泄も、衣服着衣も、顔を洗ったり、歯を磨くことも、ルーティンの流れに沿って、毎日同じように体に染み付いていくようになることがいいのです。そのためには、まず大人がそれぞれの「自立の姿」を知っておくことが、そこへ導くためにも大事なことになります。

睡眠の場合、どんな習慣になるといいのかというと「寝るタイミングになったら自分で布団へ行き、安心と満足の気持ちの中でぐっすり眠り、朝になったら気持ち良く目覚める」ということです。自分で布団に入って寝て、自分で気持ち良く目覚める。寝つくことも、目覚めることも「自分から」という流れを作ってあげることが、本人にとっても親にとっても、ストレスのない愉快な生活づくりに繋がります。自然のリズムの中で生活することは、生活が充実してくるものです。

そのような睡眠に導くコツはどこにあるのかというと、リズムづくりの起点(スタート)は、朝7時前には目覚めるように、カーテンを開けること。光を浴びることです。これで脳の中の体内時計Aが「リリリ〜ン」と目覚めます。それだけでは、まだ本当には目覚めません。次に全身の細胞の中にある体内時計Bも目覚めさせる必要があるのですが、それはどうやったら起きるかというと、食事をとることです。朝ごはんは、しっかり目覚めるためにも大切なのです。これによって、午前中の生活、戸外活動、遊びが充実してくることになります。それが16時間後に眠くなるタイミングを誘発してくれます。

ここで、お昼寝の自立ですが、「お昼寝は夜の睡眠のための準備運動」という言い方があって、お昼寝は夜の睡眠とは意味も役割も違います。大切なのは夜というタイミングにしっかり10〜11時間の連続した睡眠が取れることにあります。そうなるために、昼の午睡があるのです。午睡と夜の睡眠の時間を足して10時間あればいい、と考えると間違えます。午睡はこの10時間の中には含めてはいけません。役割が異なるのです。午睡は真っ暗にしないで、オルゴール音がするような環境で行います。

保育園では乳児の午睡では、お昼ご飯が済んで、お昼寝に入る前に、絵本や紙芝居を読んであげて、心をもみほぐします。寛いだ気分で、あくびでも出そうな雰囲気の中で、お昼寝に入る歌を歌ってから布団へ移動します。この歌が合図になって、ちっちさんも、ぐんぐんさんも「自分で」布団の方へ移動します。さあ、寝よう、などという言葉は聞いたことがありません。ルーティーンが決まっているので、自然に体が動きていく感じです。眠りにつくまでには、個人差がありますが、少しさすってあげたり、そばにいてあげたりして、眠りに誘います。

にこにこ組になると、この寝かしつけも無くしていきます。ちょっとそばにいてあげる程度で、自分から布団に入って寝るという自立が完成していくのです。基本的生活習慣の自立、は満3歳を目安にしています。移行保育が終盤を迎えているこの時期、1年前、半年前と同じではありません。「自分で」という部分が自動化して、体が覚えているという状態にしてあげていくのです。

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