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園長の日記

新しい資本主義

2021/12/25

私たち(人類)は、地球上のすべての過去の歴史にはなかった、とんでもない時代に突入していると感じます。経済成長の変化のグラフを見ると、ここ200年ほどの上昇カーブは異常です。

 

これでは地球環境を破壊しながら、不要な商品が造られ続けてしまうだろうと、予想されます。持続可能な社会にするには、別の経済の仕組みに移行することがどうしても必要です。

https://ourworldindata.org/economic-growth

そんなことを色々考えていると、保育というの仕事が、人類にとって不可欠で、もっと豊かにしなければならない「富」でなけれなならない、ということに気づきます。私たちはいつの間にか、「保育料」のように経済的売買の価格で、物事の価値を考えるクセがついてしまいましたが、このような市場経済の価値では、はかれない価値ほど、貴重で豊かな富だったはずです。

地球や土地や空気や自然や水などは、本来、誰のものでもなく、その一部を人間が囲い込んで商品化していくことは、ある程度は生活を便利にしていくために仕方がないことなのですが、それが行き過ぎると、取り返しのつかない地点にまで、突き進んでしまうのではないかと、非常に心配になります。

(引用) NHKテキスト「100分で名著 カール・マルクス 資本論」(斎藤幸平)より

オランダ・アムステルダム市の女性市長フェンケ・ハルセマさんは、植民地時代の奴隷制度を謝罪して話題になりましたが、市の経済政策には、イギリスの経済学者であるケイト・アラースさんが唱えている「ドーナツ経済学」を採用しました。

ドーナツの輪のところで、私たちは生活しています。この幅の間で、私たちの持続可能な社会を作り出す必要があります。ここにエネルギー、水、食糧、教育、民主主義、住宅などの社会的基盤があります。これが不足すると内側の穴に落ちてしまいます。一方、ドーナツの外側は、環境的な上限で、それを超えてしまうと、気候変動や海洋汚染、化学物質汚染などが起き、生物の多様性も破壊されます。すでにその兆候が地球規模で表れています。

(引用) NHKテキスト「100分で名著 カール・マルクス 資本論」(斎藤幸平)より

 

マルクスは資本を「運動」だと捉えたそうです。なんの運動かというと、貨幣で労働を買い、生産した商品を売って儲ける、その剰余価値でさらに商品を効率よく生産して売る。この果てしない運動のことを、資本としたのでした。それ以前の市場経済は、たとえば、食糧や服や薬を作って売り、得た貨幣で必要な生活品を買って生活しました。この過程には経済成長をどうしても必要とする仕組みを必要としません。剰余資本を再生産過程に投資することの何割かを、商品でありながら、社会基盤でもあるような「富」に還元する必要があります。

新自由主義以降の経済学は、経済成長、景気の安定、所得の再分配を3本柱としてきました。でも、経済成長を前提としなければ「回らない」資本の運動が、環境の限界を超えないような再生産になるようにデザインするのは、政治の役割だと思います。国ができないなら、地方自治体からでも始める必要があります。本来は、資本によって商品化されてはならない社会的基盤の一つは、明らかに「子育て」でした。空気や水や食糧と同じはずの「人類の子育て」や「共同保育」が、どんどん商品化されていくのを、私たちは、黙って見過ごすことはできません。

サンタが届けてくれるのは、ただ(無料)の社会的基盤(コモン)だろうと思います。

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