MENU CLOSE
TEL

園長の日記

屋形船納涼会をめぐって

2019/08/22

いよいよ明後日は、千代田せいが初の納涼会「屋形船納涼会」です。今年度に限り、なんでも「初」が付きますから、何をやっても縁起がいい気がします。なんだか得する気分です。今週は出来るだけ「神田川や隅田川に因んだ話題を」と思いながら、違う話ばかりしていますが、実は保育園が「ちよだリバーサイドプロジェクト」の一環として参加するのは初めてのことです。小学校との連携はこれまで和泉小学校の授業で東京スカイツリー近くまで行ったことがあるそうですが、保育園は過去にはありません。これも「初」というのは重ね重ね縁起よし、かも?
◆ねらい(その1)地域を知る
屋形船納涼会のねらいは3つあります。「地域を知る」「涼の取り方を体験する」「親同士の関係を紡ぐ」です。
〜〜
まず年間テーマである「地域を知ること」があります。そこで、これまで姉妹園でやってきたことをやるのではなく「この地域でしか出来ないこと」にこだわってきました。「ないと思っていた自然も、ちゃんと探せばあるじゃない!」という私たちの再発見をみんなで共有したくて、草花や昆虫など、生命が芽生える春の生き物に家族で興味を持ってもらう園生活に力を入れてきましたが、その延長として、春の親子遠足は地域散策にして「ファミリーバザール」と連携しました。
〜〜
では、夏はどうするか。園の前が神田川で、しかも区内に3カ所しかない防災船着場が目の前にあるというロケーションです。舟運観光事業を振興するための「ちよだリバーサイドプロジェクト」なるものがあって、その代表が神田祭に誘ってくださった石渡幸伸さん(前神田岩本町会長)です。事務局長の岡田邦男さんの方から「屋形船に乗りますか」と誘ってくださり、今回の行事の実現にいたります。
◆ねらい(その2)風情をたのしむ納涼
日本文化でもある「涼をとる」色々な知恵を園生活の中に取り入れきました。水あそびやプールあそびも、この地域にある花火や風鈴や打ち水や盆踊り納涼会などの「涼の取り方」の一つに位置づけました。
屋形船納涼会は、その中でももっとも贅沢で、ある意味で「究極の納涼」と言えるでしょう。平安時代に遡り、江戸時代に豪華になり、戦後に庶民のものとなった歴史ある屋形船です。
親子で描いて頂いた塗り絵を展示しましたが、それを見ていて、リアルにこう思いました。来年、子どもたちが描く「夏の思い出」の絵は「屋形船から見た花火」になることでしょう。それが私の来年の夢です。大人は想像力でカバーできますが、子どもには生の本物の美しい体験が必要なのです。そうでもしなければ、風情を楽しむと言う伝統が途絶えてしまうと思います。
◆ねらい(その3)家族の輪を広げて
保育園の文化は、子ども同士の関係が密接で、それに比例して保護者同士の関係も深いものがあります。ただ朝夕の送迎の時ぐらいでは、中々親しくなる機会がないかもしれません。私がいた園では玄関に喫茶コーナーを設けていたときもありましたが、千代田ではそうもいきません。忙しい保護者の皆さんに、せっかく参加して頂く行事なので、親睦の機会にして頂きたいと願っています。例えば、子どもが話すお友達の名前を手掛かりに、語り合ってみてください。
◆お茶の水渓谷の保育可能性
ところで今日22日は夕方1時間、牧野保育士と2人で、屋形船に乗ってきました。「ちよだリバーサイドプロジェクト」の催事で、一旦、隅田川まで出てから戻り「お茶の水渓谷」の夜景を見てきました。いずれこのプロジェクトで、保育園の園外活動にしたいからです。その下見のつもりで参加しました。バス遠足ならぬ海上バス遠足の可能性があるかどうか?全く未知数ですが、探ってみる価値があります。
そこで、鍵になるのは「ちよだリバーサイドプロジェクト」です。千代田区には和泉橋、新三崎橋、千代田区役所の3箇所の防災船着場があります。代表の石渡さんは「この区内3つの防災船着場を日本橋船着場、隅田川周辺の各船着場と連携させ、神田川、日本橋川から隅田川、江東区小名木川、さらに湾岸へと私たちが今まで培ってきた活動の枠組みをさらに拡大していきたいと考えています」と、プロジェクトのホームページのあいさつで語っています。
◆区長へ提案してみたい
今日、乗ってみていろんな発見がありました。観光事業だけではなく公共交通機関として、屋形船を水上バスとして活用したい。既にそれは検討されて、橋の高さが低いことや船着場の少なさなどが課題になっていると聞きます。
そのために、小型船をもっと整えて、橋のたもとに乗り場を増やしたい。そうなれば、和泉橋と美倉場が神田川ルートでつながります。さらに、もっと先の浜離宮あたりまで園外保育ができるかもしれません。また神田川を遡り「外堀方面」へも簡単に行くことができるようになります。
また美観の整備と教育のつながりについて、区長に伝えたいと思います。子どもの頃の感動体験が、探究心を育み、それが「千代田愛」につながることを。それには、川面から見た風景は大事です。観光的には隅田川が美しいのですが、神田川は「ブラタモリ」的な地形と、歴史のうんちくの塊です。これを活かさない手はないでしょう。まだ雨が続くと浄水場の機能を超えて生活排水が神田川に流れ込んでいます。この問題はなんとかしないと、観光事業としても大きく美観を損なうのではないでしょうか。
top