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園長の日記

ヒューマン・コンタクト

2022/04/16

ねえ、一緒に帰ろう! ねえ、一緒にやろう! あれ、一緒にしたい! こんな言葉を子どもたちから毎日のように聞きます。この「一緒に〜したい」という心の動きが生まれる子どもたちは、心が健康な証拠です。なぜなら、お友達や親や先生に対して、ねえ、これ一緒に〜しよう、〜したいという気持ちになることは、誰かと共有したい世界があって、それを共有できそうな相手がいるということですから。この、供にいたい、共にありたいという心を持ったことで、人類は人間らしくなったのです。この元々持っている資質を、保育や教育で改めて意識して取り戻さなければならない時代になっているんだということを、今日の講演会を聴きながら、再認識したのでした。

今日の講演会とは、当法人(社会福祉法人省我会)の藤森平司理事長による保護者向け講演会のことです。毎年春に開いているものですが(昨年度は急遽、コロナで中止になりましたが)、今年は家庭からのズーム視聴の方も含めて約30家庭の保護者の方が参加され、過去最高の参加率となりました。今日の話のテーマは「これからの時代に必要な教育・保育とは?」という内容でした。今の時代がどんな時代か、その特徴を整理して、これからの時代に期待されている資質や能力とはどんなことかを復習しました。そして、その力を子どもたちが身につけるために必要な保育が、いま私たちが実践している保育であり、その特徴を改めて解説してもらったーという内容でした。

これからの時代の特徴は、次の3点です。

そして、このスキルを身につけるためには、次の5つがポイントになります。

この5つは、「園のしおり」に載せてありますが、これは、私が副園長時代に藤森先生と「せいがの森保育園」時代に実践の中から構築したものです。時代は移り変わっても、必要なコンセプトは変わっていないことになります。

ただ、時代は変わりました。以前にもまして、少子社会は進み、80年代から危惧されてきた「人間関係の希薄化」による利己的個人主義、引きこもり現象、人間関係力の低下は目に余るものがあります。さらにAIがそうした旧来の力はロボット(アンドロイドやAI)などとって代わられ、人間らしさを再発見しなければならない時代になりました。

そこで、毎日の生活の姿と、この話を結びつけると、「人と対話する能力」「他と協力する能力」「実行機能」は、いずれも子ども同士の関係の中で育つものなので、集団のある保育園生活の質が問われます。そして、このスキルを育てるためには、乳児の持って生まれた力、つまり「人間らしい触れ合い」(ヒューマン・コンタクト)を求める傾向、このことを赤ちゃん学では「ジョイントネス」というのですが、この資質の発露が、園生活では、いろんなところに見えるのです。

その姿の一つが、冒頭の「一緒に〜しよう!」という姿ですし、昨日の「歌のある生活」の話でもあるのです。歌のもつ力は、共鳴力ですから、いいものは通じ合い、感染していくのです。この歌の力が発揮されるのも、人間らしい触れ合いがあるからなのです。

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