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園長の日記

自由と民主主義と市場経済と

2021/12/01

(今日から始まった、クリスマスまでのアドベントカレンダー。玄関に飾った赤い靴下の中に、サンタクロースからの手紙が届きます。)

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政治のニュースを見ていたら、若い頃のことを思い出しました。高田馬場で開かれていたルドルフ・シュタイナーの勉強会。ドイツ語で書かれた「社会有機体三層構造」を日本語に翻訳して持ち寄るという勉強をしていた時期があります。20代の頃です。

社会は自由と公正と友愛からなると説くこの説は、この三つは精神、政治、経済によって、それが実現されると同時に、自由がない精神は退廃であり、公正のない政治は腐敗した社会を生み出し、友愛のない市場経済は過酷な格差社会を生み出すということを予言していました。まったくその通りじゃないかと思えます。

人の内面には自由がないと、おらかさや思いやりは育ちません。公正があるからこそ信頼できる人間関係が作れるのでしょう。そして本来の経世済民はお互いの幸せを願ってなされてきたのではないでしょうか。

今日の日本、米国、韓国の関係を考えるとき、北朝鮮や中国、ロシアの独裁的国家が目指すものとの違いを考えていたからです。園児たちがあと20年経った頃、この東アジアはどうなっているのでしょう。20代になったこの子たちが、活躍している社会です。

 

自由、民主主義、市場経済を成り立たせている思想的な背景には精神的自由度、公正や正義を目指す政治的成熟度、そしてお互いを生かしあう、つまり持続可能でウェルビーイングな考えを基礎とした経済活動が必要です。

クラスのブログを読んでいると、この3つが、子どもたちの生活と遊びの中にも見られることがよくわかります。自由遊び、子ども会議、協力し合う生活です。

自由遊びによって、創造的な精神が発達します(環境、表現)。子ども同士の会話、やり取り、コミュニケーションは自分の考えや思いを言葉で伝えることや、相手の考えや思いをよく聞く姿勢を育てます(人間関係、言葉)。そして教え合い、助け合い、協力することは人間である証のようなものであり、ホモ・サピエンスの最大の特徴なのでした(健康、人間関係)。

現在を最もよく生き、望ましい未来を作り出す基礎を培う、という保育原理における「保育の目標」は、選択できる自由遊び、子ども同士の話し合いによる意思決定、そして異年齢児保育やお手伝い保育など、そんな生活を豊かにすることで達成できるのだろうと思います。

 

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