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園長の日記

子どもの表現 成長展のためのミニ連載(3)再現される表象

2021/02/04

そもそも表象などという難しそうな言葉を使うから良くないのかもしれませんが、この概念は文化の根底にあるものなので、どうしてもスキップすることはできません。外来語を日本語に訳したものなので、日常会話に出てこないものなのですが、英語ではrepresentationです。どこかで説明したかもしれませんが、sentは「ある」ということ、preが付いているので「目の前にある」という意味になって、さらにreがついているので「再び目の前にある」というのが、もともとの意味です。

◆表象の定義

表象文化論学会による説明ではこうなります。

「表象」という概念は、哲学においては「再現=代行」であり、演劇では「舞台化=演出」、政治的には「代表制」を意味しています。

そこで私は子どもの遊びを観察してきた結果、子どもはそれまで経験してきたことをもう一度味わいたくて再現しようとする傾向を持っていて、それが大人から見た文脈では「模倣」という概念に当てはまるだけではないだろうか、本人は模倣しているつもりはなくて、ただ再現して味わっているのではないか、と思うのです。

◆模倣は再現された体験である

再現しているのですから、先行する経験があるわけで、無数にある体験の中から本人の「生」にとって意味のある何かが選び取られ、それが再現されているのが遊びであろうと見えるのです。

ですから、お絵かきであろうと、積み木遊びであろうと、そこに子どもがイメージしているものがあって、それが遊びの中で表現されているなら、それは表象行為なのです。1歳児クラスのぐんぐんさんが、どこまで鬼の腰巻を想像できていたのかわかりませんが(笑)、鬼の腰巻を「再び目の前にある」ようにした作品が保育室に展示されていたのでした。

◆成長する表象

そのように見るなら、積み木で積み上がっている高い塔は、ただ漠然と積み木を積んでいるのではなくて、東京スカイツリーや広州塔やCNタワーだったりします。昨日の話では大きい丸が表象世界だとしたら、それは成長によって豊かに広がっていくと言ったのは、3歳の時は東京タワーしか知らなかったのに、今では世界中の高い塔の名前や何メートルまで覚えていたりするという意味です。子どもの住んでいる世界が言葉(表象の代表格)の習得とともに広く豊かになっているわけで、これを成長と言わないわけにはいきません。同時に豊かな学びが展開されていると言えるのです。

今回、成長展の特別展示で、遊びの中の模倣を取り上げるために、その前提となっている表象という概念について、理解を深めておいて頂きたいのです。再現したいと思う「心動かされる経験」が先にあって、その経験の質が表象の広がりと豊かさをもたらしているという関係を押さえておきたいのです。

今日3日(水)も、色々な生活と遊びの中に「再現」が起きていました。そんな視線で、子どもが何かを繰り返しやろうとしていると捉えてみると、そこには「意味のある経験が創発している」のかもしれません。その話は明日以降にまた。

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