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園長の日記

時代を超えた「子どもの睡眠」を守ろう

2020/11/13

入園相談を受けて感じたことを、ここで述べておきたいと思います。保育園が夜8時半まで2時間の延長保育がある先進国は日本ぐらいです。午後5時に終わるのが普通であり、遅くまで保育をしているのはマイナーです。21世紀もすでに20年も経って、まだこの感覚が変わらない社会というのは、一体どうなっているのでしょうか。保育園を選んでいる方の中には「子どもの睡眠」がいかに大切かを知っておいて欲しいと思う方がいらしゃったからです。

人類は長い間、生活圏で働き子育てをしてきました。しかし産業革命以降に雇われる労働者が発明され、社会が変わって職場と住居が離れ(職住分離)、労働生産性を高めるために国家が学校教育を始め、個人の能力が測定されるようになり、小さい時から学力が発達課題以上に重視されるようになってしまいました。そんな社会はこの200年の壮大な実験に過ぎません。

しかし、どんな時代になっても、赤ちゃんは時代に合わせて生まれてきたりましません。21世紀型の赤ちゃんが生まれてきたとか、昔に比べて変わった赤ちゃんが生まれてきた、というようなことは基本的にありません。19世紀の赤ちゃんと、これからの赤ちゃんが、こんなに変わったね、なんてことはありません。もしあるとしたら、これからの時代は生命科学が、生殖革命をもたらし、もしかすると赤ちゃんが変わるかもしれません。しかし、大体は当面、目の前の「赤ちゃん」が教えてくれるものは、何百万年というオーダーで変わっていない特質です。

それなのに、生まれて数ヶ月の間に、育つ環境によっていろいろな発達が変わってしまいます。日本で生まれ育てば日本語を獲得し、例えばぐんぐんさんのように2歳になると「ももたろう」の歌を歌って体を動かすことができるようになります。

この環境要因の大きさを考えると、すごいことだな、と思うと同時に、社会の変化によってその環境が変わっていってしまうことが心配です。ある意味で保育園の仕事は、その時代の〈負の社会変化〉と戦っている部分があるのですが、それは保育園にいる間にできることなら手が届くのですが、睡眠サイクルとなると家庭にお願いするしかありません。

日本の場合、乳幼児の夜更かしというのは、何百万年もやったことがない、とんでもない影響を脳に与えているという事実を、一体どのくらいの子育て家庭が真剣に受け止めてくださっているでしょうか。この理解の温度差は如何ともし難い。日本はマスコミがとりあげなさ過ぎです。

そのことを真剣に考えているEUの中には、夜間営業のコンビニは増やさず、幼児向けのテレビは制限し、中学生も夜9時には寝ています。こんなに睡眠時間と質が悪化している日本人は、精神的な幸せの尺度に合わなくなっていることにすら気付いていないのです。朝からイライラしたり、眠そうだったり、体がぐったりしていたり、子どもが午前中がそういう状態であるはずはないのです。子どもの生活の質に大きな差が出てしまいます。

これは、お父さんも認識を新たにすべきです。働き方を変える観点に、子育てに必要な生活サイクルもぜひ検討してもらいたいと願っています。

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