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園長の日記

子どもの経験の意味を考えた1週間

2020/02/22

今週を振り返ってみると、来園者の多かった1週間でした。そして来園者があったことで、いろいろなことに気づくことがありました。保健福祉オンブスパーソンの来園があった月曜日は、子どもが遊び込んでいる状態について再確認できました。アーティストの青木尚哉さんらが来園した火曜日は、身体表現としてのアートのもつ力を目の当たりにしました。入園説明会があった水曜日は新しいご家族と新しい生活を始めるスタートの日になりました。実習生の指導担当者が来園した木曜日は、実習生が子どもとの出会う意味を再確認しました。バス遠足だった金曜日は、上野動物園では動物の多様性(ダイバーシティ)を通じて長い進化の時間に思いを馳せました。そして今日22日土曜日は、午前中に園内のカーペットと換気扇の清掃に立ち会い、午後から新宿せいが子ども園の成長展へ出かけました。

私たちは同じ子どもなのに、環境が変わると見せてくれる姿が異なるという経験を共有しています。たとえば園と家庭では子どもの様子が違うことが結構あるのでした。今週はその「見える姿」の違いをめぐり、子どもの発達経験について色々な角度から語り合ったような気がします。オンブスパーソンの方とは子どもが「寄って来ない姿」をどう解釈するかについて、青木さんとは「3歳児でもやりたがる」という発見について、園医さんとは「健康診断の結果」を通して子どもの発達状態について、実習生とは印象に残った子どもの「エピソード」を通して、昨日は動物に見入っていた「子どもの様子」について、そして今日は「成長展の展示でわかる子どもの育ちのプロセス」について。

子どもにとっての身近な環境によって、こんなに姿が違ってくるなら、その姿の意味がとても大切になります。違うことが重要なのではなく、その違いをひっくるめた全体の経験が、一人ひとりの子どもの発達にどのように影響し、どんな意味や価値があるかということが大切なのです。平成元年以降、国は全国の幼稚園や保育園で「環境を通した保育」を充実させるように働きかけてきました。そのことと、今週の気づきがつながってくるのです。

さらに、ちょっと話が複雑になる事情があります。確かに子どもの姿は環境の違いによって引き出されてくる姿が異なるのですが、もう一つ違って見える理由があるからです。それは人によって異なる「子ども観」や「発達観」です。この○○観という見えないメガネを、私たちはかけていて、その「観」を通じて子どもを見てしまっているのです。私たちはその「観」というメガネを外すことがなかなかできません。ですから、せめて曇りのないピントのあったメガネになるようにしないといけないのでしょう。

遊び込んでいる熱中度、アート感覚、パーソナリティ、間主観的世界観、人類の進化観、保育のプロセス・・どれをとっても新しい「見方・考え方」で刷新され続けてきたことを忘れてはならないのです。ちなみに、この「見方・考え方」は中教審答申で登場した言葉ですが、実生活の中で誰もが使っている〇〇観に近いものです。

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