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園長の日記

つぼみの膨らみ

2020/01/22

今日22日は、午睡が終わる頃から、おやつの時間、そしてその後のくつろぎの時間を、子どもたちとのんびりと過ごしました。不思議な感覚を覚えました。園全体に、ある種の生命力を感じたのです。これは感覚的なことなのでお伝えすることが難しいのですが、色に例えると、もうすぐ花を咲かせるつぼみが膨らんでいるような、淡いピンク色の生命力です。何かが静かに目立たないように成長してきて、それがここにきて、その姿がはっきりと輪郭を持ち始めたかのような子どもたちの育ちなのかもしれません。

例えば、にこにこ(2歳児クラス)の子どもたちがお昼寝から起きようとしている3時前のひととき。担任のU先生が「パプリカ」を綺麗な声で、ゆっくりと歌いながら、子どもたちを夢の世界からの目覚めを誘っています。その歌声がスローなテンポだからでしょうか、バラードを聴いているように心地よく、歌詞の意味がす〜っと心に届いてきます。

♩ 曲がりくねり はしゃいだ道  青葉の森で駆け回る・・・

その声の中で目を覚ましたHちゃんが、ちょうど隣に座っていた私に「数の123」の掲示物や、午前中に遊んだらしいフラフープなどを指差して教えてくれます。ヒトはこうして自分の新しい経験を、なぜか親しい人と共有しようとします。考えてみるととても不思議です。指を差して教えてくれる彼女の、その一つ一つを私は「言葉」にして返します。「いち、にい、さん、って貼ってあるね」「ああ、そうかフラフープを回して遊んだんだね」「あ、い、う、え、お、だね」「消防車だね」といった風に。

そしてちょっと感動したのは、今日は誰がお休みなのかを話しだしたことです。みんなと一緒にいるということが心地よいのでしょう。いない友達のことがしっかりと心に残っているのです。しかも夏に一時保育で来ていたお友達と、その時に臨時でお手伝いに入ってくれた区の先生の名前も覚えていて、「他の保育園に行ったの」と説明してくれます。

子どもは私たちに見えない、たくさんの言葉をうちに秘めています。いろんなことがわかっていて、イメージと意味(概念)がしっかりと結びついて、感じたり考えたりしていることがわかります。子どもたちの中に「理解言語」がどんどん増えて、子どもたちの「世界」が広がっているのです。私たちは、それがよく見えていません。見えていなんだと気づいてあげることは、その子どもの世界を尊重することです。ちょっとその素敵な世界を、もうちょっと教えてもらえるかしら・・そんな気持ちにさせてくれる時間が流れていました。

子どもたちが声や仕草にしてくれる「見える」言葉は、表出言語ですが、子どもたちの内面世界が、表に吹き出してきているようなこんな時期に接しているからだったのでしょう、つぼみが花咲くような生命の動きと重なっている色を感じたのかもしれません。クラスのブログからも、そんな目覚めを感じさせる子どもの成長が記録されています。

美味しそうな香りもしてきました。隣でおやつの配膳が始まったようです。

「さあ、今日のおやつはホクホクしているよ、なんだろうね」

担任のU先生は、こんな語りかけをしながら目覚めていく子どもたちの世界の中にまた一つの扉を開いていきます。

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