
「運動会」という言葉を聞いて、思い浮かぶ種目はありますか。
私は昭和35年、1960年生まれです。最初の東京オリンピックが開かれたときは4歳でした。その後に通った小学校の運動会では、騎馬戦、棒倒し、組体操が行われていました。もう60年ほど前のことです。でも最近も、小学校の運動会で、帽子を取り合う騎馬戦を見かけました。
こうした種目は、いつ頃から行われているのでしょうか。
調べてみると、騎馬戦や棒倒しは、明治時代の自由民権運動に関係する運動会でも行われていました。民権派と政府側に分かれ、民権派が勝つまで繰り返したこともあったそうです。組体操で見られるピラミッドなども、戦前から「タンブリング」などの名前で披露されていました。
それぞれの由来は異なりますが、学校の運動会そのものには、軍隊との深い関わりがあります。明治期には兵式体操が学校に導入され、行軍や演習をモデルにした行事も広がりました。身体を鍛えることと、集団の規律を身につけることが結びついていたのです。
もちろん、現在の運動会が、そのまま当時の目的で行われているということではありません。騎馬戦や棒倒しの面白さ、組体操を完成させたときの喜びもあるでしょう。
それでも、私が携わった行事で、この三つを取り入れたことは一度もありません。理事長の藤森も、取り入れることには反対でした。
行事を考えるとき、これまで続けてきた種目を出発点にするよりも、今の子どもたちに、どんな経験を届けたいかを考えたいのです。その思いに照らして、内容を選び直す。形を変えることも、大切なものを受け継ぐ方法だと思っています。
当園の会を「親子運動遊びの会」と呼ぶのも、そのためです。
「運動会」と聞けば、自分が経験した種目や、子どもたちが練習の成果を披露する姿を思い浮かべる方もいるでしょう。その期待を含めて、会のあり方を改めて考えていただけるよう、名前から選び直しました。
私たちが大切にしたいのは、親子で身体を動かす楽しさを、ともに味わうことです。
鬼ごっこやダンス、わらべうたを一緒に楽しむ。子どもが演じ、大人が応援するという役割に分かれることも、入場や退場を見せるために動きをそろえることもありません。親も子も、その場で遊ぶ人です。
大人が夢中になって逃げる姿を、子どもが笑って追いかける。子どもの動きに誘われて、大人も踊り出す。そんな時間に、親子で何を感じるでしょうか。
「一緒に遊んで楽しかった」「またやろうね」。会が終わったあとに、その気持ちが残ってくれたらと思います。
「親子」「運動」「遊び」。この名前には、私たちが大切にしたい時間への思いを込めています。










