先生に伝える用事があって3階にいくと、階段からすぐの棚に年長のSくんがいて、私に虫かごに入っているカブトムシの幼虫を見せてくれました。「ほら、ここにいるんだよ」と。そして何か書いて紙(なんと書いてあるか分からなかったのですが)を、彼がその虫かごの前に付けようとしているのですが、すぐに下に落ちてしまいます。そこで「こうたたら落ちないよ」と、紙の淵を折り曲げたりして、棚に紙が立つようにしてあげました。

私は用事を済ませるために、その場を離れたのですが、あとでよく考えると「あの紙はなんのためのものだったんだろう」と、ふと疑問が湧いてきました。そしてその目的を彼に聞きてから、そのうえで「どうやったら落ちないようにできるか」を彼と話し合いながらやればよかったかもしれないな、と思い返したのです。
そして虫を「愛している」彼の気持ちを想像して、もしかしたらこう閃いたのです。彼は虫が大好きだから、その紙の目的は、カブトムシの幼虫を守るために、ここには幼虫がいるから、触ったり乱暴にしたりしないでね」というような「幼虫を守りたい」といった気持ちに似たもものがあったんじゃないか?と思えたのです。わざわざ紙に何かを文字を書いて、そこに置いておこうとするわけですから、何かのメッセージを伝えたかったに違いない、と。
その話を主任にしたところ、実は彼が「カブトムシを家で育てたい」というので、たくさんいる幼虫の中から主任が虫かごに入れてあげた、というのです。その経緯を聞いて、そうか!いえにもってかえるものだから、自分が家に帰るまで、大切にしておきたいという気持ちからだったのだろうと合点がいったのです。
そうすると私がこう思い直しました。あのとき落ちてしまう紙を立てるようにすることをこえて、どうやったら夕方まで安全にこれを守っていられるか、彼とその話をすればよかったなあ、と。もしかしたら、他のお友達がそれと分かるような表示の仕方を工夫してみるかもしれないし、お集まりのときにそれを話題にすることになったかもしれません。
保育者が子どもの気持ちに気づくこと。一体どうしたいんだろう?その行動の意味はどういうことなんだろう?というように、想像逞しく子どもの心持ちや意図や願いなどに気づくこと。そして「そうか!」と分かってみると、やってあげたいことや、次の環境の再構成の内容や、新たな足場かけの方法が変わってくるのだろうと思えます。
この子ども理解があると、学びのプロセスをのなかでの援助が何か明確になっていくように思えます。










