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園長の日記

1歳児クラスの子が主体としてお互いを尊重し合う関係の発達

2021/12/15

昨日の話の続きです。「関係発達」のことを、お楽しみ会の動画から説明しようと思ったのですが、子どもの自律というのが個人の力に閉じたものではなく、お友達との心の通い合いの中で成し遂げていく様子を、ぐんぐんのブログが見事に伝えています。このエピソードは、いろんな意味で画期的です。たぶん、ほとんどの保育園ではみられない関係発達の姿です。私の「園長の日記」は、他園の園長先生や大学の研究者など、いろんな保育関係者の方や、保育園を選ぶ際に参考にしようとして読んでいる保護者の方など、たくさんの読者の方がいるので、個人名を伏せて、以下にそのまま、掲載します。

〜12月15日のぐんぐん組のブログ〜

先日、砂場でこんな場面がありました。
帰る時間になって、片付けをしていたのですが…まだ遊びたいRちゃんは、砂場のへりに腰掛けて、砂場道具を抱えています。

 

Rちゃんは、遊びに向かう力や遊びへの集中力があるだけに、もっともっと遊びたかったのですね。「遊び=学び」というくらいですから、とっても大切な力です。

(でも・・・お昼の時間も近づいているし、ほかのお友だちはバギーに乗り込み始めているし、そろそろ帰りたいなぁ…という大人の気持ちも…。)

そんなRちゃんの様子を、LちゃんとFちゃんが、気にかけにきてくれたようです。

すると、Fちゃんが、砂場道具入れの袋の口をあけて、Rちゃんに「Rちゃんここ(に入れるん)だよー」と教えてあげます。


でも、Rちゃんはまだ砂場にいたいみたい…。その様子を察したFちゃんは、こんなことを言います。「じゃあ、できたら入れてねー。」そして、横に立って待っています。
このひとこと、この姿が、すごいなぁと思うのです。
無理矢理入れさせようとするのではなく、”いま作っているものが終わったら、ここに片付けてね”ということですね。
相手の気持ちを推測って、その子がやりたくなるまでちゃんと待ってあげる…こんなことが、2歳の頃からできるんだなぁと感動です。

そんなFちゃんの思いやりも響いたのか、そのあとRちゃんは片付けをする気になったようで、Fちゃんが持ってくれている袋に自ら砂場道具をしまっていました。

Rちゃんも、納得した様子で「入れてきた」と言いながら、砂場から出ると、二人でバギーへかけ戻っていきました。

とっても寒い一日でしたが、ふたりの心の通ったやりとりにあったまるのでした。

そして、今日は、こんな場面が。
散歩前、Aちゃんが ちっち組のKちゃんに靴下を履かせてあげています。


半分くらいまでやってあげたところで、「これで自分でできる〜?」と立ち上がるAちゃん。


Kちゃんも、Aちゃんを見上げて「うん〜」と返事をします。
この場面も、すごいですね。
全部やってあげるのでなくて、(このくらいからなら、自分でできるかな?)と考えて、身を引く。ちゃんと相手の力を見極めて、できるところは自分でやらせてあげようとしているみたいです。子ども同士の『見守る保育』です。

「お手伝い」は、自分のやりたい気持ちだけでは成り立ちません。相手が何を求めているのか見極めて、必要なときに手を貸す・・・その本質を、こんな小さなぐんぐんさんが体現しています。

 

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いかがでしょうか。こんな発達の姿は、個人の中に閉じた状態で獲得されていくような能力(例えば、優しさとして捉えたりする個人の特性)というよりも「お友達との関係のなかで発現される姿」だと言いたくなるのです。人は自分自身を生きるために、「信頼を寄せる相手に見守られている」つまり「そっと、支えてもらっている眼差しに包まれている関係性」を相互に作り出しているように見えます。

たしかに、個人が成長してもいるのですが、それが姿を表すのは、姿を現すような「関係」が育っていないと生まれない、と言ってもいいでしょう。成長とはその環境のありようとセットなのです。これが関係の発達という見方です。

 

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