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園長の日記

一人ひとりの思いに寄り添いながら(園だより5月号巻頭言)

2019/04/26

散歩のとき、2歳児の女の子が、私の人差し指をしっかりと握りしめてきます。その力は強いものでした。この小さな手が将来、未来を創り出す手に成長していきます。子どもの小さな手は、希望の手です。

 5月5日の「こどもの日」は、昔から「端午の節句」と呼ばれてきました。玄関には、鎧かぶとの人形を飾りました。危険から身を守るという意味があります。

端午の節句は、七草がゆを食べる1月7日の「人日の節句」、3月3日の「桃の節句」に続く節句になります。江戸時代から一年に、5つの節句を設けて祝日としてきた風習が、今でも続いていることになります。日本の行事は、その季節の植物にちなんだものが扱われるので、季節感があって楽しいものです。5月は菖蒲、7月7日の七夕、9月9日は菊の節句がやってきます。その頃の子どもたちがどんな風に育っているか、これから楽しみです。

 さらに面白なあと思うのは、長く続いている風習は、それを創り上げてきた先人たちの知恵や思いに接する時です。なぜ鯉のぼりなんだろうと考えると、はっきりしたことはわかっていないのですが、山の幸と海の幸に恵まれた日本人が滝を上る「鯉」の姿に、自然や命の力強さを感じたのは確かでしょう。一方で、アジア各地で日本の錦鯉が高値で取引されているニュースに接すると、国際化するバブルな時代の現実に複雑な思いになります。

 ところで「屋根より高い鯉のぼり」と、子どもたちの歌を聞きながら、この1ヶ月を振り返ると、随分と子ども一人ひとりの「思い」が私たちに届くようになりました。どんな「思い」で毎日を過ごしているのか、これまでどんな生活をしてきたのか、私たちにもだんだんと見えてきました。自分でやりたいけど、まだできなくていたり、お友達と一緒に遊びたいけど、どう言ったらいいのか分からないでいたり、我慢できなくて喧嘩になった時の自分の感情を味わったりしながら、いろいろな姿を見せてくれたり、いろいろな話を聞かせてくれるようになりました。

 これからの園生活が充実したものになっていくように、との願いを込めて、大きな鯉のぼりを作ることにしました。一人ひとりの手形と職員の手形でできた鯉のぼりです。これからの成長が本当に楽しみです。

ちっち

ぐんぐん

にこにこ

わいわい

らんらん

子どもも先生も全員

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