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園長の日記

乳幼児期の環境の質について学ぶ研修会

2019/04/21

【法人合同研修会】

今日は姉妹園の「新宿せいが子ども園」と「せいがの森こども園」の職員が施設見学に来ました。平日はお互いに保育があるので、同じ法人の職員でありながら開園した園舎を見るのは初めての職員が多数います。休日を使わなければ、お互いに交流することが難しいのが保育と言う職場です。私どもの法人、省我会は1979年創設なので、今年でちょうど40年になります。この40年の変遷を全て知っているのは私の師匠、藤森平司統括園長だけです。そこで今日は、見学の後の合同研修会で、日本の保育の歴史を振り返りながら、これからの時代に必要な保育について学びました。以下は私なりのまとめです。
【環境を通した保育】
生物である私たちは、体内にいる頃から環境に主体的に働きかけて生きてきました。生まれてからも赤ちゃんは自ら環境に働きかける力を持っており、その変化を知覚して自らを形成します。その仕組みが脳科学で随分と明らかになり、1歳になる頃までの赤ちゃんの周りの環境が、その後の人生の健康や幸せに影響することがわかってきました。幼稚園の教育要領に「環境を通した保育」が謳われたのは平成元年の事ですが、それから30年が経ち今は、幼稚園に行く前の乳児の保育の質が決定的に重要な時代になりました。では、どんな保育が必要なのでしょうか。今日の研修はその再確認になりました。
【シナプスの刈り込み】
多くの動物は母親の胎内にいるうちに脳細胞とシナプスを十分に張り巡らせてから、自力できる力を備えてから出産します。しかし人の脳は進化の過程で産道から出られないほど大きくなってしまったので、未熟なうちに出産し1年かけて脳を大きくします。これを生物学で生理的早産(ポルトマン)といいます。その時、張り巡らされたシナプスの中で、いつも使われるルートだけが太くなっていき、使われない結びつきは消えていきます。これがシナプスの刈り込みです。どの赤ちゃんも環境が英語なら英語を聞き分け、環境が日本語なら日本語を聞き分けることができます。しかし、母語以外の言葉は耳にする機会がないので、それを聞き分けるシナプスは6〜8か月で消えてしまうのです。言葉以外にも同様の仕組みで、環境から受け取る刺激によって脳の働き方が決定されていきます。「環境を通した保育」の環境の意味が、このように変わってきているのです。
【興味や関心があることのシナプスは太くなる】
何かが好きで、それを継続的に取り組んでいる場合、それが得意な子になります。あまり好きでなければ、無理にさせても、その脳の回路は十分には発達しません。ですから意欲的であること、自発性に基づいていることが成長発達には決定的なのです。ただ子どもは、親の存在が絶対なので、本当にやりたいことを抑圧したり、親の好意を得るために偽りの自己を形成することもあります。そうなると厄介です。アイデンティティー形成期の中学高校の頃、自分探しと親への反発や否定が深刻となります。「自分らしく意欲的」である事は、乳幼児期の発達にとても大切な保育目標なのです。ですから当園の保育目標は「自分らしく意欲的で、思いやりのある子ども」となっているのです。
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