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園長の日記

行政改革目安箱がクラッシュ?

2020/09/18

八王子市で保育園の仕事をしていた頃から、市議や市長に提案してきたことがありました。それを河野太郎の「行政目安箱」に投稿しようとしたら、なんと同様の要望が殺到したらしく、サイトがパンクしたようだ。

「たくさんのメールありがとうございます。今までにいただいたご意見の整理を行いますので 新規の受付を一時停止させていただきます。また再開する場合はお知らせ致します。ご協力誠に感謝申し上げます。」

しまった。組閣当日にでも投稿しておけばよかった、と悔やんでいます。

投稿したかった内容は、文部科学省と厚生労働省の縦割りの弊害に関するものです。私が平成30年度まで勤めていた八王子市にある「せいがの森こども園」は、多摩ニュータウンの一角にあるのですが、森を切り開いて作ったベッドタウンですから、引っ越してくる人口が急増すると、義務教育学校が足りなくなります。保育園もその街づくりとして1997年に創設されたわけですが、その年に開校した長池小学校は全児童数が80人ぐらいでした。

それが10年ぐらいで700人ぐらいにまで急増していきました。各学年3学級ずつの18学級では足りず、4組の学年が出てくるのです。そして教室が足りなくなり、市は30億円の建築費のローンを組んで、校舎を増築しました。

しかし、しばらくすると、人口の増加が止まり、子どもが成長していくと学校の教室に余裕が出てきます。空き教室です。この現象は全国でみられ、少子化がそれに拍車をかけて、小中学校の統廃合が進みました。一方で、バブルがはじけた後の90年以降、共働き世代は増えていったので、保育所が足りなくなりました。そしてご存知の通り、都市部を中心に待機児童問題が発生したのです。

この間、ずっと「不思議だな」と思っていたのは、学校には空き教室があり、学校が減っていくのに、学童や保育所は場所がなくてプレバブやマンションの一室に押し込まれてきました。広々と誰もいない校庭の隅っこで、放課後を過ごす児童が狭い場所で卓球をしているのです。

ミュンヘンの幼稚園や学童を視察したとき、小学校の中に学童がありました。教室が放課後は学童に変わるのです。同じ子どもたちが同じ建物の中で、過ごすことが当たり前に行われていました。ただし教室ではなく学童の部屋へ移動します。スタッフも入れ替わります。

学校の統廃合が必要になった地域は、小さな子どもいなくなっている地域です。若い夫婦が引っ越してきて「ここで子どもを子どもを育てよう」と思える魅力的な街にするためには、ただ高層マンションを建てるだけではなく、学校の中に学童や保育所を作るといいのです。そうすれば、学校はそのまま維持できるし、0歳から小中学校までの、異なる年齢の子どもたちとその家族が交流できる子育てコミュニティができるのです。

八王子市の増設して作った教室の建築費のローンは市債として市民や国民の税金が投入され続けているわけで、同じ敷地のプレハブ学童にも別の資金が投入されています。おかしな話です。まさしく省庁の縦割りの弊害であり「目的外使用はまかりならぬ」ですべて門前払いです。そりゃそうです。どこにも対応する行政の窓口がないのですから。

待機児童問題の核心は、乳幼児の子育て環境の地域的偏在性にあるのです。無償化ではなく、0歳からの義務化(義務というのは行政サイドに課せられるものですから、誤解なきように)をすべきなのです。それが総合的な子ども園・学校というコンセプトだったのですが、バラバラに切り刻まれてしまいました。

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