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園長の日記

休園の軋轢で見えた政策矛盾

2020/04/09

◆一斉に止めないと、感染拡大を抑え込むことは難しい

数珠のようにつながった経済活動の一部だけを閉じてしまうと、そこに大きな負荷がかかってしまいます。一斉に止めないと、感染拡大を抑え込むことは難しい気がします。昨日から今日にかけて、保護者の方々と話していると、それがよくわかります。「休みにしたくても、相手がいるのでできない」「自分だけ仕事を休もうとしても、職場から働いてくれと頼まれるので」。そうした声でいっぱいです。

◆保育園が高度にハイリスクな場に変容

感染爆発の端緒にあるいま、保育園は「三密の発生場」となりました。皆さんの職場がオフィスなら、皆さんはマスクをして2メーターは離れ、人が集まる場所を制限しているはずです。日本のテレワークの普及率は6%でしかないのですが、千代田区ではテレワークに踏み切った企業が目立ちます。リスクを下げることがやりやすい職種があります。でも、家庭でのテレワークだから、子育てもできるというのは大間違いです。そんなに両立できるものではありません。政府や自治体はそれがどうも見えていません。

それにひきかえ、感染リスクを下げにくい仕事もあります。医療、介護など対人援助職です。保育園もそうです。相手が子どもと保護者という対人援助職であり、一度、そこに感染源が入り込むと、あっという間に流行することは、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症でご存知の通りです。実際に、新型コロナでも、病院や老人ホーム、保育園でクラスターが発生しているのです。

◆今度はうちかも!

そうしたニュースに接するたびに「今度はうちかも!」という危機感が募ります。そうなったら、保育園は即閉鎖、2週間の間、保育がストップし、皆さんに大変はご迷惑をおかけしてしまうことになります。学校は休校になっても保育園は蚊帳の外。若者や乳児に感染者が出ても、保育園を閉じようという話にはなりませんでした。保育園が就労支援の機能を持つ限り、就労が止まらないと保育園機能を止めることができないからです。保育士はテレワークなどできません。感染リスクの高い職種なのです。ぜひ、そのことを理解していただきたいという、強い思いに駆られます。

◆就労がスローダウンしないと保育園は休園できない

それがやっと政府の緊急事態宣言によって、法的根拠をもって事業所に対して自粛要請ができるという状況を迎えました。そして9日の今日、いよいよ自粛要請される事業所が決まる、企業が特別休暇を従業員に与え、活動をスローダウンする契機が来た、と期待していたのですが、政府と東京都の見解の違いが露呈してまたもや先送りされそうです。繰り返しますが、基本的には就労が止まらないと保育園の機能は止められないのです。その逆を今回やろうというのですから、大した冒険です。その結果、やはり「しわ寄せ」は、昨日と今日、保護者の皆さんと私たち保育園の両方に、ものすごく大きな水圧となって、押しかかってきました。まず先に、水の流れ=就労の流れ、をストップさせてほしい。明日10日、都知事が自粛要請の具体策を公表しますが、それで少しでも、その水圧が下がってくれることに期待したいものです。

◆就労のスローダウンのための

就労を止めるためには、休業補償によって会社や個人事業主が収益損の心配をしないですむ状況を作り出すしかないはず。それは個人の「覚悟や決意」の問題ではありません。仕組みです。就労という水の流れを緩和してほしい。国民や都民に信頼されたガバメント(政府や自治体)が、「一斉に休もう!」とやってもらわないと、保護者の皆さん一人一人、そして保育園の一園一園にしわ寄せがきてしまうのです。

◆今こそ、スクラムを組みましょう!

こうした状況の中で、避けたいのは、中途半端な休園によって保育園で感染症が発生して「閉鎖」になってしまうことです。昨日、今日と「どうにか工夫してなんとか家庭保育をしよう」としてくださる保護者の皆さん、突然の休園にも関わらず、ご協力いただいていることに深くお礼申し上げます。その無理が発生している原因はどこにあるのか、明日の都政の小池裁きに注目しましょう。

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