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園長の日記

イヤイヤ期を発達の専門家はどう説明?

2020/01/14

◆イヤイヤ期の第一人者の解説は・・

いわゆるイヤイヤ期(第一反抗期)がある理由や、その受け止め方を考えているうちに、そもそも「自分づくり」って何よ?ということになってきました。でも、その前に、今一度、イヤイヤ期について、日本のその分野の第一人者はどう考えているのか、ちょっとだけ紹介しておきたいと思います。

誰がいいかなと考えた末、遠藤利彦さんにしました。今は東京大学大学院の教授で発達心理学が専門です。彼にした理由は、地域の子育て支援を長らくやっていた方なので、親御さんの困り具合をよくご存知なのです。保育界では、遠藤先生と言えば「愛着の先生」というイメージですが、遠藤さんの書いている本はたくさんあって、学術的な文章よりも、もっとわかりやすい話し言葉はないかと探したところ、ちょうどNHKの「すくすく子育て」に出ていたいので、その時の解説を紹介することにします。

◆NHKの「すくすく子育て」からーーーー

MCの鈴木あきえさんが聞きます。

鈴木「早速ですが、遠藤さん、イヤイヤ期というのはどういった時期になるんですか」

遠藤「これ違うな、これ違うな、ということでイヤイヤ、とずっと言い続けるわけです。だけど、そういうことを繰り返しているうちに、あ、自分が好きなのはこういうことなんだな、ということがちょっとずつわかり始めて、自分がしたいことはこういうことなんだな、と、自分を探していく、自分のしたいことを探していく、言ってみれば自分探しのような時期と考えるとわかりやすいかな、思いますね」

鈴木「子どもって、どうしてイヤイヤをするんですかね」

遠藤「別にお父さんやお母さんを困らせようと思ってやるわけじゃ、当然ないんですね。この時期にはいろんな心の力が身についてきて、子どもはいろんなことがわかり始める。そうすると、あれもやりたいし、あっちの方も良さそうだし、という風に、心の中でもいろんなものが膨らんでいく、膨らんでいくんだけれども、じゃあ、実際何をやりたいかってなったときた時に、まだ漠然として整理されていないので、要するにこれやりたいんだという風に、ストレートに主張ができない。逆にいうと、だから提示されたもの、差し出されたものに対しては、でもこれは違うなということはわかり続けるから、嫌って言っちゃう、嫌っていちゃうんだけれども、まだこれがしたいとはっきりわからないということで、フラストレーションが湧いてくる、子ども自身も困っていると考えたほうがいいかもしれないですね」

鈴木「言葉では伝えられないですからね。どうしてこのような時期があるんですか」

遠藤「この時期から自分についての理解が、どんどん高い水準になっていくんですね。自分て、こんな存在で、こんなことが好きでということがわかり始めていくというふうな、そこから急速な自分探しが続いていくと考えていくといいですね」

◆自分探しが始まる1歳半から2歳ごろに「イヤイヤ」が始まる

この番組では、まだ自分がよくわからない1歳ごろまで、そして自分探しが始まる1歳半から2歳ごろ、それがもっと発展してく2歳半〜3歳ごろの3つの時期について、どんな風に成長していくかの動画解説がありました。

<1歳ごろまで>まだイヤイヤはない時期

この頃の子どは、自分が写っている鏡を見ても自分だと気づいていない。赤ちゃんは自分の姿や特徴を理解しておらず、自分のことをよくわかっていない。

<1歳半〜2歳>イヤイヤが始まる時期

このころ自分を発見していきます。自分の顔や性別を認識でき、鏡を見て自分だと認識できます。こうして自分というものがはっきりしてくると自分以外の人もはっきり認識するようになります。そのために他の人に対して、恥ずかしいという感情や、友達と自分を比較して羨ましいという感情を抱くようになります。

こんなふうに自分と自分以外の人の区別がはっきりしてくる頃に、イヤイヤ期が現れます。自分以外の人が提案してくることは、たとえそれが親であったとしても、自分がやりたいこととは違うと感じるようになるからです。

子どもは「いや」という意思ははっきりしているが、これが好きという好みは確立していません。そのため嫌としか主張できないのです。このような経験を積み重ねていくことで、自分の好みや心地よい状態などを発見していくのです。

<2歳半〜3歳ごろ>だんだん収まっていく時期

さらに自分探しは発展していきます。自分が他の人からどう見られているのかが気になりだします。「見て〜」このように、他の人からの評価に気づくことで、さらに自分探しが進んでいくのです。

(事例)お友達に取られそうになったおもちゃを「ダメ〜」と言って、とられないように取り返したあと、「あ、ちょっと悪いことをしてしまったのかなあ」といった風に、戸惑ったような様子を見せる男の子が映し出されました。自分のとった行動に対する相手の反応をみて、悪いことをしてしまったと気づいたようです。そんな時、取ろうとした子へ保育士が「借りて見てもいいかな、って聞いてみたらどうかしら」と落ち着いて提案していました。

相手の反応を見ることで、罪悪感など複雑な感情を抱くようになります。こうした経験を通して子どもは他の人の気持ちに気づいていきます。この時期に本当の自分を知ることが、相手の気持ちへの理解につながっていくんですね。

他人への思いやりなど大人と近い感情を持てるようになると、やがてイヤイヤ期も落ち着いていくのです。

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以上が遠藤さんが監修したと思われるビデオ解説でした。

さて、いよいよ明日は、イヤイヤが始まった時の具体的な対処法を考えます。

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