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園長の日記

おたのしみかい、いかがでしたか?

2019/12/07

◆いろいろな発達の過程を示した姿

保護者の方がいる中で、子どもの言葉や表現を見てもらう。そんな趣旨の「おたのしみ会」でしたが、いかがでしたでしょうか。ぜひ、感想をお寄せ下さい。

子どもの姿といっても、普段とはいろいろなことが違います。まず、目の前に保護者がいます。

「(なぜいるのかかがわからないという発達の段階も含めて)傍らに親がいるという認知」

「見られている(と意識できるのも発達)という自意識」

「なぜ近くに来ないの?という違和感」・・

子ども達は、いろんな思いが沸き起こってくる自分自身との葛藤を感じながら、「これをやろう」というつもりでいる心理。それが外から見たら「緊張している」「浮き足立っている」「あがっている」といった姿に見えるというわけですね。でも、私からしたら、みんな「なんて素晴らしい子たちなんだろう」と思いました。全員を抱きしめて、褒めてあげたいと思いました。

環境が変わると、ちっち組かららんらん組まで、その姿が違うという当たり前の姿が見られましたね。それが自然なことなのです。まず、その確認が大事ですよね。普段通りにできることを望んではいけないのです。それを子どもに強いてはいけません。人的環境が変わったら、心は変わるのですから。普段の園生活の様子は幕間で見ていただいた写真や動画に写っていた姿です。それも含めた全体をできるだけお伝えしたかったからです。(それでも、一部分ではあるのですが)

◆子どもにとって「初めての経験」

このことを、もう少し踏み込んで説明します。

園生活と家庭生活とでは、環境が違うから子どもの姿も違うということは、これまでも、すでに、いろいろなところで気づかれていると思います。保育園の食事は進むのに、おうちではあまり食べない、とか、園ではお手伝いが好きなのに家では甘えてばかりでしない、とか。それが自然なことでしたね。相手が違うのですから。子どもは人によって対応が変わります。どっちが本当かを求めても仕方がありません。どっちも本当なのでした。

さらに、今日のおたのしみ会という状況は、園生活の中でありながらお家の人がいて、しかも傍にいるのに「見ているだけ」という、子どもにとってこれまで経験していない「不自然な状態」とも言えます。子どもにとって普段とは違うのです。子どもにとってほぼ「初めての経験」だったのです。初めてであることだけで、どうしたらいいのか見通しが立たず、不安になることもあります。そういう傾向の強い子もいます。

◆子どもは親の顔を見ると「安心したい!」という気持ちが引き出される

そうした心の葛藤に対して、どのように心が処理していたか。それが「表現」されていました。いろんな姿で我慢していた姿がありましたね。それもまた対人関係力の発達に必要なプロセスでした。「ママ(パパ)がいる!(ほら、見て)ママがいる!」という気づきは、黙ってしまう子もいれば、声に出して、あるいは指をさしている子もいました。傍に寄っていく子もいました。あるいは笑顔で手を振っている子もいました。これらに共通するものは、「ほら、私(僕)はここにいるよ、受け止めて」です。

受け止め方はいろいろです。笑顔でうなづく、見に来たんだよと説明してあげる、一度だけタッチしてあげる、膝に座わらせて安心させる、キューっと抱きしめてあげる・・・こうして子どもは安心を求めていました。子どもは「安心基地」に一旦立ち寄り、心のエネルギーを補給してから、また劇遊びなどに戻っていきます。これを心理学では「安全感の輪」と言います。

◆「地域を知ろう」シリーズとしてのお楽しみ会

8時半に園に来ていただき、舞台で準備をしている時、初めて知ったのが「締太鼓」の締め方です。鋼鉄製のボルトで、ギイギイと締めていました。「しん」と「流れ」の二つの締太鼓で、微妙に音程の差があるように調整していました。ギターやピアノのように絶対音階をはかる道具があるわけではなく、耳で高さを合わせます。

会の最後にお囃子の体験をしていただきましたが、あのハリのある音は、かなりきつく張ってある太鼓の皮だから奏でられる音なのです。

今回は神田囃子を楽しんでいただきましたが、この地域にはホンモノの伝統文化が、このように根付いていることがよくわかりましたね。長い歴史のある日本が生んだ正統な文化だけに、私たち日本人がそれをよく知っておくことが「グローバル社会」の条件です。日本人が日本のことをよく知っておくこと。そのコンテンツがないといくら英語が喋れても話すことができませんからね。

さて、最後に一言、演芸ホール支配人を演じた園長よりお礼申し上げます。

◆演芸ホール支配人によるオフィシャルコメント(感謝とお詫び)

本日は千代田せいが演芸ホールの柿落とし公演にご来場いただき、誠にありがとうございました。お陰様で一部、二部ともに盛会のうちに初演を挙行できましたこと、改めてお礼と感謝申し上げます。

まず二部の開始が予定よりも大幅に遅くなり、長らく1階ホワイエにてお待ちいただくことになったことを、ホール支配人としてお詫び申し上げます。椅子や敷物を用意できず、ご不便をおかけしました。

二つ目は、今日は寒くて、雨が降っている中での実施でしたので、子どもの移動では室内階段を使うべきだったと反省しています。避難階段とベランダを用いたのは、手狭な客席の中、できるだけ多くの保護者の皆さんに座ってみていただくことを優先したことがあります。また保護者の方の傍らを通ることで情緒が不安定になってしまう子どもたちが多くいることが予想されることも、そう判断した理由の一つです。さらに避難階段は毎月の避難訓練で使って慣れているということも理由の一つでした。

今回の演芸ホール特設会場は、元のにこにこ組の部屋、ダイニングに戻りました。年に1回の公演ですが、また来年をおたのしみに。ありがとうございました。

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