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絵本(保育アーカイブ)

三匹のやぎのがらがらどん

2021/06/09

水曜日の夕方は、園長の絵本タイム。今日9日はあの「三匹のやぎのがらがらどん」にしました。シンプルな内容ですが、3番目のがらがらどんがトロルを「こっぱみじんに」やってつけるという、あっけらかんとした強さを見事に描いた絵本です。用意していたのは、別の絵本だったのですが、午睡の頃から子どもたちの一緒に過ごしていて気が変わりました。もっと勇気づけられるような、シンプルなものがいいんじゃないかという直感からの変更です。

松岡享子さんは「単純明快な始まり、3度のくりかえし、クライマックス、大円団と、まるで図式通りと言ってよいほど、よく形の整ったノルウェーの昔話。話に一切無駄がなく、トロルとヤギの出会いは一回毎にサスペンスがあり、対決は勇壮・・」(『えほんのせかい こどものせかい』(文春文庫)と述べています。

このようなお話は、神話や伝承物語として、世界各地にあるわけですが、記録された歴史よりも長い人類の歴史とともにあるものなのでしょう。その意味を感じたいと思いながら、読んであげました。

今回から2グループに分けて、同じ内容を2回読みました。2回とも参加した子もいて「また、あれやりたい」と、がらがらどんごっこをリクエストされて終わりました。

園長の絵本タイム

2021/06/02

毎週水曜日のおやつが終わった後、福田さんによる絵本の読み聞かせが、今はコロナでできないので、5月26日から園長による絵本タイムを始めました。今日はロバート・マックロスキーの『かもさんおとおり』とアーノルド・ローベルの『おはなしばんざい』の2冊です。

4時ごろから40分ほどかけて、プロジェクターに映し出して読んであげたのですが、集まってきたのが、わいわいさんとらんらんさんだったので、語りは「私の絵付き素話」になりました。絵本に書いてある通りに読んでは、ちょっと難しいからです。絵本は文字を読まなくても、絵だけでも内容がわかるようなものがいいのですが、それが見事になりたちました。この2冊をほとんどの3歳、4歳の子たちが飽きることなく、食い入るようにお話の世界に入り込んでいたのですから、いかに子どもというのは想像の世界を楽しむことが好きか、よーくわかりました。教育に物語が果たす役割の大きさを感じました。

子どもと遊び、子どもに学ぶ

2021/05/27

(園だより6月号 巻頭言より)

私が好きな言葉に、絵本作家かこさとし(加古里子)さんの「子どもと遊び、子どもに学ぶ」というのがあります。子どもと遊んでいると、子どもから教えられることがたくさんあります。なかでも、私が「これがオススメ」と思って選んだ絵本よりも「そうか、こっちなんだ」と、いい意味で裏切られるときがあって、そんな時は大事なことに気付かされることが結構あります。

実は昨日5月26日も、そんなことがありました。用意していた絵本は、寝る前に読んであげるのに最適な『どんなに きみがすきだか あててごらん』(サム・マクプラットニィ)だったのですが、リクエストされたのは、4月末の「こどもの日まつり」で読んであげた絵本『かえうた かえうた こいのぼり』でした。この2つの絵本は、ほのぼの系とユーモア系という、タイプが全く異なるので、比較しようがないのですが、どっちの反応が健康か?と、ちゃんと考えると、ユーモアを求める子どもの方が健全じゃないかと感じたのです。

大人は子どもに文学的な質のよさや、上品さへの感興といったものを期待しがちなのですが、これは大人の勝手な思い込みじゃないかと感じることがあります。子どもは、おばけ、怪獣、「ざんねんな生き物」など美しくないもの、どこか常識ハズレなもの、極端なものを好みます。ただ、そこには歴然と許されるものとダメなものがあって、排他的で差別的、悪趣味なものは認めるわけにはいきません。絵本『かえうた〜』は、「♪やねより高いこいのぼり〜」の歌詞を「♪いえよりでかい鯉のぼり〜」などと、虎の子ども三兄弟が替え歌にして、悪ノリしていくお話なのですが、その「おふざけ」ぶりを、それはそれとして楽しむ力があることを、子どもたちの笑顔が証明していました。

日本の絵本には、この系譜の絵本がちゃんと根付いていて、ユーモアの質が高い気がします。漫画、コミック、ゲーム、お笑い、落語、狂言・・日本文化の「笑い」は実に多様です。平安時代から<遊びをせんとや生れけむ/戯れせんとや生れけん/遊ぶ子どもの声聞けば/わが身さへこそゆるがるれ>(梁塵秘抄)と、後白河法皇も子どもの笑い声に自身を振り返っていました。

子どもが教えてくれるものは、大人の価値観との、ある種の「差」です。時々、現実を軽々と乗り越えていく生きる力をそこに感じてしまいます。私たち大人が、自分で自分たちを縛っているものにも気づかせてくれる時さえあります。本当に、子どもから学ぶことは多いものですね。

すいすいさんと物語

2021/03/24

ここのところ、年長すいすい組の話が続きますが、園生活もあと7日ですからお許しを。今日の園長のすいすいタイムは『大どろぼうホッツェンプロッツ』を読み終えました。200ページを超える小学校中学年向けのお話だけに、さすがの年長さんも、ちょっと難しい言葉や言い回しが出てくると、その都度、通じる言葉に言いかえながら読み進めました。ストーリーは簡単なのですが、プロットからプロットまでの間にある説明の面白さはまだよくわからないので、そこは、私の独り言説明が入ります。「へえ、魔法使いなんだんって。すごいな、ここの四角の中に持ち物を置いて呪文を言うと、その持ち物の人が、現れるんだって。すごいね。たとえば◯◯くんの水筒をここに置いて、魔法の言葉を言うとね、◯◯くんがどこにいたって、ここから出てくるんだよ」みたいな、私の長〜い独り言が入るわけです。

・・・ここにも発達段階の特徴と、それにあったサポートというテーマがあるのですが、それはともかく、実践的には子育ては「通じる」「わかる」「おもしろい」という状態になるにはどうするといいか、ということであり、直感的にそれができれば、しめたもの、ということでしょう。

これまで読んだ絵本でもう一回読んでほしいリクエストがあれば、それを今度は読もうか?というと、やっぱり何人かが「エルマー」を一番に挙げましたが、「長いから一回じゃ終わらないよ」とか、NUくんが『もりのへなそうる』の方がいいと、面白い箇所を話始めます。楽しいお話に目のないNくんらしい提案の仕方でした。『どこんこぶた』がいい、という子もいます。その子が選ぶ絵本には、その子らしい。いろんな絵本の中から、自分のお気に入りが決まっていくように、人生の選択が始まっているんだなあと思いました。

私の願いは、絵本や本やお話が好きになってほしいということに尽きます。物語ではなくてもいいのですが、たとえば主人公になったつもりで、いろんな体験をするようなものが、感情体験を豊かにしてくれます。擬似体験だとはいっても、子どもの頃はそれが実体験と同じくらいに没入できるので、その体験の質は実際と同じくらいに、もしかするとそれ以上に、リアルな体験になっている気がします。本の世界ほ現実よりも広くて深いのです。

保育園では、その世界を単純にたくさん楽しんできました。これからも、もっともっと、想像と物語の世界へ旅立ってほしいと願っています。

『十二支のおやこえほん』で笑う

2020/12/30

子どもに絵本を読んであげていると、その反応が面白くて「物語」というものが持っている力を実感します。11月から始めた「園長先生の絵本タイム」で取り上げた絵本は『おしいれのぼうけん』『いやいやえん』『エルマーのぼうけん』『エルマーとりゅう』『エルマーと16ぴきのりゅう』『もりのへなそうる』と続き、今年最後は『番ねずみのヤカちゃん』で終えました。

ただ28日(月)は保育納めの日だったので、この時は高畑純の『十二支のおやこえほん』を楽しみました。

 

親子の会話が漫才のように面白くて、大笑いしながら「おち」のおかしみを味わいました。来年の干支は「うし」ですが、牛の子どもが絵を描いたというので、お父さんは自分を描いてくれたと思って、白地に黒の大きな斑点のあるその絵をみて喜ぶのですが、子どもが描いたのは実は「パンダ」で、「パンダを描いたとは言えません」とった会話になっているのです。

一回読み終えると「もう一回読んで!」と大好評だったのですが、このようなユーモアやおかしみのある絵本はとてもいいと思います。子どもは本来、そういうものを好みます。決して低俗なものだと否定してほしくありません。絵本のお話も遊びと同じ快楽が色濃くあるものなのです。そこを肯定することが、生活の中の豊かさに通じます。こうして楽しい笑いで最後の保育になりました。機会があれば、ご家庭でも親子で楽しんでもらいたい絵本です。

 

物語の楽しさ・劇や童話の世界から

2020/12/18

年長のすいすい組で行っている園長による読み聞かせタイムは、今週2回実施して童話『もりのへなそうる』を読み終えました。このお話は、5歳のお兄さんと3歳の弟の兄弟による「森散策譚」なのですが、そのあどけない冒険心と拙い会話のおかしみに、子どもたちは親近感や共感、時には優越感を感じながら、気弱なりゅうの子どもの「へなそうる」に対して、徐々に強い愛着を形成していきました。「かに」を怖がる優しい「へなそうる」に優しい気持ちを寄せていく、すいすいの子どもたちでした。

来週はいよいよクリスマスの週になります。アドベントカレンダーも後数日になってきて、幼児はクラスの装飾も華やかになってきました。また少しでもクリスマス気分を盛り上げようと、一昨日から、ベランダのある神田川側にクリスマスツリーの形をした電飾を用意し始めましたが、本日ほぼ完成しました。

お楽しみ上映会も4日目になり、運営も慣れてきたところで、私がミスをしでかしてしまいました。上映プログラムを間違えてしまいました。今日は昨日とは異なり、幼児のわいらんすいを最初に上映しなければならなかったのに、昨日と同じ流れでやってしまいました。後半に参観を予定していた方には大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ありませんでした。

参観されたご家族からの感想を読ませていただくと、皆さんとの思いが一致していることに喜びを感じます。お便り帳などに感想をお寄せいただけると嬉しいです。ぜひよろしくお願いします。

 

エルマーの賢さ

2020/12/11

◆エルマー3部作、読了

すいすい組の読み聞かせは今日で、エルマーシリーズの3冊目『エルマーと16ぴきのりゅう』を読み終えました。人間たちに捕まらずにりゅうの家族の脱出を成功させたエルマーに、子どもたちから安堵と称賛の感情が溢れました。「エルマーって、あたまいいなあ」とNくんが感心していました。

本を読んであげていると子どもたちの「読解力」の基礎力に触れる瞬間と出会えます。話の筋や展開をよく理解したいという集中力が強く伝わってきます。「じゃあ、ピストルをうったのは、なんで?」とか「それエルマー?(が言ったの?)」のように、頭の中にビジュアルに思い描いている映像と、実際の話の辻褄があっていないと感じたり、あれ、どうして?と思うところは、すかさず質問が飛んできます。

読み聞かせの状況によっては「静かに聞いてね」と質問や喋ることを我慢してもらう場合もありますが、聞きたい子だけが集まっている少人数なので、私はその都度、反応してあげる読み聞かせ方を大切にしています。「そうだね、それは、もうちょっと話の先までいくとわかるよ」とか「先生も不思議だなって思うんだよね」などと言って、先の話に注意をむかせます。状況によって「聞き方」も学んでいってもらうつもりです。

また、読むだけでは分かりづらいとことは、詳しく解説していきます。例えばサーチライトがりゅうに当たって姿が見えたり消えたりするあたりは、文学的な表現になっているので、「月が出てきないってことは真っ暗ってことだから?」「暗くて見えない!」「そう、そう」のような解説を加えていきます。童話「エルマーシリーズ」は渡辺茂男さんの訳ですが、その渡辺さんが書いた童話「もりのへなそうる」も、この子たちに読んであげたいと思っています。

 

全園児健診、屋上の活用、楽しい絵本

2020/11/18

◆全園児の健康診断

認可保育園は園児の健康診断が義務化されています。乳児(0歳児クラス、ちっち組)は毎月、そのほかのクラスの子どもは年2回です。今日はその年2回のうちの2回目(1回目は春、2回目は秋)でした。ただし、1歳2歳5歳は先月10月に済んでいますので、今日は3歳と4歳の健康診断をしました。

園医さんは、医療法人社団 昌仁醫修会 瀬川記念小児神経学クリニック(星野恭子理事長)の野﨑真紀(のざき まき)先生です。発達障害の診断もできる日本小児科学会認定小児科専門医です。保育園の園医さんが小児神経系の専門医であることは、とても心強く、恵まれた環境にあると言えます。

乳幼児の心身の発達を医学的に診断してもらうと、多くのアドバイスをもらえます。食と運動の生活習慣が小児生活習慣病に影響するのと同じように、睡眠を含めた生活リズム習慣は子どもの脳の発達(心理や行動)に大きな影響を与えます。わいらんの子どもたちは、この時期に改善できる余地がかなりあります。野島先生も「ぜひ受診してほしい」とおっしゃっていました。

◆屋上を効果的に活用

屋上が広くなったことで、園庭代わりの運動スペースとして機能し始めました。すべてのクラスが時間をうまくずらして活用しています。昨日は乳児が屋上でかけっこや体操を楽しみ、にこにこ組(2歳時クラス)も今日、屋上でトランポリンを楽しみました。幼児は、今日は全園児健診で散歩にでかける時間が取れなかったので、年長児すいすい組が午睡時間に屋上で劇遊び「エルマーの冒険」をやり、午後のおやつのあとは幼児(わい、らん、すい組)が2グループに分かれて、ボール遊び(転がしドッチ)に汗を流していました。

朝の運動ゾーンでの活動、午前中の散歩や公園遊び、そして午後の運動の時間と、体を動かす機会を増やすことができそうです。乳児はベランダと散歩に加えて屋上がプラスされました。また幼児(わいらんすい全体)は今週月曜、火曜と2日続けて「佐久間公園」まで行っていますが、今日のように外へ出られない時は屋上も使って運動不足にならないように活用できるでしょう。

◆ちっちぐんぐんが福田さんの読み聞かせに集中

今日水曜日は恒例の福田さんによる読み聞かせがありましたが、にこにこ組(2歳児クラス)のあとは1階のちっち・ぐんぐん組(0歳・1歳児クラス)で読んでもらいました。

 

乳児への読み聞かせは、先週から始まったのですが、2回目の今日はもうよく覚えているのか、人見知りするどころか、福田さんの前に早速寄っていって座り「かぶりつき状態」に。福音館書店から届いた最新の12月号「ひょうたん ころころ」を含む3冊を読んでもらいました。ひょうたんがリズミカルな言葉とともに転がるたびに、ちっちさん、ぐんぐんさん、笑顔で楽しそうに見入って(聞き入って)いましたよ。(ちっちのブログもご覧ください)

 

楽しみな絵本の読み聞かせ

2020/11/04

今日4日(水)は福田さんによる読み聞かせがありましたが、この時間を楽しみにしている子どもたちがたくさんいます。たとえば、2歳児クラスのにこにこ組の子どもたちは、朝から「今日、福田さんくるね」と待ち遠しくしているそうです。実際に読み聞かせが始まる時間になると、あっという間に丸テーブルに集まり、読み終わると「タッチして〜」「またきてね〜」と手を触りスキンシップも求めていました。にこにこの先生も「水曜日は朝からとても張り切っているんです」と喜んでいます。

わいらんすい(3〜5歳)の子どもたちも同じで、2グループに分かれているのですが、後半のすいすい中心グループは、予定していた絵本が終わると「え〜、もう終わり。これも読んで!」とリクエストも。前半グループで読んでもらった絵本ももう一回読んでもらっていました。

 

いい絵本は子どものことをよくわかっている

2020/10/22

エルマーの冒険を読んであげていると、この本は子どものことがよくわかっているなあ、と感心します。子どもの反応をあたかも予想しているかのように、文章が展開して行くのです。私の話に聞き入っているのは年長さん数人。お昼寝をしない子どもたちにとって、午後1時から3時ごろまでは、活発に体を動かすことはせず、比較的静かにして過ごしているのですが、10月から週2回、物語絵本などを読み聞かせています。先週が「おしいれのぼうけん」だったのですが、今日22日は「エルマーのぼうけん」の途中までです。この大ベストセラー絵本のストーリー展開は、子どもの「次どうなるんだろう」と「きっとこうじゃない?」を強く刺激します。船で密航して「みかん島」まで行くのですが、小麦の袋に隠れて歪な形になってしまい、船員に見つかってしまうのではないかというハラハラする場面では、船員がエルマーの「ひじ」を触って「枝のついたとうもここし」だろうと勘違いすると、すいすいさんたちは、安堵とおかしみと痛快さの混じった、なんともいえないため息を漏らしました。「こういう場面が子どもたちにとってはたまらないんだなあ」と感心します。今日は「どうぶつ島」まで渡りきり「いのしし」に疑われるところまで読みました。空を飛んでみたいエルマーは、子どもの恐竜を助けることができるかどうか、すいすいさんたちの夢見る物語は来週も続きます。

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