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地域連携(保育アーカイブ)

子どもの体験を幅を広げる水辺にするために

2021/11/24

 (リバーサイドプロジェクト事務局長の岡田さん)

当園のロケーションの強みと弱点を考えてきたこの2年半。弱点は狭いし、園庭はないし、自然は乏しいし、交通事故などの危険性があるし、こらの課題を乗り越えてきた2年半だったわけですが、これを乗り越えるべく、地域を園庭しようと発想を転換したり、身近なところにある自然を大切にしたり、バギーやバスで広い場所へ移動したり、ハンデキャップを克服してきました。

 (小林やすお・千代田区議会議員)

しかし、千代田区と地域活動との連携を地道に重ねてきたことによって、新しい強みが育ってきているように感じます。その一つが神田川が目の前にあるというロケーションです。

 (新倉健司・屋形船三浦屋社長、屋形船東京都協同組合会長)

昨日24日、この神田川や運河の水辺を再生させて活用する活動に参加してきました。

園の前の佐久間橋児童遊園で、その発足会の式典が開かれ、その組織のメンバーに加わりました。

これは神田川と運河の清掃を行いながら、水辺としての環境を豊かにしようという活動です。この活動の主役は、東京お茶の水ロータリークラブの方々と、佐久間1丁目町会、及びこの活動の区議会議員連盟の方々です。この活動を広げ、深めること、その組織のメンバーになったことで、当園のみならず、近隣の人たちとの連携に、また一つ大きな可能性が広がりました。

樋口高顕・千代田区長も「大事な活動なので応援したい」と協力を約束してくれました。

個人的にワクワクしています。こんな大きな可能性に関われるという期待感と静かな高揚感です。子どもたちに、新たな体験の機会が生まれるかもしれません。

 

遊びの中で体が自然に動き出すダンス

2021/11/23

勤労感謝の日の今日23日、海老原商店とその前の柳原通りが、ちょっと面白い空間になりました。

楽器や木箱を叩く音に合わせて子どもと大人が踊ったり、保育園の屋上でダンサーをモデルにデッサンをしたりと、「コレモ?ダンス?」のタイトルのとおり、どこまでがダンスだかわからないパフォーマンスを参加者が楽しみました。

主催したのはコンテンポラリー・ダンサーの青木尚哉さんとその仲間たちです。今回のイベントにはクラリネット奏者の西村薫さんと、代々木デッサン会を主宰する北村範史(ノリチカ)さんとのコラボレーションがあったことです。

午後1時から6時までの5時間。秋晴れのもと、休日で通る車もあまりない柳原通り。

海老原商店の玄関前で、子どもがチョークで黒板や歩道にお絵描きをしたり、木琴をバチで鳴らしたり、ポータブルラジオから音楽が流れたり、そのリズムや音が醸し出すイメージに合わせてダンサーたちが即興的に踊ります。

保育園までの間の通り全体が、ダンスパフォーマンスの空間になって、歩行者も「何をやっているんだろう」という面持ちで、立ち止まって身いったりしていました。

保育園からは4家族の親子が楽しみました。お絵かきや楽器遊びをしながら、子どもたちは自然に体が動き出します。それもダンスだと思えてくるから、面白い空気感です。

子どもは本質的に体を動かすことが好きな存在ですが、そのことを本人も周りの大人も積極的に楽しもうという雰囲気があること。この意味を再発見できたことが大きな収穫でした。海老原商店の中でかくれんぼしたり、おやつを食べたり、楽しいひと時だったようです。

夕刻になるとクラリネットの音色に合わせて青木さんたちが本格的なダンスを披露してくれました。歩道で見ていた人たちも一緒に踊ってフィナーレでした。

業平小の運動会で青木さんがダンス指導

2021/10/30

東京スカイツリーのすぐそば、墨田区立業平小学校で10月30日に開かれた運動会を見てきました。6年生の3クラスとさくら学級86人による出し物が、ダンサーの青木尚哉さんが指導したダンスだったからです。

演目は「虹色の風を起こせ」。内容は一人で歩くこと、数人が並んで歩くこと、漢字一文字のイメージを数人のグループで表現すること、そして、千代田せいがでもやった「マネキン」などのワークで構成されていました。運動会は校庭で行われたのですが、真っ青な秋空に揺れていたのは6年生が作った傘の作品でした。

ある枠があっても、その中の動き方を自由に作り出すと言う創造性に主眼が置かれていることがわかります。例えば6人が横1列に並んで歩くワークでは、スタートとゴールは並んでいるのですが、途中では誰かが速く走ったり、止まったり、ゆっくり歩いたり、ランダムに動く模様ができます。それをお互いに見ないでゴールを一致させるというものでした。タイミングやスピードを自分たちで考える面白さがあります。

作品のパンフレットによると「まずは動きのアイディアをできるだけ出し合って、そこからより見せたい動きや、場所の使い方、他のグループとのつなぎ方も考え、工夫を重ねてきました」。これを授業で作り上げるまでに、7月に1回、9月に2回、そして10月に8回のワークショップを重ねてきたそうです。

学校とアーティストの橋渡し役を担っているのは、NPO「芸術家と子どもたち」で、「パフォーマンスキッズ・トーキョー」(PKT)という活動を平成20年度から展開しています。その代表の堤康彦さんによると、ダンスや演劇音楽などプロのアーティストを学校や児童福祉施設等に10日間派遣しワークショップを行い、子どもたちが主役のオリジナルの舞台作品をつくります。令和2年度までに都内小、中、特別支援学校156校、文化施設65カ所、児童養護施設33カ所などで実施、約9400人の子どもたちがアーティストとの素敵な出会いを体験しています。千代田区では昌平小学校がダンスで浅井信好さんとのコラボレーションしています。

小さいうちに、芸術家やアーティストと出会う体験は深いところで興味や関心を刺激します。乳幼児の体験の中にアートとサイエンスを、増やしていきたいものです。

 

第3回 親子運動遊びの会

2021/10/24

第3回親子運動遊びの会を開くことができて、本当にホッとしています。後片付けを終えて園に戻り、12時半から1時間ほど反省会を開きました。全員で感想を話し合いました。コロナ禍にあっても、なんとか開催できて、子どもたちも楽しそうだったので、よかったという感想がベースなのですが、私たちからの目線だけではなく、ぜひ、保護者のみなさんからも感想をお寄せいただけると嬉しいです。

今年も青木尚哉さん率いるダンスグループZero(ゼロ)のダンサー、芝田和(しばた・いずみ)さんと宮崎知佳(みやざき・ちか)さんと一緒に自由に体を動かして楽しむことできました。反省会で出た言葉を、以下、カッコ「 」付きで繋いでいくと、「時間は短かったのですが、いろんな要素がぎゅっと詰まった時間」でした。

特に最後に青木さんのダンスをライブで見てもらったことで、「ちよだせいがの保育が、何を大事にして、何を目指しているのかに共感してもらえたんじゃないか」としたら、私としてもこんなに嬉しいことはありません。決まった振り付けを覚えるのではなく、内面の動き、イメージを外に表すことの素敵さです。

反省会でミュージシャンでもある坪井保育士が「プロのアーティストがやっていることと同じ創造的な活動になっている」と説明してくれました。それを目指しているのは間違いありませんが、そうなっていたら、これまた嬉しい。「昨年の姿を思うと、こんなに積極的に楽しそうに参加してくれて、すごい成長だなあと思った」という姿がいくつも挙がりました。保護者の皆さんはどうお感じでしょうか。

幼児(わいらんすい)の第二部の方では、保護者の皆さんと先生とで、大人が輪になって「鬼さん、鬼さん何するの」をやってもらいました。その姿を子どもたちがみるというプログラムを入れたのですが、「大人が体験してもらうことで、子どもの世界を想像してもらいたいし」「親子が一緒に生きる世界が重なって、同じ感覚を共有できる」「小学校にも、そういうのはある」などの感想がありました。どうだったでしょうか。

青木さんは「これするの、のところで、何もしないで、じっとしておく、もアリです」といっています。

私は何かの目的のために頑張って、その頑張りが褒められるという評価の仕方は、小学校以降でいいと考えています。知識や技能のコンテンツがいっぱい待っています。発達課題としても目標に向かって何か学ぶ「勤勉さ」は獲得してほしい。でも、そのとき「劣等感」を持たせないようにしたい。

だからこそ、就学前の乳幼児期には、その部分は半分でいい。残りは条件のつかない自信をいっぱい育ててあげたい。多くのコンテンツを自分から獲得に行ける意欲の根っこを太くしてきたい。エンジンを大きくしておきたい。

そのままでいいという無条件の愛と承認が、この時期の子どもたちの必要条件です。その温かい人間関係の土壌から、自分で目覚め、立ち上がり、歩んでいく力が育ちます。多少早くコンテンツを詰め込んでも、そんなものは1年も立たないうちに追いつかれます。

体を思い通りに動かすことの自由。脳の発達の柔らかいうちに、その創造力の元の元、をいっぱい動かしておきたい。大人が「鬼さん〜」をやってみて、その難しさ、自分の頭の硬さ、発想の貧弱さを感じませんか? 私は最初恥ずかしさを感じ、やってみると難しさを感じ、何度かやっているうちに面白くなって、その心の変化を実感しました。子どもはそこが解放されると、中から湧き上がってくるようになります。

わになって遊ぶわらべうたを、たくさんやったほうがいいなぁと、気づいた瞬間でした。

子どものその素晴らしさは、自分の体だけではなく、考え方、感じ方、試し方、生き方も自分なりの自由な精神性の開発につながっていくでしょう。その道筋はさまざまでいい。その子らしさの世界は広く、深いものです。

アキバ分室で初めての睡眠講座

2021/09/01

9月1日(水)、今年4月に万世橋にできた「子育てひろば」で、初めての睡眠講座を開きました。講師はお馴染みの永持伸子さん。子育てひろばは、基本的に毎週水曜日の午前中に開かれているのですが、そこでいつものようにZOOMでリモート講座を開きました。ただパソコン画面をプロジェクターで映し出し、音声もスピーカーで流して、そこへ赤ちゃんと一緒のお母さんたちが、一緒に講座を受けることができるようにしてみました。

会の始めに会場の方から睡眠のことで聞いてみたいことを尋ねると・・

「夜の授乳をそろそろ終わらせたいのですが、どうやったらいいですか」とか「昼間のお昼寝はどんな状態が好ましいのですか」など、いろいろな?(はてな)がいっぱいでした。

多くの人にこの講座のことを知ってもらうためにも、感染対策を講じた子育てひろばで開催してみたのですが、睡眠講座を開いてみると、はやり「対面」のよさが分かります。画面越しでは伝わりにくいコニュニケーションがあることがよく分かります。ただ、コロナ禍や距離を気にしないで済む、家から参加できる、夫婦で一緒に参加できるなどリモートの良さもあります。

今年度前期は9月7日(火)と21日(火)で一旦終了します。リピーターの方もいらっしゃいます。子どもの成長に従って睡眠のポイントも変わります。気軽に何度でも参加してみてください。お申し込みは千代田せいが保育園のメール(c.seiga@chiyodaseiga.ne.jp)までどうぞ。

からだが嬉しがる運動

2021/07/27

私たちの体は色々なものを求めています。お腹が減って何か食べたい。ぐっすり眠りたい。疲れをとりたい。そして体を動かしたい。色々な欲求を満たしながら、生きているのですが、食欲、睡眠、休息、運動などは生理的欲求ですが、生きている限り不可欠なものになります。しかし食べて満腹になりたいだけではなく、「美味しいもの」を探したり、ただ寝るのではなく質の高い睡眠を願ったり、体の疲れだけではなく心身ともにリラックスできる癒しを求めたりします。

ダンサーの青木尚哉さんと芝田和さんによる、運動遊びが今日から始まりました。昨年から来ていただいているので、3歳以上の子ども達はよく覚えていて、みんなとても喜んでいました。一緒に体を動かして遊ぶことが楽しいからです。

ところで体を動かす、運動するといっても、これまた、それには「質」というものがあって、からだが嬉しい運動というものがあることに今日気づきました。昨年の親子運動遊びの会でもやりましたが、「グーパー体操」覚えていらっしゃいますか。じゃんけんの「ぐー」と「パー」を、にこにこ組(2歳)は手でやります。足でもちょっとできました。わいわい組(3歳)は、足をぐーで閉じ、パーで開くが楽しそうです。音楽に合わせて跳んで開いたり閉じたり。さらに顔でも「ぐー」と「パー」をします。この辺りの自由な発想が楽しい。

トンネルを作って通る遊びでも、いろんな形のトンネルができます。足と腕で2箇所のトンネルができたり、大人のトンネルを子どもが潜るだけではなく、反対に子どもにトンネルをつくらせて大人がその小さい穴を通り抜けます。わいわいまでは2階のダイニングでやったのですが、らんらん組(4歳)とすいすい組(5歳)は、3階の家具を移動して広くして、そこで、リズムに合わせて、歩く、片足で移動する、音楽が止まったら静止する、さらに片足で静止する、などだけでも、実に楽しそうです。

その次は2人ひと組になって、ポイントワーク(マネキンとデザイナー)です。体が動くこと、動く場所と動かない場所があることに気づき、なんとなくいい形を作っていきます。

できたマネキンの姿をデザイナーも真似してポーズ。交代したり、一度できた形を崩さずに続けたり、体を造形対象にしながら、「えーっと、どうしようかな」と頭もフル回転です。

こんな体の使い方を小さい時から体験しているのとしないとでは、何かが大きく違ってきそうです。体が嬉しいと感じる運動のバリエーションが増えるからです。

運動学では、この体の感覚を「動感」と言います。いわゆる五感の中には、近いものに触感がありますが、体全身の感覚ですから、姿勢や身のこなしや運動やスポーツなど、ありとあらゆる身体の動きを、この「動感」が記憶していくセンサーのような役目をはたしています。体の動きを司どるセンサーの感度を高めておくには、それが快感であるような(つまり体が喜ぶような)経験をたくさんしておくといいわけです。

青木さんとは今朝、こんな話になりました。ダンスというからそのイメージに囚われてしまうけど、実はいろんな分野で同じようなことが求められています。芸術だけではなく、スポーツや医療や教育や建築やランドスケープデザインでも、色々なところで身体そのものの動きについての「善さ」の探究が始まっているそうです。面白いですね。

着がえる家(西尾美也)

2021/07/11

昨日10日の夕方、海老原商店で始まった「着がえる家」を楽しんできました。アーティストの西尾美也さんに案内していただきました。プロジェクト型アートになるのですが、たとえば千代田せいが保育園の年度末の行事「成長展」が子どもの作品展ではなく、子どもの成長そのものが作品であるような展示にしているのと同じように、服が作品であるだけではなくて(服の作品もあります)、服を着ることや着がえること、洗うことや干すこと、或いは服を作ることや服を交換するといった中にある「美」を、物やビデオやファイルや写真や家具や空間で、表現していました。

個人のパーソナルヒストリーからケニアの服屋さんまで、人と人、家族、1人の成長の記憶など、人間の営みの中に見られる服をめぐる様々な表象を体験できるインスタレーションになっています。

1階の奥の和室(山本歯科医さんのミニ講座を開いたところ)の部屋では、服をテーマにした絵本や、西尾さんのお子さんが描いた絵が展示されていて、テーブルに座り込んでお絵描きもできます。

9月5日(日)までの期間中に、いくつものワークショプが予定されているので、保育園でも参加してみようと思います。実際に服を作ってみるもの楽しいはず。服の提供は大歓迎だそうです。

東京ビエンナーレ2020/2021の一環です。チケットは全て体験できるパスポートあるいは個別鑑賞券があります。詳しくは公式ウェブサイトでどうぞ。

今週の「ちょっといい話」

2021/07/10

月曜日。梅雨の長雨で被害を被られた方々は本当にお気の毒でお見舞い申し上げます。その梅雨のせいなのか、神田川側のベランダにカニがお目見え、一旦は玄関の水槽を用意したのですが、狭いところは嫌なのか出ていってしまいました。初めてカニを見た乳児もいました。また来てくれるでしょうか。

屋上のひまわりが咲きました。

和泉橋からよく見えます。このひまわり、昨年咲いたひまわりの種から育ちました。神宮司さんが、せっせと世話してくれたものです。ちょっとした清涼剤ですよね。

カブトムシくんたちも、子どもたちに大事なことを(身お挺して)プレゼントしてくれています。

私だって触れるも〜ん。(左指にご注目^_^)

季節感のある保育園にするには、生き物たちが教えてれてくる季節が一番ですね。

火曜日。アキバ分室の子育てひろば担当の松本さんが来園。永持さんの睡眠講座、アキバ分室でも開くことになりそうです。

子どもたちが作った色とりどり「風鈴」は、いろんなアート技法が取り入れられていて、和みます。

それを見つめてくださっていた親御さんたち。叶えてあげたいなあと寄り添う大人の優しさを感じました。

水曜日。7日の七夕では、笹の葉に願い事がいろいろ。幼な子の思い、きらきらと宝物のようにゆらめいて輝いていました。

絵本タイムは、『としょかんライオン』を読んであげました。

最後の「走ってはいけません」が、どう届くかな?と思ったのですが、子どもなりにウィットが理解できるようになってきたかもしれません。

木曜日。夏の水開きの日でしたが、屋上の野菜もどんどん大きくなっています。

「これな〜に」の指の先には、なす、きゅうり、すいかの花が咲いていました。

(ナスの花)

(キュウリの花)

スイカもぐんぐん大きくなってきました。

園で育てたものではありませんが、とうもろこしの皮むきを楽しんでいる様子は、クラスのブログでご覧ください。

金曜日。林修(はやし・しゅう)さんの作品「チェンソー」が玄関に展示されました。

海老原商店で展示されたものです。扉の廃材がアート作品に生まれ変わったものです。

子どもたちにも「美」の思い込みを揺さぶる「じわじわ効果」があると、いいな。

土曜日。今年1番の暑さ。東京ビエンナーレ開催。園児のMKさんと一緒に尋ねてきました。

詳しくはまたレポートします。

賞状を玄関に展示しました。6月に発表した、東京都社会福祉協議会保育部会の研究大会への貢献です。

東京ビエンナーレ2020/2021 もうすぐ開催

2021/07/06

東京から世界へ〜国際芸術祭が7月10日(土)から始まります。2年に一度の芸術祭ですがコロナで1年延期になったイベントです。テーマは「見なれぬ景色へ」。江戸時代、柳原通りは服のリサイクル通りでした。

美術家の西尾美也(にしお・よしなり)さんは、戦前から反物を扱っていた海老原商店をイベント会場に選び、ここで「着がえる」ということをテーマとした展示やワークショップを開きます。開催は9月5日(日)まで。

20210706 東京ビエンナーレ2020:2021

 

青木尚哉さんのダンス公演を観て

2021/07/03

動作と演劇とダンスの境目って、どこなんだろう? 動きと静止を生むものは時間なのか光なのか? そんな思索に導くような刺激的な身体表現を観てきました。コンテンポラリー・ダンサー青木尚哉(あおき・なおや)さんが率いるダンスグループZer〇(ゼロ)の公演「Frasco!」のことです。暗闇から光が灯された瞬間から、観ている私の中に、色々な表象が動き出して、私の頭の中がフラスコの実験装置になったみたいに、色々な表象の化学反応が起きました。演じられたのは2作品。そして私の中に出来上がった化合物は、所作と速度が混ざり合ったものと、社会から視線だけを抜き出した動く身体標本のようなものでした。

演じた皆さんは、保育園で子どもたちにダンスを教えてくださっている方々です。昨年10月の「親子運動遊びの会」に来ていただいたので、ご存知の方も多いと思います。

(左が芝田和さん、右が木原萌花さん 昨年の運動会にて)

一つ目の作品「ひとごと」は、木原萌花(きはら・ももか)さんの振付です。そして、それを演じたのは青木さんと芝田和(しばた・いずみ)さん、もう一つの作品「Golconda」は坂田尚也(さかた・なおや)の振付・演出です。青木さん、芝田さんに常田萌絵さんも加わって、演劇のようなダンスを披露してくださいました。みなさんは、昨年2月から園児たちとの交流していただいています。

コンテンポラリーダンス、というと難しそうに聞こえるかもしれませんが、青木さんのダンスグループは、既存のダンスの要素を一旦解体して、身体そのものをテーマとした、全く新しい表現を再構築している、と言っていいのかもしれません。その活動分野は、舞踏に留まらず、音楽、映像、建築、医療、教育などに及びます。最後の教育、というのは小中学校や保育園にも活動の場が広がっています。千代田せいが保育園でやっていただいていることは、子どもが自由に体を動かして遊んでいる中に、子どもには、それとはあまり気づかれないように「ダンスのエッセンスが渾然と溶け込むように」楽しませてもらっていることでしょうか。

 

解体されているダンスのエレメントは、組み立て方によって、全く新しい創造になることを、今日は見せていただきました。この公演は昨日7月2日(金)から明日4日(日)まで3日間、小田急線・成城学園駅すぐの小劇場「アトリエ第Q芸術」で開かれています。興味ある方は、ぜひどうぞ。

<おまけ>

以下は私の頭の中で起きた印象の言葉によるスケッチです。パチパチと音を立てたり、光が走ったりしたのですが、それを言葉でお伝えするなんて、とてもできません。まして、どんな表現だったかということを、説明することなんてムリですから、結果、私の印象でしかありませんが、とにかく刺激的でした。ただ、これから観る方は、先に読まないでください。印象にネタバレはないはずですが、真っ白な状態の方がいいと思いますので。

一つ目の作品「ひとごと」。

開演すると会場は真っ暗になり、明かりがつくとまっすぐ立っている和さんと、うつ伏せに倒れている青木さんの姿が目に飛び込んできます。立っている和さんがバタンと上半身を崩す動きを見ていると、「あ、まるで操り人形のよう」と気づきます。見えない糸が背中や肘や膝を引き上げたり、急に緩めたりされているのですが、それだけでも「こんな体の動かし方ができるなんて!」と、体の柔らかさや敏捷さ、体幹の強さなど、日頃から身体をメンテして練習しているからこそできるんだなあと、まずそこに驚きました。

そのうち、その乱暴に操られる人形の動きが、正確に繰り返されていることに気づきます。最初はランダムに動いているのかと思ったら、違うんです、2度3度と繰り返されて初めて、そこにワンセットの動きの周期を発見します。すると、その形式に意味を見出したくなるから不思議です。さらに、人形の動きがだんだん早くなっていくのですが、あるタイミングからダンスのようになっていきます。その境目があるということは、私が持っているダンスの刷り込みイメージなのだなあと振り返り、でも身体の動きの多様な変化に見惚れてしまいます。

一方で、倒れていた青木さんが、ゆっくりと四つん這いで起き上がり、後ろ向きに椅子に座るのですが、それも上から吊るされている人形のように見えます。ところが、和さんの動きと違うのは、まるで普通の人のように振る舞います。劇が始まったのか、と思います。それはある意味で正しくて、青木さんがセリフを語り出すのです。「二つの出来事があって、それが一つになって・・」みたいなことを、客席に語りかけるようにも見えなくもなく。そのうちに、ボタンを押して移動して何かを手にして一旦躊躇して、引き出しから何か四角い枠状のものを取り出して水に浸して揺すって戻して蓋をして、クルリと移動してまた立ち上がり、そしてまた見えない空中のボタンを押して・・・を繰り返していくのですが、だんだん、それが速度をましていくのです。すると日常の動作が、ある地点から踊りのように見えてきます。加速されて早回しのフィルムに、サイボーグの自動人形が写っているかのよう。・・・・

二つ目の作品「Golconda」

坂田さんの振付・演出です。背を向けた4人がバラバラに生活しています。赤の他人なんでしょう。片目でみたり、足を触ったり、さすったり、踵を振り返ったり、いろんな仕草が切り取られ、空間が動く所作でできたコラージュになっていきます。所作同士の距離やバランスが面白いというか心地よいのです。しかし青木さんが手のひらにリンゴを乗せてゆっくりと空間を横切って歩き出すと、不意にそのリンゴが床に落ちて、音を立てて転がります。重力の所作まで加わって、人の動きの中に、自然の働きが違和感をもたらすのです。いつしか、個人が視線によってまとまっていくような予感を見るものに与えます。何によって集団はできるのでしょう。4人が着ている青白いシャツは、誰でもない、匿名の代名詞。でも助け合いながら生活している生活者たち。自己の軸が4人の軸になって連動して動き出すと、ソ連邦時代の映画のよう。社会には希望と絶望の間でできていて、その自立と共生が危うことを、立てても立てても崩れ落ちてしまうから、それでも、がむしゃらに支えようとする若き青年の痛ましさ。・・・古代から現在までの歴史を身体にしたらこうなるのかもしれないという、ダンスによる現代批評になっているのでした。シュールリアリズムの旗手だった同名の絵画がタイトルなので、私たちの無意識が何を語り出すか、その発光や発酵が面白いですよ。

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