MENU CLOSE
TEL

2019年 6月

ソサエティー5.0の数学

2019/06/10

■ソサエティー5.0
(梅と梅の隙間に、小さな氷砂糖が入り込めば、最も全体が効率よく埋まります。容積は同じでも、形の組み合わせが大事だということがわかります。幼児教育でこれに気づくことができる活動は、工夫すればありそうですよね。家庭でも収納をするときに、使っている幾何数学になります。)
昨日9日日曜日、日本数学検定協会の評議員会がありました。日本政府は来たる近未来社をSociety5.0と命名しました。狩猟、農耕、工業、情報の各社会に続く人類史上5番目の新しい社会という意味です。その産業社会では、大学受験を勝ち抜く受験数学ではなく、職場で必要とする数学が必要な社会になるだろう。昨日はそんな質疑がありました。
学校と社会のズレは、企業の人事担当者と話すとよく話題にやなりますが、幼児教育の質が数学・算数と関係することに関心を持つ方は、あまり会ったことがありません。まだ「幼稚園でもカードで暗算とかやってますよね」とか「算盤もまだまだ必要らしいじゃないですか」とか、言われたことはあります。日本での数学理解は、誤ったまま浸透しています。これは何とかしなければなりません。
(最も小さな面積で、最も大きな容積を作り出す球と言う形)
■幼児のプログラミング教育とは
先週、島根の園長先生と「プログラミング教育」ついての話しになりました。2020年から小学校で必須となる「プログラム学習」ですが、幼児教育におけるそのテーマは、どんな遊びや活動の中で経験できていくか、探ってみたいテーマの1つです。
ポイントは抽象的な記号操作を具体的な物の操作とどのように結びつけていくか。つまり子どもからの働きかけで変化する対象を、表象(プログラミング)の操作という働きかけにどうやって置き換えるか、そのつながり具合をどうデザインするか、ということになります。
ピタゴラスは世界は数学でできている言いましたが、4歳や5歳の子どもが遊びでそれを体験しておく(意識しなくても)意味を、昨日は考えていました。日本数学検定協会は、日常にある数学にスポットを当てています。

にこわらすのバス遠足

2019/06/08

6月7日

■にこにこ組もバス遠足に参加

2歳児クラスの「にこにこ組」が昨日7日、初めてバス遠足に参加しました。3〜5歳の「わらす組」の子どもたちと一緒です。
にこにこさんたちが、バス遠足が可能かどうか、わらすさんたちの経験を踏まえて、木場公園の遊び場としての環境やトイレの位置、バギーの持ち込みや移動範囲、バス移動の時間などを検討した結果、「よし、一緒に行こう」となりました。とても楽しい、いい機会になりました。また、続けていきます。昨日、参加できなかったお友達も、またあるから楽しみにしてて下さい。
にこにこ組の保護者の皆さん、準備のご協力、ありがとうございました!詳しくは、各クラスのブログをご覧ください。以下は、私のドキドキ、ハラハラ日記です。書いていると「である調」になりました。ドキュメンタリーは、いつもの「ですます調」では、気分が乗りませんからね。
■雨雲よ、待て!!
手元には東京電力の雨雲レーダーがある。雨雲はまだ甲府あたり。関東一帯はまだ大丈夫だ。さて、出発の準備はできた。雨雲が時速60キロで迫ってきたとしてもまだ2時間はある。雨よ、頼む、降らないでくれ!
年中組のらんらんさんが先に山上ビル側に列を作っている。園舎の前に待機している大型バスが目に入ると、J君が目をまん丸にして叫ぶ。
「でっけー!」。
ほかの子もあまり意味なく「でっけー、でっけー!」とはしゃいでいる。
にこにこ組の子と、マンツーマンでベアを作り、そのペアがバスの座席にもなる。先生が「にこにこさんの手をつないで、バスまで行きます。しっかりと手を握って連れて行ってあげてくださいね」というと「はーい!」。
■巧みなバスガイドでワクワク
9時40分に園を出ると、10時過ぎには木場公園に着いた。その間、小林バスガイドの巧みな話術によって、バスから見える普通の景色が、遊園地に入り込んだかのように楽しいモノに変わっていく。
以下のやりとりのミソは、子どもの素直な「巻き込まれ感」と「おかし可愛さ」です。
小林ガイド「今ね、偶然だけど、水陸両用車が通ったよ。すごいなぁ、先生もっと早く気づいて教えてあげればよかったなぁ。ごめんねー」
子ども「いいよー」
小林ガイド「このライオン堂と言うお店はね、お相撲さんが洋服を作ってもらう場所なんだよ。みんなが4人ぐらい入れそうな大きな洋服を、お相撲さんのために作ってくれるんだ」
子ども「お相撲さんて、大きいんだよ」
小林ガイド「あ、右の方に消防署があるよ。すごいなぁ、消防士さんたちがこんなにたくさんいて、訓練しているみたいだよ。こんなの滅多に見られないよ、ラッキー」
子ども「あー、ホントだ、いいもの見たあ、ラッキー」
あー、なんて素直で、可愛いんだろう。こんな感じで、景色を楽しんでいるうちに、木場公園に着いた。
ところが、駐車場に入る頃、バスのフロントガラスに雨粒が。
小林ガイド「園長先生、雨です。どうしましょう?」
バスのなかで雨雲レーダーをずっとみていたので、慌てない。でも正直おかしいと思った。こんなに早く雲が迫っているなんて。一時間4ミリメートル以下の雨雲の帯が、ちょうど木場公園のある東京東部まで延びていた。
小雨は覚悟していたが、雨が予定よりも1時間も早い。そうか!間違えた!台風なんかは時速20キロなんていうから、うかつにも、つい勘違いしてしまった。雨雲は沸き上がるんだよ、移動して来るんじゃない!あー、そうだった。でも、こうなったら、もう迷う余地はない。
「早く遊ぼう!」
■格別な開放感がある原っぱ
幸い、雨といっても霧雨程度。「これなら問題なし!気象の定義なら曇りの範囲だ!」そう自分に多少強がりを言って、みんなバスを降りて原っぱへ行く。
やっぱり、広い原っぱはいい。「子どもは隅っこと原っぱが好き」というが、大人だって、気持ちいい。心の背伸びができる。ぐっ〜っと、こころのシワも取れそうだ。なんの屈託もなく、気持ちの赴くままに、トコトコと足を運んでいい空間、座り込んでも、寝転んでもいい場所。暑くもなく風もない。霧雨も降ったり止んだりで、私たちのために、待ってくれている。
■茶色のサッカーボール
水を含んだ草むらを転がるたびに、サッカーボールは茶色く変わっていく。ボールが転がった距離だけ、子どたちも走った。ボールの色は、子どもたちの運動量そのもの。あの小さな体から、あんなに力が溢れて出てくるのは、広い原っぱとボールのおかげだ。堅苦しい解説はやめたいが、やっぱり子どもの潜在力を引き出すのは環境の力だ。ここに来ないとこんな運動にはならないし、思いっきり全速力を出すことなんてできない。
■優しいらんらんさん
にこにこさんの顔も明るい。らんらんらんさんのお兄さんお姉さんに優しくしてもらいながら、バスに乗って原っぱに来た。このことだけでも、にこにこさんにとっては大きな大きな体験になっている。先生たちの声や性格も大体わかっているから、様子を見ている表情が、いろいろなことを伝えてくる。M先生やU先生だけじゃない。わらすの先生も、わかっているから、安心して楽しめる。その上、困ったことがあったら、らんらんさんが先生に教えてあげる。そんな約束をしたらんらんさんたちは、しっかり守ってくれた。
■にこにこさんの「ぼくも、わたしも」
草むらに出ると、先生を安全基地にしながら、じわじわと思い思いの行動を始めていく。歩き始める子、走り出す子、座ってみんなの様子を眺めている子、虫かごを持ちたい子、虫を探しに行く子、転がっているボールに近づいていく子、色々な「自分も!」がいっぱい始まっていく。わらすの子たちの姿がモデルになり、刺激になり、にこにこさんなりの「私も!」が動き出していきます。その動き始める鼓動が聞こえてきそうで、あーここに連れてきて良かったと思う。
■そして梅雨入り
下見のとき、花が満開だった桜が、昨日は、すっかり青葉の茂る大きな木の傘となって、私たちを迎え入れてくれた。まもなく降り始めた雨は、梅雨入りの雨となった。梅雨前線と競争したバス遠足は、私たちの逃げ切り勝ちだった。

神田淡路町保育園を見学

2019/06/06

6月6日その2

■神田淡路町保育園に行ってきました

今週月曜日の四番町保育園に続き、今日の午前中は「区内保育所見学会」の2回目に参加してきました。当園から歩いて10分足らずの神田郵便局隣「神田淡路町保育園大きなおうち」です。4階建てで確かに「大きなおうち」でした。2年前に開園し今年度が3年目。千代田区で初めての社会福祉法人です。園長の菊池恵子先生とはずいぶん前からの知り合いです。菊池園長先生のお子さんのイケメン男性保育士「マー先生」は、保育界では有名ですから、ご存知の方もいらっしゃることでしょう。近いので「大きなおうち」から当園に転園してきた子もいます。
■幼児は異年齢でコーナー保育
菊池先生は、保育の質向上に熱心に取り組んでこられた方で、現在、東京都民間保育園協会の研修部長を務めていらっしゃいます。法人は現在、東京や千葉に19の施設を運営しており、本部は新宿です。
園舎のデザインコンセプトは「大きなおうち列車にのって」。これは、明治時代、東京の中心地としてにぎわった国鉄万世橋駅前に近いことから、鉄道と駅をあしらったものになっています。
保育環境は、1階のエントランスに砂場があり、ガラス張りの調理室とランチルームが隣接しています。2階の乳児0歳児は独立した部屋で、1歳児と2歳児はつながった空間です。3階が3〜5歳児が一緒に生活するオープンルームでした。4階には広いホールとスタッフルーム。屋上が園庭になっています。
こうした建築空間は、海外によく見られるものと同じで、遊ぶところや食事をするところが最初から分かれていて、遊ぶところは活動の種類によってあらかじめ遊具がセッティングされています。乳児の保育室の色彩は、シュタイナー教育のテイストが生かされており、幼児の保育環境は、モンテッソーリ教育の環境設定と似ていました。
■園児の交流を約束してきました
子どもたちが散歩に慣れてくれば、この保育園までは歩いて行くことができそうです。お互いに散歩先としての相互受け入れや、子どもの交流をやりたいですねと話してきました。またひとつ、子どもたちの体験を広げる機会が作れそうです。

区主催の園見学会に参加

2019/06/03

■千代田区主催の保育園見学会

今日3日は午前中、千代田区立四番町保育園を主任と2人で見学してきました。市ヶ谷駅からすぐの、以前、日本テレビがあった場所です。3階建ての園舎に約100人の子どもたちが生活していました。見学者は千代田区内の園の主任や看護師などリーダー格の職員が全部で8人、案内は四番町保育園の園長先生が、直接なさって下さいました。
区が主催するこの見学会は、お互いに園を見合うことで、見学者がよいと思ったところを吸収しあったり、情報交換したりできます。これを積み重ねれば、知り合いも増えて区内に保育者ネットワークができていくかもしれないので、一年を通して十数回ある機会はすべて申し込みました。
■仮園舎とは思えない建物
今日はその1回目。いろいろな感想を持ちましたが驚いたのは、この園舎が仮園舎だったと言うことです。古くなった園舎を建て替えるために、この仮園舎を新たに建て、昨年3月から新園舎ができるまで(平成34年度中、つまり令和4年度中)の5年間を、ここで保育し続けます。仮園舎の建設まで含めたら、ざっと10年計画です。本来の園舎設立計画とは、これぐらいの時間と資金がかかるものなのでしょう。
■屋上が園庭に
参考になったものの一つは、屋上です。仮園舎だからなのか、園庭がありません。そのかわり屋上に芝生と砂場とプールがあります。屋上の広さは4〜5倍あるので、同じことは出来ませんが、こんな素材ならこうできるという参考になりました。
■保育参観は変装して
明日から保育参観ですが、「子どもに見つからないように見てもらう」という配慮は同じでした。ただ「変装セットも用意」しているそうですが、実物を見ることができませんでしたが、どんなものかと言うとメガネやマスクや帽子などだそうです。部屋にいても誰かわからないようにしてみてもらっているそうです。参考にしてみてください。

研修会の講義を終えて

2019/06/02

6月1日
■保育士向けキャリアアップ研修会
幼児教育の意義と保育内容について、昨日1日、島根県江津市の先生たちに話してきました。午前中2時間、午後3時間でしたが、始める前は長いなぁと思った5時間も、実際にやってみると足りなくなってしまいました。新しくなった保育所保育指針の改定内容を、本当によく納得するには、その前提となっている考え方や枠組みも理解しておく必要があるからです。
■日常感覚でとらえる言葉に一度は置き換える
例えば、「心情・意欲・態度を育て、学びに向かう力、人間性等」という目標概念が新しくできたのですが、これをきちんと説明しきるだけでも、1時間ぐらいかかるからです。これを作った「学識経験者」たちは、日本の学校教育(幼児教育から後期中等教育まで )全体に、辻褄が合うように一貫性のある体系化を試みました。なるほど、だからそうなったのか、と受け止めるためには、ある程度の時間が必要です。しかも、どうしてそのようになっているのかを、私たちの日常的な感覚に結びつけて納得してもらうためには、わかりやすい例えや、具体的な実践事例を通して、頭の中につながりを作っていく必要がありました。
■日本語を英語や対立語でとらえる
今週1週間のニュースダイジェストを見ていたら、新しい元号の令和を、トランプ大統領は演説の中でビューティフル・ハーモニーと、使っていました。これは外務省が公式に令和をそう訳したからでしたね。
よく知っている日本語の言葉であっても、それを英語にしてみたり、反対の意味や対となる言葉を並べてみると、新しい語感や意味を感じるときがあります。昨日の講義のなかでも、いくつかありました。少し、紹介します。
■道徳の英語は・・
例えば、教育には「道徳」と言う言葉がよく出てきます。英語で言えばセンス・オブ・モラリティーです。「あー、倫理感の事なんだなぁ」と一度、シンプルな意味から組み立て直した方が、自分の言葉で考えやすくなります。
「自立」と言う言葉も教育や子育ての中で大切な概念ですが、英語で言えばインデペンデント、反対言葉は「依存」ディペンデントです。
日本語では同じジリツという発音になる「自律」の方は、セルフコントロール(自己コントロール)あるいは、オートノミーですから、いちど英語にしてみると「自立」とはかなり距離のある概念だということがわかってきます。反対は「他律」で英語はペテロノミーとなります。
■自分からやるか、言われてやるか
自分で自分のことができることと、やってもらったり言われてできる事は、結果は同じように見えても育ちの視点から見れば、大きな差があることに気づきます。自律で、できるようになっていくのか、それとも他律でできるようになっていくのか。主体的に生きるためには、自律的に自立することが先なんですが、その育ちの過程では、いま自立している大人の人も、例外なく依存と他律の時期が幼児期にはあったことになります。
■「ひきこもり」の反対は自発性
精神的な自立、社会的な自立、経済的な自立、それらを混同してしまって、一言で「ひきこもり」と言ってしまう日本語の粗雑さに、もっと敏感でありたいと思うニュースが溢れてしまいました。
ひきこもりの英語は、ソーシャル・ウィズドローです。withdrawalの反対語は発達心理学的に考えれば、自発性や自主性です。これも就学前の幼児期に獲得する発達課題といえます。社会的事件には常に当事者たちの教育成果が何割か含まれています。それを相関関係があったかなかったかまで、要因分析する事は難しいのですが、人の一般的な心の発達原理を再確認することはできます。
■私たちの判断の元となる言葉も再吟味
的確な判断に至るには、それを私たちが無意識に使っている概念(言葉)について、自ら吟味しながら考え直すことも必要です。それは日本保育学会に参加したときの日記にも書きました。
昨日は、このような概念整理をしながら、一つ一つ、幼児教育の目的、目標、ねらい及び内容について、その根拠となっている法令まで遡り、そして子どもを理解するために、新しく導入された枠組み(乳児の3つの視点、幼児の10の姿)と、従来からある教育の5領域の関係や繋がりを、再確認しました。決して楽しいとは言えないテーマですが、私たち保育士が日本で働くからには、避けて通ることができないものです。
top