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園長の日記

アクティブラーニングのためのオンライン保育を

2020/06/14

今日6月14日(日)は、オンラインWEB会議が開かれました。ある公益社団法人の評議委員会です。いろいろな組織で、このようなWEB会議が増えています。小中高校のオンライン授業、大学での遠隔授業、私も実際に参加してみると、話している相手の顔と声はよく聞こえて、広い会場や教室に多数集まってもらい話をしていた時よりも、返ってよく聞こえたり、表情も細かいところまでわかったりして、また話も効率よく進むように感じます。司会進行役を起点に、そこから放射状に集まる会議の形式になります。したがって、これまで私が参加した限りですが、オンラインWEB会議の欠点は、参加者相互の横のコミュニケーションがとりにくいということかもしれません。まだ参加者が慣れていないからなのですが、参加者からは「話題の中に途中で入り込みにくい」という感想も聞かれました。オンライン授業は、どちらかというと一斉授業が多くなってしまうかもしれません。当事者が主体となった学びを進めるために、児童や生徒の「アクティブラーニング」をどのようにオンラインと組み合わせるか。大学の遠隔授業では、文部科学省から学生同士の意見交流が求められています。9日の会議では、保育園では園児がタブレットを活用した調べ学習や意見交流をやってみようということになりました。八王子や新宿との交流がオンラインでできるからです。東京の感染者が増えないか心配ですが、新しい生活、新しい保育にはアイデアが必要です。写真は、できるだけ密集したお集まりを避けるために、2階と3階に別れて開いた「誕生日会」です。できなかった4月生まれ、5月生まれのお祝いを、2日に分けて開きました。

子どもにあまり感染しないわけ

2020/06/13

ずっと疑問に思っていたことが、科学者の協働作業で分かり始めました。なぜ子どもは新型コロナウイルスにかからないのかというメカニズムです。有力な仮説が見つかりました。それは小児の細胞には新型コロナウイルスの受容体が少ないからではないかという、至ってシンプルな発見です。東京大学医科学研究所(アジア感染症研究拠点)の論文から、その図を借りて説明すると、新型コロナウイルスが人の細胞に侵入して初めて感染が成立しますが、侵入するためには、新型コロナウイルスの外側に飛び出ているスパイクタンパク質(Sタンパク質)が、人の細胞の側にある受容体と結合する必要があります。その受容体はアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)というエンザイム(酵素)なのですが、それが小児には少ないそうです。

 

長崎大学医学部小児科教授で日本小児科学会理事の森内浩幸医師は、「子どもは大人に比べ、ACE2の発現が少ないことがわかっています。つまり、そもそもの受容体が少ないため、ウイルスがあまり増殖しないのではないかと考えられるのです」(今週号の週刊文春「知っておくべきコロナ最新常識」)で述べています。子どもと言うのは、何歳ぐらいまでなのでしょう。国内の二十歳未満に死亡例はなく、重症化した例も少ない。森内医師は、子どもにとって新型コロナは風邪と同程度の健康上の問題だと言う。このメカニズムが本当なら、子どもを持つ保護者にとっても朗報なのだが、はっきりとした医学的な見解が欲しいところです。

梅雨入りと同時にステップ3へ

2020/06/12

11日(木)の夜11時に「東京アラート」が解除され今日12日(金)から「ステップ3」に移行した東京都。これで全国的に2か月以上に及んだ「緊急事態」が形式上は終わりました。完全な「終息宣言」というものは多分ないまま、ずっと警戒しながらの生活が続くことになります。ですから、また急増するかもしれないという不安は消えません。徐行運転していた車が、ちょっとスピードを出してみました、という状況ですが、さて・・どうなるのでしょうか。すぐまた、ブレーキとならないことを願います。今週末からの世間の「新しい生活」の結果が見えてくるまでの、これからの2週間、見極めながらの保育が進みます。

保育園にとっても、8割の園児に増えた再開後の最初の1週間は「おそるおそる」という感じのスタートだったのですが、今週は公園への散歩を取り入れました。そして関東は11日から梅雨に入ったので、運動不足の解消も課題になって来ますので、来週は天気をみながら、感染防止と熱中症対策を講じた上で、できるだけ戸外遊びを試みようと思います。

毎日の清掃と消毒の結果は、各室で掲示しています。政府は30分ごとの換気を推奨していますが、園では常時、窓を開けて風通しのよい室内空間を保ち、淀みがちな空間は換気をこまめにしています。網戸は外れないように手直しして、蚊などが入らないようにします。

一方で、大雨による水害対策も講じていく必要があります。自粛生活によって、テレワークの浸透で在宅できる時間が長くなったことや、交通機関の運行慣行を変えやすい状況になったことは、予め登園を控えるといった予防的「分散避難」がしやすくなったとも言えます。

子どもたちは、今のところ感染症は全くなく、とても元気に過ごしています。この状態が続いていくように、そして本来の子どもたちの世界を全うできるように保育を深めていきたいですね。

写真は、お誕生会のお祝いをしてもらった子どもたちが、その感謝の「ありがとう」の気持ちをフラワーアレンジメントという形に表して、クラスで飾る活動です。心の中のイメージを外に表すという活動は、言葉や絵や制作などいろいろありますが、こうして「花」の美しさ、生き物の素晴らしさを通して「表現する」という生活は、子どもの心の深いところに届くものです。子どもたちにもコロナ後の癒しが必要なのです。

 

 

コロナ感染対策の総括は?

2020/06/09

感染者数の報告がトップニュースではなくなってきましたが、これから必要になる「新型コロナウイルス対策の総括」ですが、その「根拠となるデータ」をどう読み解くべきなのか、非常にわかりにくい状況になってきました。こんなにコロナ、自粛、マスク、ソーシャルディスタンス!と、どこをみてもそればかりなのに、異なる主張もいろいろあります。どっちの見解が正しいのか。それをどう判断して受け止めておくといいのか、その作業には時間がかかりそうです。

最近の打ち合わせは、オンラインが増えたのですが、今日9日( 火)は久しぶりに「オフライン」の会議に参加してきました。そこでも「根拠となるデータ」の解釈をめぐって、保育団体や研究会の対応姿勢に差があって、結論は「情報公開」の重要性で合意しました。足りないのは、行政が掴んでいるはずの情報公開です。でも、もう1つの懸念は、検査していないことからくる「推論」と「海外の硏究頼み」の日本の体制です。コロナ研究論文の数で、圧倒的に「日本は少ない」という事実にも注目しておく必要がありそうです。

梅雨入りを見越した保育計画

2020/06/08

今日8日(月)から、保育園が再開されて2週目に入ります。梅雨入りを目前に控えて、朝会では子どもの様子の把握、保護者の皆さんからの意向把握、先週1週間の「清掃・消毒の継続的実施方法」、そして夏にむけた水分補給の徹底などを確認しました。雨の日が増えることを見込んだ戸外活動の計画を立てています。今週は晴れれば暑くなり、突然に俄雨が振るような夏のような天気になりそうです。

流行ってほしい「農家を助けるお中元」

2020/06/06

休園期間中に出勤していた職員は、弁当を毎日持ってきていました。ステイホームで外食ができない中で、お客さんが来ないで困っていた保育園の近所の飲食店は、テイクアウトを始めたので、時々弁当の代わりにそれを買って近所のお店の応援をすることにしました。昨年から付き合いのあったお店からは、「弁当を始めたのでよかったら使ってください」と、メニューを持ってきてくれるところもありました。

(写真の柳原通りのイタリア料理店は、デリバリーもしてくれます。「こんなのを作って!と、リクエストもOKです。ラザニアとかも作ります。電話下さい。土日はご自宅まで、お持ちしますよ」と。)

 

子育てには「上手な手抜き」がとても重要。必ずやらないといけない食事、掃除、洗濯、ルーティーンになっているものは上手な手抜きが難しくなってしまうもの。人間は無意識にやっているので、正常化バイアスがかかっているので、止めることができないのです。

それって本当に毎日必要? と、ちょっと疑ってみてはどうでしょうか。コロナの影響で掃除や消毒の仕事量が増えているはず。時間は同じですから、どこかを削らないといけないはずだからです。

また、お世話になっている会社からは「旅行者が来なくなり、味覚狩り用の果物が大量に廃棄されている」とも。ああ、もったいない。「農家を助けてください」と保育園に届いた葉書は、さくらんぼ農家でした。

そこで、手土産や贈り物にそのさくらんぼを使うことにしました。この夏は、コロナで困っていることろを助ける「応援お中元」が、流行るといいなぁ。困っている農家を応援できると、いいんですが。

保育園の「田んぼ」で田植え体験

2020/06/05

私の前の園には、小川が流れていて、その出発地点が2畳ほどの田んぼだったのですが、その小川と田んぼを作ってくれたのが神宮司さんです。その時の田んぼは、不耕起栽培といって、耕さない田んぼでした。つまり一年中、水をたたえた水耕栽培で稲を育てていたのです。

実は、昔の日本の田んぼは、そうした不耕起栽培が主流でした。年中、田んぼに水があるので、メダカやタガメ、ザリガニなどが生息していて、カモやサギなど水鳥がいました。そうした耕さない田んぼには、稲作機械が入りません。どうしても手作業になってくるので、時代ととともに、大規模な田んぼで耕運機を入れて耕すために、一旦、水を抜くことが普通になっていきます。それによって田んぼの水中動物は姿を消していき、ついにメダカが絶滅危惧種になっていったのでした。

という前置きが長くなりましたが、今でも不耕起栽培をしている千葉県の藤崎農家からいただいていた稲が、千代田せいが保育園にもやってきました。屋上にあるバケツの稲がそれです。オンライン保育園の間に屋上の菜園で、バケツの田んぼが誕生しました。

都会の真ん中で「土」作り始まる!?

2020/06/04

子どもたちのために保育園の周囲に、できるだけ「自然」を取り戻したいと、事務長の神宮司さんにお願いしたら、なんと本格的な「本物の自然」がやってきました。神宮司さんは根っからの自然派であり、しかも「本格」でありながら、そのエッセンスを、子どもたちの身近なところに実演(再現)してくれます。その数々は後でご紹介するとして、オンライン保育園の活動の中で、まだご紹介していなかったものが「稲作」と「土つくり」です。今日は「土つくり」をご紹介します。

◆3階建ての「おうち」の中に住んでいるのは・・

やってきたものは3階のベランダにあります。この生き物が住んでいる「お家」は3階建てで、1階は「ふかふかのリビング」で2階が「ダイニング」です。3階は今後住民が増えた時のためのスペアエリアです。この生き物は野菜が大好きで、給食で出る野菜くずを与えると、数日のうちに食べてしまいます。そして、1階の「ふかふかしもの」が増えていきます。実は、このふかふかしたものが「土」です。

◆土を作ってくれているものは、・・

さあ、この「土」を作ってくれている生き物はなんだと思いますか?それは・・ミミズです。正確にはイトミミズ。正確には、なんて言っても、あんまり興味がわかないと思いますが(苦笑)、有機物の多い土の中には、たいていミミズがいるのが日本の土壌でした。しかし、そうした土になるまでには、かなり長い時間がいるのです。昨年秋、雨上がりの木場公園で、子どもたちが大きな「ミミズ」を見つけた時は、大騒ぎでしたが、そのミミズ君たちが保育園にやってきたのでした。

◆そっと覗いてみると・・

ミミズは暗い土の中にいるので、光が当たると土の中に潜ってしまいます。そこで、神宮司さんに、そっと「フロア」を持ち上げてもらい、リビングの階をのぞいてみると、います、います。お昼寝の時間に起きていた子たちと、その様子を観察しました。眩しくなって、急に「にょろにょろ」と動き出して土の中に隠れてしまいました。

◆土は生態系の土台である!

ミミズが住んでいる土は、地球の陸上の生態系の基盤です。土の中には色々な微生物が住んでいて、雑草が生えて、何十年すると雑木林ができ、微生物も増えて葉っぱなどを腐葉土に変えてくれます。その間に昆虫なども生息する場所となり、昆虫を食べる小動物が暮らし始め、またそれを捕獲する野ウサギやタヌキなどのいる森になっていきます。そして土の生態系の頂点に大型のイヌワシやタカなどがいたのです。陸上生態系のピラミッドが出来上がっていました。

◆生態系の体験にも・・

しかし、そうした土を土台とした生態系、つまり雑木林や森は都会にはありませんから、その生態系の繋がりを感じることができる一部分を、子どもの身近な生活圏に持ち込みました。毎日食べている食べ物がどこから来るのか。産地を示す「かまぼこ板」が玄関に展示されました。その残菜を、ミミズくんたちが食べて土が生まれます。その土がベランダや屋上で育っている野菜や果物の栄養に使われます。そしてイチゴやスイカ、キュウリやトマト、ナスやゴーヤが育っていきます。私たちが、そうした自然の循環の中で生きていることを、断片的ですが感じておくことで、小学校以降の学びの「根っこ」につながることでしょう。

 

 

つなぐ・つながるプロジェクトがこんな形に・・

2020/06/03

◆休園期間中の「リアル体験」がより豊かな体験になる意味

6月3日(水)のわらすのブログに、屋上菜園での子どもたちの様子が報告されています。オンライン保育園での活動の中で、屋上やベランダや育て始めた野菜が、すくすくと大きく育って、花が咲き、実がなったイチゴの香りを嗅いでいる子どもたちの表情が紹介されています。この子たちの中には、オンライン保育園の「生活のリズム作り」で、毎日のように屋上菜園へ親子で水やりに来ていた子もいて、イチゴがなるまでのプロセスを観察し続けてきました。今日嗅いだイチゴの香りは、育ってきたプロセスをよくみてきた上での感覚ですから、より深い香りがしたはずです。

◆親子フラワープロジェクトが育んでいるもの

3階の生活の中に、花が取り入れられるようになっていく予感がします。写真のような「制作物」がみられるからです。例えば親子で花を選んで、家へ持って帰って、アレンジメントして飾る。そして「キレイだね」と親子で、家族で語り合い、鑑賞する。そうした生活の一コマが、子どもにとっては「心動かされる体験」となり、幼少期の幸せな時間の記憶になっていくかもしれません。大人になって「幸せだったなあ」と実感する思い出は、その多くが間違いなく「親子の心の通い合い」です。ただ親の方は、それを覚えていないことが多いのですが。

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